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【ADHD】特別支援級に入れるの?入るべきなの?

ADHDと特別支援学級 ― 選択肢の整理と、対象になりにくい理由
発達特性シリーズ ・ ADHD

ADHDと特別支援学級 ―
選択肢の整理と、
対象になりにくい理由

「うちの子は特別支援学級に入れるの?」という疑問は、多くの保護者が抱くものです。制度の仕組みと、ADHDが情緒学級の対象になりにくい背景にある歴史的な経緯をあわせて整理しました。

NIJINアカデミー ・ 発達特性コラム

発達障害のあるお子さまの進路の選択肢

「発達障害の子どもの場合、通常学級と特別支援学級どちらにすべき?」という相談は年々増えています。まず知っておきたいのは、就学相談で特別支援学級を勧められたとしても、必ず入らなければならないわけではないということです。お子さまと保護者の意思を尊重しつつ、最終的には市町村教育委員会が総合的に判断します。

発達障害のあるお子さまの場合、進路の選択肢は大きく4つに分けられます。

1

通常学級

一般的な集団のクラス。1クラス35名以下(小学校)。

2

特別支援学級

障害のある子どもを対象とした、学校内に設置される少人数制のクラス。

3

通級指導教室

通常学級に在籍する障害のある子どもを対象に、一部の時間だけ特別な指導を行う教室。

4

特別支援学校

障害のある子どものみを対象とした学校。発達障害単独では対象外。

通常学級

集団の中で
環境調整・配慮

通級指導教室

普段は通常学級、
一部だけ個別指導

特別支援学級

少人数クラスで
手厚いサポート

特別支援学校

専門性の高い
環境・教育課程

→ 右にいくほど、個別支援の手厚さ・専門性が高くなるイメージです

特別支援学級に入れば安心、とは限らない
支援の手厚さや学級編成は学校によって差があります。特別支援学級に入ったからといって、必ずしも「求めていた教育」や「お子さまに合った環境」が受けられるとは限らないことも理解しておきましょう。

特別支援学級とは

特別支援学級は、教育上特別な支援の必要があると認められた障害のある児童生徒を対象とした学級で、小・中学校等に設置されています。対象となる障害は、知的障害、肢体不自由、病弱及び身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症、情緒障害の7種類です。

発達に課題のあるお子さまの場合、知的の遅れを伴う場合は「知的障害特別支援学級」、伴わない場合は「自閉症・情緒障害特別支援学級(情緒学級)」に在籍するケースが多くなります。ただし、設置されている学級の種類は学校によって異なり、知的学級と情緒学級が一緒になっているケースもあります。

1クラスあたりの人数の違い

通常学級
35名以下
特別支援学級
8名
特別支援学校
6名

※小学校の場合の定員の目安。特別支援学校は高等学校で8名以下。

通常学級との主な違い

  • 少人数制(特別支援学級は8名、通常学級は35名が定員の目安)
  • 障害による困難を克服するための「特別の教育課程」がある
  • 一人ひとりのニーズに応じた「個別の教育支援計画」「個別の指導計画」を作成することが義務づけられている

なお、通常学級に在籍する児童生徒のうち、発達障害の可能性がある子どもは8.8%程度(令和4年・文部科学省調査)とされており、通常学級にも発達特性のあるお子さまが多く在籍しています。

「通級指導教室」との違い

通級指導教室(通級)は、通常学級での学習におおむね参加でき、一部の特別な指導を必要とするお子さまを対象にしています。特別支援学級との大きな違いは、通常学級に在籍したまま、必要な時間だけ別の教室で指導を受ける点です。

  • 特別支援学級の対象ではない発達障害(ADHD、SLD)のお子さまも対象になる
  • 通常の授業のほかに、一部の授業を別の教室で受ける形
  • 通級が設置されていない学校も少なくなく、他校の通級に通ったり、先生が学校を訪問したりするケースもある

対象障害種は、言語障害・自閉症・情緒障害・弱視・難聴・学習障害・注意欠陥多動性障害・肢体不自由・病弱及び身体虚弱と幅広く定められています。

「特別支援学校」との違い

特別支援学級が学校内に設置された「クラス」であるのに対し、特別支援学校は障害のあるお子さまに専門的なサポートを行う「学校」です。発達障害は特別支援学校の対象に含まれていません(知的障害等ほかの障害が併存する場合は対象になることがあります)。

  • 知的な遅れのない発達障害のお子さまは対象にならない
  • 1クラスの定員が原則6名以下(高等学校は8名以下)
  • 教員の専門性(特別支援学校教員免許)が高い

ADHDの子どもの学校生活での困りごと

発達障害は先天的な脳機能・神経系の特性であり、その困難は本人の努力だけでは解決しづらいことが多く、周囲のサポートが必要になります。ADHDの場合、代表的な困りごとは「注意力が散漫」「じっとすることができない」「衝動的な言動をする」「やる気が出づらい」などです。

実際に、特別支援教育の利用を検討するきっかけになった具体的な事例を3つ紹介します。

CASE 1

注意を向け続けることが苦手で、授業に集中したり板書をとったりすることが難しく、学習に遅れが生じている。宿題やテストの説明を聞き逃し、先生から叱責を受けることが多い。

