
(NIJINアカデミー校長)
「喋れないかわいそうな子、ではありません。
人より生き残る力が優れているぶん、
いつもと違う場所ではエネルギーの配り方が変わる。
ただ、それだけなんです。」
この記事の「なぜ声が出ないのか」と「学び方の選び方」は、担任として緘黙の子を受け持った経験と、この解説をもとに書いています。
- 場面緘黙とは?(500人に1人・診断のめやす)
- なぜ、声だけが出なくなるのか(扁桃体のはたらき)
- 人見知り・社交不安症・ASDとの違い
- チェックリスト20項目
- やってはいけないこと/代わりの関わり方
- 学校に頼める配慮と、そのまま使える伝え方
- 「治ったきっかけ」として語られること
- 学校に行きたがらなくなったときの初動
場面緘黙とは?
場面緘黙とは、家庭など安心できる場所では普通に話せるのに、学校など特定の社会的場面になると話せなくなる状態です。医学的には不安症の一つと位置づけられ、「他の状況では話しているのに、話すことが期待される場面で一貫して話せない状態が1か月以上続く」ことが診断のめやすとされています。多くは3〜8歳ごろ、幼児期から小学校低学年にかけて現れ、女の子にやや多い傾向があります。緊張が強い場面で心も体もこわばり、声も動きも出しにくくなるのです。
診断の目安は、この状態が1か月以上続いていることです。入学直後は誰でも緊張するため、入学してから最初の1か月は数えません。医学的な診断名は選択性緘黙(せんたくせいかんもく)で、場面緘黙と同じものを指します。学校の書類や医療機関では「選択性緘黙」、保護者の間では「場面緘黙」が使われることが多く、どちらでも通じます。
発症は2〜5歳ごろが多いとされています。ただし3歳までは集団生活が始まっていないため、家庭の中では気づかれません。入園・入学で集団に入ってはじめて「話せない」が表に出るため、健診では見つけにくい状態です。
「話せない場面」は本当に多様
症状の現れ方は一人ひとり違います。「仲の良い子とは話せるが、授業の発表はできない」「決まったあいさつは言えるが、自由な会話はできない」「家でもクラスメイトが遊びに来ると話せなくなる」——など、話せる場面と話せない場面の組み合わせはさまざまです。「昨日は話せたのに今日は話せない」ということも珍しくありません。気分次第でも、わざとでもないことを、まず知ってください。
なぜ、声だけが出なくなるのか
場面緘黙は、話す力がないわけでも、わざと黙っているわけでもありません。強い不安を感じた体が、とっさに「固まる」反応を起こしている状態です。危険を感じたときに体が動かなくなるのは人間にもともと備わっている防御の仕組みで、その反応が「声を出す」という動きに強く出ているのが場面緘黙です。
声だけでなく、体の動きまで止まってしまうことを「緘動(かんどう)」といいます。手を挙げられない、トイレに行けない、体育で動けない、給食が食べられない。これらは「やる気がない」のではなく、緘黙と同じ仕組みで起きています。
厚生労働科学研究の調査では、学校で困りやすい場面として音読・発表・休み時間が挙げられています。前の2つは「声を出すことが決められている場面」、休み時間は「何をするか決まっていない場面」です。決められすぎていても、決まっていなさすぎても、どちらも不安が上がるのが特徴です。
場面緘黙の子が、家から学ぶという選択

場面緘黙は、その子の性質ではなく場面で決まります。家では話せて、教室では声が出ない。だとすれば、学びの場を家に置いたとき、その子は最初から「話せる側」で参加できることになります。学校に通いながら話せるようになるのを待つのとは、順番が逆です。
教室から参加するとき
- 声を出すことが前提になっている
- 知らない人が多く、不安が上がりやすい
- 固まると、その場で目立ってしまう
- 行けない日は、欠席になる
家から参加するとき
- 声以外の参加が、最初から用意されている
- クラスは8〜12人。画面の向こうの顔ぶれが変わらない
- つらくなったらカメラを切れる。見ているだけでもいい
- 在籍校の出席扱いにできる(出席認定率97%)
その日の自分で、関わり方を選べる
メタバース校舎では、参加の仕方が6つに分かれています。今日はどれでいくかを、本人が決められます。
緘黙の子がいちばん消耗するのは、声が出せないこと自体ではなく、出せない姿を毎日見られてしまうことのほうです。選べる状態にしておくだけで、その消耗がなくなります。
場面緘黙症は
発達障害なのか|
人見知りとの見分け方
