この記事の結論
発達障害・ASDの人と一緒にいて疲れるのは、関わろうとしている証拠でもあり、疲れを感じる自分を責める必要はありません。遠回しな言い方を避けて具体的に短く伝え、自分も休む時間と距離をとるのが基本です。一方、ASDの特性がある子ども本人も、周りに合わせるために力を使い、友達といるだけで疲れ切ってしまうことがあります(以前「アスペルガー症候群」と呼ばれていたタイプも、いまはASDに含まれます)。
- 「友達関係で疲れる」の背景にある特性
- 家庭でできる回復のサポート方法
- 学校生活との付き合い方の工夫
「友達といるのに疲れる」のはなぜ?
ASDの特性がある子どもの中には、集団の中で周囲の表情や暗黙のルールを読み取ろうと常に意識を働かせている子がいます。これは「マスキング(周囲に合わせて自分の特性を隠す・調整する行動)」と呼ばれ、本人が無意識に行っていることも多く、休み時間や放課後にどっと疲れが出る原因になります。友達を嫌っているわけではなく、むしろ仲良くしたいという気持ちが強いからこそ、無理に周囲に合わせようとして消耗してしまうケースも少なくありません。
ソーシャル・タイアードのサイン
- 学校から帰ると、しばらく誰とも話したがらない
- 休み明けの月曜日に強い疲労感や体調不良を訴える
- 家では饒舌なのに、学校ではほとんど話さない(場面による差が大きい)
- 友達付き合いの後、頭痛や腹痛など身体症状が出る
- 「疲れた」「もう無理」といった言葉が増える
これらのサインは、本人が意識的に「疲れた」と説明できるとは限りません。不機嫌に見えたり、癇癪という形で現れたりすることもあるため、行動の背景にある疲労を保護者が想像することが大切です。