CASE 2

怒りのコントロールができず、物を投げたり同級生に手を出したりしてしまうことがある。

CASE 3

特性による失敗体験が重なった結果、自己肯定感が下がり、学校に行かなくなって部屋に閉じこもるようになった。

なぜADHDは情緒学級の対象になりにくいのか

市町村によって「情緒学級」の対象障害の扱いは異なり、ASD(自閉スペクトラム症)のみを対象とし、ADHDやSLD(限局性学習症)は通級による指導の対象とする自治体が多いのが実情です。この違いは偶然ではなく、制度が作られてきた歴史的な経緯に理由があります。

〜1990年代

「情緒障害学級」の時代

特殊教育制度には「発達障害」という区分自体がありませんでした。自閉症は情緒障害の一部として扱われ、知的障害と重複するケースが多いという理解が一般的でした。

2000年〜2002年

LD・ADHD・高機能自閉症の登場

「21世紀の特殊教育の在り方に関する調査研究協力者会議」などで、LD・ADHD・高機能自閉症の児童生徒(通常学級在籍者の6%程度と推計)への対応が緊急の課題として議論され始めます。

2003年〜2005年

「特別支援教室」構想の模索

固定式の学級を維持するのではなく、通常学級に在籍しながら必要な時間だけ特別な指導を受ける「特別支援教室(仮称)」という枠組みが検討されました。ただし議論は「今後の課題」として持ち越され、既存制度は当面維持されることになります。

2007年〜

特別支援教育の開始、用語の統一

特別支援教育制度がスタートし、「LD、ADHD、高機能自閉症」という個別の用語から、発達障害者支援法の定義による「発達障害」という呼び方に統一されました。これにより、高機能自閉症は法律上、従来の自閉症と同様に扱えるようになり、特別支援学級での対応も可能というスタンスが明確になりました。

「医学的な違い」ではなく「教育的困難の範囲」で線引きされてきた
この経緯からわかるのは、制度の線引きが診断名の違いそのものではなく、「学校教育を成立させるうえで、どの程度の特別な支援が恒常的に必要か」という観点で行われてきたという点です。ASDは対人関係やコミュニケーションの困難が集団生活全般に及びやすいのに対し、ADHDやSLDの困難は比較的局所的・限定的だと捉えられやすく、結果として「通級で対応する」という整理がされやすい傾向があります。
ASD困難が集団生活全般に及びやすい
ADHD・SLD困難が特定の場面に出やすい

※制度がどちらを想定して設計されてきたかを表す概念的なイメージであり、困難の大きさや重さの優劣を示す統計データではありません。

2000年代以降、障害の判断はIQなどの数値だけでなく「学習・生活上の困難度」に基づいて行われる方向へと変化してきました。この考え方は結果的に、知的障害のないASDが特別支援学級の対象として扱われるケースを増やす一方、ADHDやSLDは通級指導教室での対応が中心という整理が続く一因にもなっています。制度は今なお議論が続いており、東京都のように独自に「特別支援教室」を設ける自治体も出てきています。

通常学級+療育という選択肢

お住まいの地域に対象となる特別支援学級や通級指導教室がない、あるいはニーズと合わないという場合には、「通常学級」に通いながら、放課後等デイサービスなどで「療育」を受けるという選択肢もあります。

療育とは、将来的な自立を目指し、一人ひとりの発達段階や特性に応じたアプローチで発達を促すことです。日常生活スキルや、他者との関わり方・社会のルールといった社会的スキルを育んでいきます。放課後等デイサービスでは、学校・家庭と連携しながら一貫した支援を行い、学校の学習だけではカバーしづらい「特性との付き合い方」を学ぶ機会にもなります。

進路を検討するときの5つのステップ

1

お子さまの障害や特性について理解する

学習面と生活面に分けて、学校生活での課題を洗い出してみましょう。

2

必要なサポートを整理する

療育施設や医療機関、発達障害者支援センターなど、専門家に相談するのもおすすめです。

3

学校側のサポート体制を確認する

就学前なら「就学相談」、在学中の転籍なら学校に直接相談を。受け入れ体制は地域や学校によってさまざまです。

4

お子さまの希望を聞く

進路によっては友達と離れることもあります。体験入学や見学を通じて、本人の意思も尊重しましょう。

5

情報収集と関係機関への相談を続ける

困難・苦手だけでなく「できること」も踏まえ、同じ特性を持つ家庭の体験談も参考にしながら、最適な学びの場を検討しましょう。

NIJINアカデミー校長からのメッセージ

「発達障害なら支援級に入れるべき?」というテーマについて、教育現場を知るNIJINアカデミー校長が語った動画もあわせてご紹介します。

まとめ

  • 発達障害のあるお子さまの進路には「通常学級」「特別支援学級」「通級指導教室」「特別支援学校」の4つの選択肢がある
  • 特別支援学級を勧められても、必ず入らなければならないわけではない
  • ADHDは自治体によって情緒学級の対象外とされ、通級指導教室での対応が中心になりやすい
  • この線引きは、診断名そのものよりも「学校教育上どの程度恒常的な支援が必要か」という制度的な経緯から生まれてきたもの
  • 対象となる学級・教室がない場合は「通常学級+療育」という選択肢もある

制度は今も議論が続いています。お子さまに合った学びの場を見つけるために、学校・教育委員会・療育機関など、複数の窓口で情報収集をしながら検討を進めていきましょう。

NIJINアカデミー ・ 発達特性コラム ― ADHDと特別支援学級
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