場面緘黙症は、発達障害ではありません。不安症のグループに分類される状態です。ただし重なることはよくあり、海外の研究ではASDの併存が約3割、調査によっては63%という報告もあります。「内気なだけ」と見られて支援が遅れやすいので、似ているものとの見分け方を整理します。
4つを並べた比較表を開く
| 場面緘黙 | 人見知り・内気 | 社交不安症 | ASD | |
|---|---|---|---|---|
| 話せなさ | 特定の場面で一貫して声が出ない | 慣れれば話せるようになる | 話せるが、強い緊張を伴う | 場面による差は小さい |
| 家庭では | ふつうに話せる | ふつうに話せる | ふつうに話せる | 家庭でも特性が見られる |
| 時間での変化 | 自然には戻りにくい(1か月以上続く) | 数週間で慣れる | 場面を避けるほど強まる | 特性は続く |
| 診断名 | あり(選択性緘黙) | なし | あり | あり |
いちばん分かりやすい手がかりは時間での変化です。人見知りは慣れれば話せるようになります。入学して2〜3か月たっても声が出ないなら、慣れの問題ではありません。また、場面緘黙の子には話したい気持ちがあります。話す気がないのではなく、声が出ないことに本人がいちばん困っています。
場面緘黙と他の状態は、重なることがよくあります。海外の研究ではASDの併存が約3割、調査によっては63%という報告もあります。「どちらか一方」と決める必要はありません。ことばの発達そのものに遅れがある場合や、家庭でも話さない場合は別の背景を考える必要があるので、早めに相談してください。
場面緘黙症の
チェックリスト20項目|
診断テストの前に
家庭でみる様子
次のチェックは診断ではありません。気づきにくい特徴を整理して、医療機関や学校に相談するときの材料にするためのものです。1か月以上続いているかどうかも、あわせて見てください。
20項目のチェックを開く
チェックはこの画面だけのものです。送信も保存もされません。数が多いほど重い、という意味でもありません。1つでも気になったら、日付と場面とそのときの様子を3行で記録してください。いつ・どこで・どうだったかがあるだけで、学校との面談も受診も話が変わります。
場面緘黙症の子どもに
やってはいけないこと|
NG対応と、
代わりの関わり方
よかれと思ってやりがちですが、次のような対応は逆効果になります。
- 「話してごらん」と話すことを強要する:プレッシャーが不安を強め、さらに話せなくなります。
- 「なんで話さないの?」と問い詰める:本人を責めることになり、自己肯定感を下げます。
- みんなの前で注目させる・急かす:緊張のピークで固まってしまいます。
場面緘黙の改善には、数か月から数年単位の時間がかかることも珍しくありません。「話す・話さない」をゴールにせず、安心を積み重ねることを大切に。子どもは、まわりの穏やかな見守りの中で、少しずつ自信を取り戻していきます。
NG対応を、代わりにできる関わり方と並べました。「話させる」ではなく「安心して参加できる」を増やす視点で見てください。
| 場面 | NG対応 | 代わりにできる関わり方 |
|---|---|---|
| あいさつを返さない | 「ちゃんとあいさつしなさい」と促す | 会釈や手を振るなど、声以外の返し方も認める |
| 授業で当てられて固まる | 「話してごらん」と待ち続ける | カードや筆談での回答に切り替える、当てる前に予告する |
| 家では普通に話している | 「家では話せるのに」と比べる | 家が安心の基地になっていることを大切にする |
| 友達の前で話せない | みんなの前で「声を聞かせて」と注目させる | 仲の良い子と同じグループにして、少人数から始める |
| 小さな声が出た | 「話せたね!」と大きく反応する | さりげなく受け止め、プレッシャーにしない |

人前で話せなくなったきっかけがいじめだった場合はいじめによるPTSD、吃音で話すことに不安がある場合は吃音は遺伝するのか、人との距離のとり方全体に難しさがある場合は愛着障害の子どもへの接し方の記事も参考にしてください。
家庭でできる接し方
1. 話すこと以外の参加を認める
うなずき、指さし、筆談、カード、ジェスチャーなど、”話さなくても伝わる方法”を用意すると、本人の安心と自信につながります。
2. スモールステップで進める
いきなり「みんなの前で発表」ではなく、安心できる相手・小さな場面から少しずつ。できたことを一緒に喜ぶ積み重ねが大切です。
3. 家庭を”安心の基地”に保つ
