- チック症とはどんな症状か
- からかいが本人にとってどれほどの負担になるか
- 家庭・学校でできる具体的な支え方
- 受診の目安と、何科に相談すればよいか
- 症状と付き合いながら学びを続ける方法
チック症とは
チック症は、まばたき・首振り・咳払い・鼻鳴らしなど、本人の意思とは関係なく突然起こる素早い運動や発声を繰り返す状態です。国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センターによると、チックは子どもによく見られるものであり、多くは一時的なものですが、症状が長期間続く場合もあります。ストレスや緊張が強まる場面で症状が目立ちやすくなることも知られています。発症年齢は4歳から11歳ごろが多く、男の子に多くみられる傾向があるとされています。多くの子どもは成長とともに症状が軽くなっていきますが、症状の出方や強さは日によって、あるいは時期によって波があるのが特徴で、「治った」と思ってもまた別の形の症状が現れることもあります。
運動チック(まばたき、顔をしかめる、首を振るなど)と、音声チック(咳払い、鼻を鳴らす、特定の音を発するなど)に大きく分けられ、症状の種類や強さは時期によって変化することもあります。本人は意図的に行っているわけではなく、多くの場合、意識してもコントロールすることが難しい症状です。一時的に我慢できることもありますが、我慢し続けることはかえって本人の負担を大きくし、我慢の反動で症状が強く出ることもあると言われています。「今は出ていないから治った」と判断せず、長い目で経過を見ていく姿勢が大切です。
まばたきや発声などの症状が出る
周囲から真似されたり指摘されたりする
「またからかわれるかも」という不安が高まる
緊張によって、かえって症状が出やすくなる
からかいが本人にとってどれほどの負担になるか
チックの症状は目に見える・耳に聞こえる形で現れるため、周囲から「わざとやっている」「クセだからやめれば」と誤解され、からかいの対象になりやすいという特徴があります。からかわれることへの不安が、症状そのものへの緊張を高め、さらに症状が出やすくなるという悪循環が生まれることもあります。特に思春期に近づくにつれて、自分の症状を客観的に意識できるようになる分、周囲の視線をより強く気にするようになり、負担が増す傾向も指摘されています。
本人は「またからかわれるかもしれない」という恐怖から、教室に入ること自体に強い抵抗を感じるようになることがあります。真似をされる、笑われる、といった経験が積み重なると、休み時間や集団行動そのものを避けるようになることもあります。朝になるとお腹が痛くなる、学校の話題を避けるようになるといった変化がみられたときは、本人なりに限界に近づいているサインかもしれません。
「気にしすぎ」ではないと伝える大切さ
「気にしなければいい」という言葉は、本人にとって症状も、からかわれる恐怖も、どちらも消えるものではないため、かえって孤立感を深めてしまうことがあります。まずは、症状が本人の意思でコントロールできないものであること、からかわれることが実際につらい経験であることを、家庭内で認めることが大切です。「気にしないで」と励ますよりも、「つらかったね」「よく頑張って学校に行ったね」と、まず気持ちを受け止める言葉をかけることのほうが、本人の安心につながることが多いようです。

家庭でできる支え方
1. 症状について正しい情報を伝える
チックが本人の意思でコントロールできないものであることを、本人・きょうだい・周囲の大人が正しく理解することが、無用な誤解や叱責を減らす第一歩になります。「わざとじゃないんだよ」という一言を、きょうだいや祖父母など身近な大人にも共有しておくと、家庭全体の空気が変わります。
2. 学校との情報共有
担任やスクールカウンセラーに症状について説明し、からかいが起きた際の対応方針をあらかじめ相談しておくと、本人の安心材料になります。連絡帳や面談だけでなく、症状が強くなる時期や場面をメモにまとめて共有すると、学校側も具体的な配慮をしやすくなります。
3. 症状を責めない環境をつくる
家庭内で「またやってる」と指摘し続けることも、本人にとってはプレッシャーになります。症状そのものより、本人の気持ちに寄り添う関わりを意識してください。症状が出ているときこそ、それ以外の会話や楽しい時間を増やすことで、「症状=注目される」という結びつきを弱めていくことができます。
4. クラス全体への働きかけも検討する
本人・保護者の了承のもとで、担任からクラス全体に「チックについての正しい理解」を伝えてもらうことも、からかいの予防に効果的な場合があります。ただし、本人が特別視されることを望まない場合もあるため、進め方は慎重に本人と相談してください。伝え方に迷う場合は、スクールカウンセラーや養護教諭に間に入ってもらう方法もあります。
からかわれた経験や気持ちをまず受け止める
症状と困りごとを担任に具体的に伝える
必要に応じてクラス全体への説明を検討
状況を見ながら対応を柔軟に調整する
チックへの誤解を解くために
チック症についてよくある誤解に、「本人がストレスに弱いから起きる」「親のしつけの問題」といったものがあります。しかし、チックの背景には脳内の神経伝達物質の働きなど、複数の要因が関わっているとされており、しつけや育て方が直接の原因ではありません。
こうした誤解が、保護者を「自分の育て方のせいだ」と必要以上に追い詰めてしまうことがあります。正しい知識を持つことは、本人だけでなく保護者自身の心を守るためにも大切です。学校の先生や周囲の大人に対しても、「わざとではない」「叱っても止まらない」という事実を、遠慮せず伝えてよいことです。
似た症状・関連する状態との違い
| 状態 | 主な特徴 |
|---|---|
| 一過性チック障害 | 1年未満で症状が治まる |
| 慢性チック症 | 運動または音声チックのいずれかが1年以上続く |
| トゥレット症候群 | 複数の運動チックと1つ以上の音声チックが1年以上続く |
| 単なる癖 | 意識すればコントロールでき、緊張時に増えるとは限らない |
チックはASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)と併存することもあり、専門的な評価によって全体像を把握することが望ましいとされています。
受診を検討したいタイミング・何科に相談すればよいか
- 症状が1年以上続いている、または種類や強さが変化している
- 症状によって、本人が強い苦痛や生活への支障を感じている
- からかいによって、学校生活への強い不安や回避が見られる
- 複数の運動チックと音声チックが同時に見られる
気になる症状が続く場合は、小児神経科や発達外来などへの相談を検討してください。国立障害者リハビリテーションセンターの情報も参考になります。受診の際は、症状がいつから始まり、どんな場面で強くなるかを記録しておくと、診察がスムーズに進みやすくなります。動画に残しておくと、診察室では症状が出にくいケースでも医師に様子を伝えやすくなります。

