楽しかったはずの夏休みが終わりに近づくと、お子さんの表情が曇り、「学校に行きたくない」と口にする——。この時期、同じように悩む保護者はとても多くいます。夏休み明けは、1年の中でも行き渋りや不登校が増えやすい時期です。この記事では、なぜ夏休み明けに増えるのかを文部科学省の最新データとあわせて整理し、2学期を迎える前後に保護者ができる具体的な対応を、順を追ってお伝えします。

夏休み明けは、行き渋り・不登校が増えやすい時期
長い休みのあと、生活の場が「家庭」から「学校」へ切り替わるタイミングは、子どもの心身に大きな負担がかかります。特に夏休みは休みが長く、生活リズムや人間関係の距離が大きく変わるため、2学期の始まりは1年で最も切り替えがむずかしい時期のひとつと言われます。
データで見る不登校の現状
文部科学省の令和6年度(2024年度)調査では、不登校の小中学生は353,970人と過去最多を更新しました。内訳は小学生137,704人・中学生216,266人で、在籍する児童生徒の3.9%(およそ1クラスに1人以上)にあたります。不登校は特別なことではなく、どの家庭にも起こりうる身近なことだとわかります。
出典:文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(2025年10月公表)文部科学省の該当ページ
なぜ夏休み明けに増えるのか|3つの背景
1. 生活リズムの乱れ
夏休み中は就寝・起床の時間が後ろにずれやすく、朝起きられない状態が続きます。学校が始まっても体内時計が戻らず、「起きられない→間に合わない→行きづらい」という悪循環に入ってしまうことがあります。実際、文部科学省の調査でも不登校のきっかけとして「生活リズムの不調」が上位に挙がっています。
2. 気持ちの切り替えの負担
家というリラックスできる環境から、集団生活・時間割・評価のある学校へ戻るのは、大人が長期休暇明けに感じる「仕事に行きたくない」気持ちの何倍もの負担です。宿題が終わっていない不安や、休み前にあった友人関係の悩みが、休み明けに一気に押し寄せることもあります。
3. 人間関係のリセットと再会
1学期に小さなつまずきを抱えていた子にとって、夏休みは「学校のことを考えずに済む時間」でもあります。その分、2学期が近づくと「またあの関係に戻るのか」という不安が強まります。休み中に距離ができたことで、再会そのものが緊張の種になる場合もあります。
ポイント:行き渋りは「わがまま」ではなくSOS
朝の渋りや腹痛・頭痛は、多くが心の負担が体に表れたサインです。子ども自身も理由をうまく言葉にできないことがほとんど。まずは「サボり」「甘え」と捉えず、SOSとして受け止めることが最初の一歩です。
我が子は大丈夫?夏休み明けに見たいサイン
次のようなサインが休みの後半〜2学期初めに増えていないか、さりげなく見てあげてください。
- 朝、なかなか起きられない・布団から出られない
- 「お腹が痛い」「頭が痛い」を朝に訴えることが増えた
- 学校や友だちの話題を避ける、口数が減った
- 宿題や準備に手がつかず、そわそわ・イライラしている
- 夜眠れない、食欲が落ちた、表情が硬い
保護者ができる対応|3つの場面別
①休みの後半:やわらかく生活リズムを戻す
2学期の1週間ほど前から、起床時間を少しずつ早めます。「早く寝なさい」と叱るより、朝に光を浴びる・一緒に朝ごはんを食べるなど、気持ちよく起きられる仕掛けを作るのがコツです。宿題は「全部終わらせる」より「無理のない範囲で区切る」ことを優先してかまいません。
②「行きたくない」と言われたとき:まず受け止める
理由を問い詰めるより、「そう思うくらいしんどいんだね」とまず気持ちを受け止めます。原因が言葉にならなくても大丈夫です。「行く・行かない」をその場で決めさせるのではなく、「今日はどうしたい?」と一緒に考える姿勢が、子どもの安心につながります。
③休ませると決めたとき:休息を責めない
休むと決めたら、「今日は充電の日」と伝え、家庭を安心できる場所にします。ゲームや動画を取り上げる罰よりも、生活の中に小さな役割や楽しみを残すことが回復を早めます。数日休んでも戻れる子は多くいます。長引く場合も、次章の相談先を早めに頼ってください。
OKな関わりの例
「話してくれてありがとう」「あなたが元気なのが一番大事」「一緒に考えよう」——結論を急がず、味方であることを言葉で伝えます。
避けたい関わりの例
「みんな行ってるでしょ」「甘えないの」「行かないと将来困る」——比較・脅し・正論は、子どもをさらに追い込み、SOSを閉じさせてしまいます。
ひとりで抱えないで|公的な相談窓口
保護者が抱え込む必要はありません。まずは学校の担任・スクールカウンセラーに相談を。並行して、次のような公的窓口も無料で利用できます。
- 24時間子供SOSダイヤル(文部科学省):0120-0-78310/子ども本人も保護者も、24時間・無料で相談できます。
- 教育支援センター(適応指導教室)/自治体が設置する、学校復帰や社会的自立を支える公的な学びの場です。
- 各自治体の子ども家庭支援センター・教育相談室
参考:文部科学省「24時間子供SOSダイヤルについて」文部科学省の案内ページ
※お子さんが「消えたい」「いなくなりたい」といった言葉を口にするなど、心配なサインがあるときは、ためらわず上記の窓口や専門機関に相談してください。夏休み明けは子どもの心が特に揺れやすい時期です。ひとりで判断せず、早めに専門家とつながることが大切です。
「学校が合わない」も、学びを止めなくていい
NIJINアカデミーは、自宅から参加できるオンラインの学びと居場所です。学校に行きづらい時期も、同じ仲間や先生とつながりながら、その子のペースで学び続けられます。夏休み明けの過ごし方に迷ったら、まずは無料でご相談ください。

▶ 動画でも解説|タツロー校長(NIJIN代表・星野達郎)
動画:脱・学校のタツロー校長「【不登校最多の理由を暴露】日本一不登校の多い宮城県の問題を独占解説」
まとめ
夏休み明けに行き渋りや不登校が増えるのは、生活リズム・気持ちの切り替え・人間関係という3つの負担が重なるためで、決してお子さんが弱いからでも、育て方のせいでもありません。大切なのは、サインを早めに受け止め、「行く・行かない」より先に安心を渡すことです。そして、家庭だけで抱えず、学校や公的窓口を早めに頼ること。2学期は、いくつもある選択肢の入り口だと考えて、お子さんのペースで一歩ずつ進んでいきましょう。
よくある質問
- Q. 数日休ませたら、そのまま行けなくなりませんか?
- A. 休息で気持ちが整い、戻れる子は多くいます。休むこと自体より、家庭が責めない安心できる場であるかが回復を左右します。長引く場合は早めに相談窓口へ。
- Q. 無理にでも行かせたほうがいいのでしょうか?
- A. 強く登校を促すと、かえって心身の不調が強まることがあります。まずは負担を減らし、専門家と相談しながら本人のペースを尊重するのが基本です。
- Q. 親としてまず何をすればいいですか?
- A. ①気持ちを受け止める、②生活リズムをやわらかく整える、③担任・スクールカウンセラー・公的窓口に早めに相談する、の3つから始めてください。