家では話せることを責めず、のびのび過ごせる時間を大切に。安心の土台があるほど、外での挑戦もしやすくなります。

学校でできる配慮
担任の先生やスクールカウンセラーに、「話さないのではなく、話したくても声が出ない状態」であることを丁寧に伝えることが第一歩です。そのうえで、仲の良い子と同じグループにする、発表は筆談やカードで代替する、当てる前に予告する、話せなくても参加を認める——といった配慮をお願いしましょう。安心できる役割(プリント配りなど)を用意するのも効果的です。
学校以外の「居場所」を先に用意しておく
NIJINアカデミーは、午前でも午後からでも参加できるオンラインのオルタナティブスクールです。在籍校の出席扱いになる例も多く、まずは体験会で雰囲気を見てから決められます。
LINEで無料体験会に申し込むお願いするのは「話せるようにしてください」ではありません。声を使わずに参加できる方法を用意してもらうことです。診断がなくても相談はできます。そのまま面談に持っていける形で、場面ごとの言い方をまとめました。
| 困っている場面 | お願いする配慮の例 | 伝え方 |
|---|---|---|
| 出欠の返事 | 手を挙げる・カードを出すなど、声以外の合図にしてもらう | 「返事の代わりに、机の上のカードを立てる形にしていただけますか」 |
| 音読・発表 | 家で録音したものを流す、筆談やタブレット入力に替える、見学から始める | 「発表は、家で録音したものを再生する形でも評価していただけますか」 |
| 質問・困りごと | 「困ったときカード」や連絡帳で、声を出さずに伝えられるようにする | 「助けが必要なときに見せるカードを持たせてもよいでしょうか」 |
| トイレ | 声を出さずに行ける合図を決める、休み時間に声をかけてもらう | 「トイレは、黙ってカードを見せたら行ってよい、にできますか」 |
| 給食 | 量を自分で減らせるようにする、食べられない日を責めない | 「量は自分で調整してよい、としていただけると助かります」 |
| 休み時間 | 行き先を決めておく(図書室・保健室)、役割をひとつ持たせる | 「休み時間の居場所を、本人と決めておきたいです」 |
| 注目が集まる場面 | 当てる前に合図を決める、無理に当てない、ペアを固定する | 「当てるときは、事前に順番を伝えていただけますか」 |
①家ではふつうに話していること、②学校では声が出ないこと、③本人は話したいと思っていること、④話すよう促されると逆に出にくくなること、⑤声を使わずに参加できる方法を一緒に考えたいこと。この5つを、この順番で。場面緘黙は通級による指導や特別支援学級の対象になることもあり、「自立活動」として少人数で段階的に話す練習を積む使い方が推奨されています。
緘黙の子の
スモールステップ|
「話す」までの段階を
小さく分ける
場面緘黙の改善は、いきなり「みんなの前で話す」を目指すのではなく、安心できる相手・場所・方法を少しずつ広げていくことが基本です。記事の前半でも触れたとおり、数か月から数年単位の時間がかかることも珍しくありません。
次の表は、段階を小さく分けるときの考え方の一例です。どこから始めるか、どのくらいの速さで進めるかは子どもによって違います。心理や言語の専門家、担任の先生と相談しながら、「今の段階で安心してできていること」を土台にしてください。
| 段階 | できることの例 | 周りの大人の関わり |
|---|---|---|
| 1. 声を使わずに参加する | うなずき、指さし、カード、筆談 | 声以外の方法での参加を、そのまま「参加」として認める |
| 2. 声以外の音を出す | 楽器、手をたたく、家で録音した音読を聞いてもらう | 反応は控えめに、いつも通りの態度で |
| 3. 安心できる人と、安心できる場所で話す | 家や放課後の教室で、保護者や仲の良い子と話す | その場に先生がそっと加わるなど、人を一人ずつ増やす |
| 4. 少人数の中で声を出す | グループ活動で、決まった一言を言う | 言う内容を事前に決めておき、予告してから指名する |
| 5. 場面を広げる | 発表や、初めての相手との会話 | うまくいかない日があっても、前の段階に戻って大丈夫と伝える |
| チェック | 共有すること | 伝え方の例 |
|---|---|---|
| □ | 話せる場面・話せない場面 | 「仲の良い〇〇さんとは小声で話せますが、授業中は声が出ません」 |
| □ | 使える伝え方 | 「筆談やカードなら、答えを伝えられます」 |