治療の選択肢
多くの場合、チック症は経過観察が中心となりますが、症状が強く生活への支障が大きい場合は、ハビットリバーサル法などの行動療法や、薬物療法が検討されることもあります。本人の苦痛の程度に応じて、専門医と相談しながら治療方針を決めていくことが大切です。焦って「治すこと」だけを目標にせず、本人が安心して過ごせる時間を増やすことも、並行して大切にしたい視点です。
からかいのない環境で、学びを止めない選択肢
チックの症状そのものがすぐになくならなくても、からかわれる不安を抱えたまま無理に学校に留まり続ける必要はありません。症状について理解のある環境で学びを続けられることを知っておくと、本人・保護者双方の安心につながります。「今の学校が合わないなら、環境を変えるという選択肢もある」と知っておくだけで、追い詰められた気持ちが和らぐこともあります。
この記事は、全国から900名を超える子どもたちが通うオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の知見も踏まえて構成しています。チックをからかわれてつらい思いをしてきた子どもたちにも、安心して学びに参加できる環境があることを、選択肢の一つとしてお伝えしています。
NIJINアカデミーという選択肢
NIJINアカデミーは、小学1年生から中学3年生を対象としたオンラインのオルタナティブスクールです。カメラ・音声をオフにしたままの参加もできるため、症状を人前で見られることへの不安を感じずに授業に参加することができます。8〜10人程度の少人数制クラスで、一人ひとりの特性を理解した関わりを大切にしています。チャットやリアクションボタンでの参加も可能なため、声を出すこと自体に不安がある場合でも、無理なく授業に参加する方法があります。
1:1の専任サポート担任が継続して伴走し、在籍校を今すぐやめる必要はなく、学校と併用しながらNIJINに通う生徒も多くいます。希望する生徒の9割以上が在籍校の出席認定を得ています(2025年4月時点、株式会社NIJIN公式プレスリリースより。最終的な出席の判断は学校によります)。NIJINアカデミーでは、吃音のある大学生を招いた特別授業を実施するなど、発達特性への理解を深める取り組みの実績もあります。教室によっては作業療法士の資格を持つ教室長が在籍しており、身体面・感覚面への配慮についても相談しやすい体制が整っています。

NIJINアカデミーでは、無料のオンライン説明会・体験会で、安心して学べる環境を詳しくご案内しています。
NIJINアカデミーの雰囲気を動画で見る
実際にどのような形でクラスに参加しているのか、公式YouTubeチャンネルの動画も参考にしてみてください。
子どもたちの声
「からかわれるのが怖くて、症状が出そうになるとさらに緊張してしまっていた」「顔を出さなくても参加できるから、症状を気にせず授業に集中できた」「同じような経験をした友達と出会えて、話せることが増えた」——チックの症状に苦しんできた子どもたちからは、こうした声がよく聞かれます。症状そのものと付き合いながらも、安心して学べる環境があることが、大きな支えになることがあります。
「明るくない子どもなんていない。問題児なんてたったの一人もいない」——これは、公立小学校の教員だった星野達郎(タツロー)校長がNIJINアカデミーを設立した原点にある言葉です。自分ではコントロールできない症状をからかわれ、深く傷ついてきた子どもたちにも、同じことが言えるはずです。

保護者自身のケアも大切に
「学校に相談しても理解してもらえない」「どう対応すればいいのか分からない」——こうした状況が続くと、保護者自身も孤独や不安を抱えやすくなります。一人で抱え込まず、専門機関や同じ悩みを持つ保護者同士のコミュニティも活用してください。保護者自身が安心できていることは、そのまま本人の安心にもつながります。まずは短時間でも、自分の気持ちを話せる相手を見つけることから始めてみてください。
きょうだいへの説明も大切に
きょうだいが無意識に症状を指摘したり真似したりしてしまうこともあります。チックが意思でコントロールできないものであることを、きょうだいにも分かりやすく伝えておくことが、家庭内の安心につながります。「わざとじゃないから、真似したりからかったりしないでね」と、年齢に合わせた言葉で具体的に伝えると効果的です。
よくある質問
まとめ
チック症は本人の意思でコントロールできない症状であり、からかいの対象にされるべきものではありません。「気にしすぎ」と片づけず、まず本人のつらさを認め、正しい情報を家庭や学校で共有してください。症状が長引く場合は専門機関への相談も検討し、からかいのない安心できる環境で学びを続ける選択肢があることも、あわせて知っておいていただければと思います。本人が「自分は変ではない」と思える経験を積み重ねられる場所を見つけることが、長い目で見た安心につながります。