家庭でできる回復のサポート
1. 帰宅後に「一人になれる時間」を確保する
学校で使い切ったエネルギーを回復させるには、誰にも気を使わずに過ごせる時間が必要です。帰宅後すぐに「今日はどうだった?」と質問攻めにせず、まずは本人のペースで休める環境を用意してください。
2. 疲れを「サボり」と捉えない
友達関係の疲れは、体力的な疲れとは異なり外から見えにくいものです。「さっきまで元気だったのに」と疑わず、本人が感じている疲労をそのまま受け止める姿勢が大切です。
3. 好きな活動で気力を充電する
好きな遊びや趣味に没頭する時間は、社会的な疲労を回復させる大切な時間になります。「もっと友達と遊びなさい」と促すのではなく、本人が心地よく過ごせる活動を尊重してください。
表情・ルールを読み取ろうとする
帰宅後に強い疲労感
好きな活動・静かな環境
「疲れやすさ」と「困りごと」を混同しない
友達関係で疲れやすいことと、友達付き合いが苦手であることは、必ずしも同じではありません。むしろ人との関わりに強い関心があり、うまくやりたいという思いが強いからこそ、細やかに気を配り続けてしまうという子どもも多くいます。「友達が苦手なのだろう」と決めつけず、「頑張りすぎているのかもしれない」という視点で見てみることが、適切なサポートにつながります。
と決めつける
と背景を想像する
本人のペースを尊重
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「ASDの人と一緒にいると疲れる」と感じたとき|親・きょうだい・友達の側の疲れ
この記事では主にASDの特性がある子どもの疲れを取り上げてきましたが、反対に「ASDの子と一緒にいると疲れる」「発達障害の友達といると疲れてしまう」と感じる保護者やきょうだい、友達もいます。そう感じることは、相手を嫌っているからでも、関わり方が下手だからでもありません。
ASDの特性がある子どもが周囲に合わせるためにエネルギーを使っているのと同じように、周りの人も、相手の考え方や伝わり方の違いに合わせようとしてエネルギーを使っています。疲れは「お互いに合わせようとしている」ことの表れであり、どちらか一方が悪いわけではありません。
| ASDの特性がある本人 | 一緒にいる親・きょうだい・友達 | |
|---|---|---|
| 疲れやすい場面 | 集団の中で表情や暗黙のルールを読み取り続ける | 話がかみ合わない、予定変更で強く混乱する場面に何度も付き合う |
| 起きやすいすれ違い | 冗談や遠回しな言い方が伝わらず、戸惑う | 「分かってくれない」「自分ばかり合わせている」と感じる |
| 疲れの出方 | 帰宅後に誰とも話したがらない。体調不良や癇癪 | イライラしやすくなる。関わること自体がしんどくなる |
| できる工夫 | 一人になれる時間で回復する | はっきり短く伝える。自分も休む時間と距離をとる |
| ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1. 疲れを認める | 「疲れた」と感じる自分を責めない | 疲れは関わろうとしている証拠でもある |
| 2. 伝え方を変えてみる | 遠回しな言い方を避け、してほしいことを具体的に短く伝える | 「ちゃんとして」より「5時に玄関に集合ね」 |
| 3. 距離と時間を調整する | ずっと一緒にいず、別々に過ごす時間を先に決めておく | 離れる時間は、どちらにとっても回復の時間になる |
| 4. 一人で抱えず相談する | 学校、スクールカウンセラー、発達障害者支援センターなどに相談する | きょうだいの負担も含めて話してよい |
| チェック | 見るポイント |
|---|---|
| □ | 子どもと話す前から、身構えて緊張している |
| □ | ささいなことで子どもやきょうだいに強く当たってしまう |
| □ | 眠れない、食欲がないなど、自分の体調に変化が出ている |
| □ | 「自分の育て方のせいだ」と責める気持ちが続いている |
| □ | きょうだいが我慢している様子が気になる |
| □ | 家族以外に、子どもの特性を話せる相手がいない |
当てはまるものが多いときは、保護者自身が休むことや、相談先を持つことを優先してください。境界知能や発達特性があり、将来の学びの場に悩んでいる場合は境界知能の子の高校選び、2学期に入ってから「学校に行きたくない」が出ている場合は2学期に学校に行きたくないと言われたときの記事もあわせて読んでみてください。
兄弟姉妹や周囲への説明の仕方
「なんであの子だけ休んでいるの」ときょうだいや親戚から聞かれることもあるかもしれません。そうした場面では、「頑張り屋さんだから、お友達と過ごした後は充電の時間が必要なんだよ」など、年齢に応じたわかりやすい言葉で伝えることで、周囲の理解を得やすくなります。無理に病名や特性名を説明する必要はなく、本人が困っていることのイメージが伝われば十分です。
「友達がいらない」わけではない
疲れやすいからといって、友達関係そのものを避けたいと思っているとは限りません。大人数より少人数、毎日より頻度を抑えた関わりなど、本人に合った関わり方の「量」と「質」を一緒に探っていくことが、無理のない友達関係につながります。異年齢・少人数の環境や、興味関心でつながれる場では、学校の教室とは違った形で自然な関係が築けることもあります。
NIJINアカデミーのバーチャル校舎では、8〜10人の少人数制クラスで、異年齢・異地域の友達と関わることができます。カメラ・音声オフでの参加も可能なため、対面での疲れやすさがある子どもも、自分のペースで人との関わりを持てます。
NIJINアカデミーという選択肢
NIJINアカデミーは、小学1年生から中学3年生を対象としたオンラインのオルタナティブスクールです。8〜10人という少人数制のクラスで、対面の教室のような刺激の多さがなく、本人のペースで人との関わりを調整できます。実際に、平均3日で友達ができたという報告もあり、疲れにくい形での交流の場として活用されています。

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子どもたちの声
「大人数の教室だと誰と話すか考えるだけで疲れたけど、少人数だと自然に話せる相手が見つかった」という声が聞かれます。
「友達と遊んだ後は毎回ぐったりしていたのが、少人数の環境に変わってから、楽しかったと笑顔で話すようになった」という声も寄せられています。
中学生になると、グループの雑談や「空気を読む」場面が増え、友達疲れがさらに強くなりがちです。中学生特有のサインはASD(自閉症)中学生のチェックリストで確認できます。
学校生活との付き合い方
学校を完全に休むかどうかは別として、負荷の高い活動(グループワーク、休み時間の自由交流など)の後には回復の時間を意図的に設ける、疲れがたまりやすい曜日は予定を軽くするなど、「消耗と回復のバランス」を意識した生活リズムを整えることが助けになります。担任の先生と、疲れやすさの背景を共有しておくことも、無理のない配慮につながります。

専門家への相談も選択肢に
疲労が強く、体調不良や不登校につながっている場合は、発達外来や児童精神科、スクールカウンセラーなど専門家に相談することも検討してください。本人の特性を理解した上で、学校や家庭でできる配慮を一緒に整理していくことができます。自閉症(ASD)の子の不登校のサインと関わり方は自閉症の不登校ガイドで解説しています。
よくある質問
まとめ
ASDの特性がある子どもの「友達関係で疲れる」という状態は、社交性がないからではなく、周囲に合わせるために多くのエネルギーを使っていることの表れかもしれません。疲れをサボりと捉えず、回復のための時間と環境を用意しながら、本人に合った「量」と「質」の関わり方を一緒に探っていくことが、無理のない友達関係につながります。
参考文献:発達障害情報・支援センター等の公的情報を参考に作成