| □ | 避けてほしい対応 | 「みんなの前で『声を聞かせて』と言われると、固まってしまいます」 |
| □ | 指名のしかた | 「当てる前に予告してもらえると、準備ができます」 |
| □ | 安心できる役割 | 「プリント配りなど、声を使わない役割があると参加しやすいです」 |
| □ | 家での様子 | 「家では学校の出来事を話してくれています」 |
安心して学べる選択肢とNIJINアカデミー

大きな集団や、話すことを求められる場がつらいときは、学び方そのものを変える選択肢があります。社会は学校の教室だけでできているわけではありません。
学校は、この図の左上に強く寄っています。声でやりとりし、みんなが同じことを同じやり方で進める場所です。場面緘黙の子が苦しいのは社会そのものではなく、左上だけで評価される時間が長すぎることのほうです。
土俵を変えると、同じ子の見え方が変わります。1日6時間、口頭のやりとりを鍛えている子たちの隣で、その子は体で伝える力や、つくって伝える力にその時間を使うことができます。左上に合わせることだけに家庭の力を使い切ってしまうのは、もったいない選び方です。
NIJINアカデミーの場合
NIJINアカデミーは、不登校の小中学生のためのオルタナティブスクールです。累計1,000名超が入学し、オンラインとリアルの両方に居場所があります。声を出さずに参加できる形は前に書いたとおりで、ここではその先に何が起きるかをまとめます。
家にいるからこそ、できることが増える
家から学ぶというと、できることが減る印象があるかもしれません。実際には逆のことが起きます。教室では手を挙げられなかった子が、チャットなら真っ先に答える。声を出さないまま、サークルで友達ができる。
環境が変わると、その子の見え方が変わります。学校は口頭でのやりとりが濃い場所なので、そこでは緘黙だけが目立ちます。けれど家ではよく話し、感じ取る力が強く、個性のはっきりした子が多い。その個性を削らずに育てられる場所として、家から通える校舎があります。
合わない場所で声が出ないことと、その子の力は別のものです。学校に戻ることだけを目標にせず、いまの力が生きる土俵を一緒に探す。それが、緘黙の子のキャリアの考え方だと思っています。
NIJINアカデミーに移った子と保護者が、自分の言葉で語ったインタビューです。
場面緘黙症が「治ったきっかけ」|環境の変化と、話す以外の参加
「治ったきっかけ」として語られることの多くは、劇的な出来事ではありません。声が出る場面がどこかにあり、そこから広がっていったという話がほとんどです。薬や訓練より先に挙がるのは、環境が変わったことと、話す以外の参加の形が増えたことの2つでした。
経験者や家族の話に共通して出てくるのは、特効薬のような出来事ではありません。環境が変わったことと、話す以外の参加の形が増えたことの2つです。進級してクラスが替わった、少人数の場に移った、信頼できる大人が1人できた。そうした変化のあとに声が出はじめたという話が多く聞かれます。逆に効果が出にくいのは「がんばって話してみよう」と促すことです。話すことを目標にすると、話せなかった日がすべて失敗になります。
学校に行きたがらなくなったとき
長い休みのあとに行き渋りが出やすいのは、再開した直後に声を出すことを求められる場面が続けて並ぶからです。始業式、自己紹介、休みの思い出の発表、席替え、音読。どれも黙っていると目立つ場面で、緘黙の子には連続した負荷になります。「夏休み前は行けていたのに」という変化は、子どもが弱くなったからではありません。
| いつ | すること | 避けたいこと |
|---|---|---|
| 1日目 | 理由を聞く前に、「今日は休んでいい」と先に言う。安心してから話せることのほうが多い。 | 「どうして行きたくないの」と理由を言わせる |
| 2日目 | 学校に事実だけ伝える。「家では話せるが、学校では声が出ない。本人は話したいと思っている」。 | 「少し様子を見ます」で連絡を止めてしまう |
| 3日目 | 学校に行く・行かないの二択をやめ、行き先を分けて考える。図書室、保健室、家庭での学習、学校以外の場。 | 登校を目標にして、行けた日だけを評価する |
別室登校や放課後登校は、定型発達の行き渋りにはスモールステップとして働きます。ただし緘黙の子の場合、別室でも放課後でも大人と一対一で向き合う場面が生まれ、かえって声を求められる密度が上がります。登校の形を小さくするより、声を使わずに参加できる形を増やすほうが先です。
学校以外の場を考えるときも、見るところは同じです。声を出さずに参加できるか、話さないことが評価に響かないか、テキストでのやりとりが用意されているか。この3つが満たされていれば、場所の形はオンラインでも対面でもかまいません。
不登校・二次障害との関係と相談先
適切な支援がないまま放置されると、強い緊張が続き、不安の悪化・不登校・引きこもり・抑うつなどの二次的な問題につながるリスクがあります。早めの理解と配慮が何よりの予防です。心配なときは、児童精神科や心理・言語の専門機関、公認心理師、また「かんもくネット」などの支援団体にも相談できます。ひとりで抱え込まないでください。

「そのうち治る」と様子を見ているうちに、学年が上がってしまうことがあります。厚生労働科学研究の調査(当事者・家族133名の回答)では、緘黙の症状が悪化傾向にあると答えた割合が中学生で48.0%と最も高くなっていました。小学生は21.3%、高校生以上は25.7%です。
日本小児神経学会も、話せない状態が続くことで学習が進みにくくなることや、社会的な自立が難しくなるといった二次的な問題が生じることがあるとしています。治療としては心理行動療法などによるアプローチが中心で、必要に応じて薬が使われることもあります。共通して言われているのは、無理に話させようとしないことです。相談先は、小児科・小児神経科・児童精神科・学校のスクールカウンセラー・自治体の教育相談のいずれでもかまいません。
よくある質問(Q&A)
よく届く質問をまとめました。気になるものから開いてください。
よくある質問 9問を開く
場面緘黙は何人に1人の割合ですか?
日本の小学生約14万7千人を対象にした大規模調査では0.21%、およそ500人に1人でした。研究によって0.02〜1.89%と幅があるため、「1,000人から数百人に1人」と考えるのが実態に近いとされています。
場面緘黙は発達障害ですか?
違います。場面緘黙(選択性緘黙)は不安症のグループに分類される状態で、発達障害とは別のものです。ただし併存することはよくあり、海外の研究ではASDの併存が約3割、調査によっては63%という報告もあります。
親のせい、育て方のせいですか?
違います。背景にあるのは不安を感じやすい生まれ持った気質と考えられており、しつけや愛情のかけ方が原因だという根拠はありません。家で話せているのは、家庭が安心できる場になっているということです。
自然に治りますか?放っておいたらどうなりますか?
自然に軽くなる子もいますが、そうでない子もいます。厚生労働科学研究の調査では、症状が悪化傾向にあると答えた割合は中学生で48.0%と最も高く、小学生21.3%、高校生以上25.7%でした。
声だけでなく、動きも止まるのはなぜですか?
緘動(かんどう)と呼ばれる状態です。強い不安で体が固まる反応が、声以外の動きにも出ています。手を挙げられない、トイレに行けない、給食が食べられないといったことが起きますが、やる気の問題ではありません。
「ずるい」「甘え」と言われたときは、どう答えればいいですか?
本人は話したいのに声が出ません。配慮は免除ではなく参加するための手段で、発表を筆談にするのは眼鏡をかけるのと同じ考え方です。詳しい答え方は場面緘黙症は「ずるい」のかにまとめています。
学校を休ませると、出席はどうなりますか?
自宅でのICT等を使った学習は、在籍校の校長の判断で出席扱いにできます。文部科学省の調査では、令和6年度にこの扱いを受けた小中学生は1万3,261人でした。手続きは学校との事前の相談が前提になります。
まとめ
場面緘黙は「話したいのに話せない」不安の状態で、本人の努力不足でも性格でもありません。話すことを強要せず、非言語の参加を認め、スモールステップと専門家の力を借りながら、安心できる環境を整えていきましょう。学校以外の学びの場も、その子の安心を守る大切な選択肢です。
音への感覚過敏があり、外出時はイヤーマフや耳栓が欠かせなかった小学6年生の女の子がいました。初めてのオンライン面談では、カメラに映ることもできず、お母さんの後ろに隠れて言葉もお母さんを通して伝えていたそうです。無理に人前に出す働きかけではなく、「離れた場所から見ていてもいい」「今日は二人で過ごしてもいい」という1on1の関わりを続けたことで、少しずつ自分の声で気持ちを伝えられるようになりました。
※本エピソードは、NIJINアカデミー在籍者へのインタビュー記事を基に構成しています。
NIJINアカデミーは、不登校・発達特性のある小中学生が安心して学べるオンラインフリースクールです。まずは雰囲気を知ることから。





