「学校がにぎやかすぎて、1時間もたたないうちに疲れてしまう」——聴覚過敏のある子にとって、教室のざわめきやチャイムは、大人が想像する以上の負担です。この記事では、聴覚過敏で学校がつらい子への対応として、家庭でできる音の対策、学校にお願いできる合理的配慮、そして刺激の少ない在宅学習という選択肢を、専門データと実例をもとに解説します。

聴覚過敏とは|音の「音量」だけの問題ではない
聴覚過敏とは、多くの人が気にならない音を、強く・不快に感じてしまう状態です。特定の高い音が刺さるように感じたり、複数の音が重なると内容を聞き分けられなくなったりします。
データ|感覚過敏の中でも聴覚の困りごとは多い
当事者調査では、もっとも困る感覚として「聴覚」を挙げる人が約55%と最多でした。自閉スペクトラム症のある子では、感覚処理の問題を抱える割合が高く、なかでも聴覚の過敏さは頻度が高いと報告されています。教室のような「音があふれる環境」が特につらいのは、こうした特性ゆえです。
出典:国立障害者リハビリテーションセンター研究所「発達障害のある人の感覚の問題」国立リハ
教室の「つらい音」の正体
- 大勢のざわめき・話し声が重なる音
- チャイム、椅子や机を引きずる音
- 運動会のピストル音、笛、突然の大きな音
- 休み時間や給食時間の、教室全体のがやがや
これらから逃げられない状態が続くと、頭がいっぱいになり、強い疲労や頭痛、めまいにつながることもあります。「うるさいと感じる」だけでなく、体力を根こそぎ奪われるのが聴覚過敏のつらさです。
「学校がにぎやかすぎて疲れる」|たぴたぴさんの物語
NIJINアカデミーの子どもたちの声
聴覚過敏の傾向がある小1のたぴたぴさんは、にぎやかな声や急に鳴る大きな音が苦手でした。通学路の階段の上からにぎやかな声が聞こえると「はぁ、ため息がでちゃう」と言い、校門までは行くものの足が止まって泣き出してしまうことも。「にぎやかすぎて、もう1時間たたない位で疲れちゃう」——そんな毎日でした。
お母さんはすぐに別の居場所を探し、オンラインで少人数の学びができるNIJINアカデミーへ。「自分の好きな時にパソコンを立ち上げ、にぎやかだと思ったらそっと閉じて離れられる」。自分の“ちょうどいい”環境を得て、今では顔出しで楽しそうに発言するまでに成長しています。
参考:NIJINアカデミー「学校がにぎやかすぎて疲れてしまう|聴覚過敏の小学1年生が見つけた学びの場所」NIJINアカデミー
家庭・持ち物でできる音の対策
音の刺激を減らす道具
- イヤーマフ・耳栓・デジタル耳栓:音量そのものを物理的に下げる
- ノイズキャンセリングイヤホン:ざわめきなどの環境音を抑える
- 静かな逃げ場:家庭に、音を避けてクールダウンできる場所をつくる
▶ 感覚過敏(聴覚過敏を含む)と不登校のつながりを専門家が解説(脱・学校のタツロー校長)
学校にお願いできる合理的配慮
聴覚過敏への配慮は、学校に相談できる「合理的配慮」です。内閣府の事例集にも具体策が示されています。
学校での配慮の例
- 机や椅子の脚に緩衝材(テニスボール等)をつけ、雑音を軽減する
- イヤーマフや耳栓の使用を認める
- 口頭指示だけでなく、ホワイトボードや筆談など視覚的にも伝える
- 行事や休み時間に、静かな別室・カームダウンできる場所を用意する
参考:内閣府「合理的配慮等具体例データ集(教育分野)」内閣府/厚生労働省「発達障害の特性」
2024年(令和6年)4月から、学校を含む事業者にも合理的配慮の提供が義務づけられました。「困っていること」と「してほしい工夫」を具体的に伝えれば、学校も動きやすくなります。周囲の理解を得るためにヘルプマークを活用するのも一つの方法です。
それでもつらいなら、環境を変える選択
道具や配慮で負担を減らしても、教室そのものが刺激の多い環境であることは変わりません。無理を重ねる前に、静かな環境で学ぶという選択肢も検討できます。在宅・オンラインの学びなら、音量を自分で調整でき、つらくなったらそっと離れられます。「音に耐える」ことにエネルギーを使わずにすめば、学びや興味にエネルギーを向けられます。

音に疲れない、自分のペースの学び
NIJINアカデミーは、自宅から参加できるオンラインの学びと居場所です。教室のざわめきがなく、にぎやかだと感じたらそっと離れることもできます。聴覚過敏で学校がつらいお子さんの居場所を探している方は、まずは無料でご相談ください。
本人が「自分を守る方法」を持てるように
聴覚過敏との付き合い方で大切なのは、子ども自身が「つらくなったら、こうすればいい」という対処法を持てるようにすることです。イヤーマフを使う、静かな場所に移動する、深呼吸する——どんな方法でも、本人が「自分で自分を守れる」という感覚を持てると、不安が大きく減ります。家庭では「今、音がしんどい?」と気持ちを言葉にする練習をしたり、「どうしたらラクになりそう?」と一緒に対処法を考えたりしましょう。大人が先回りしてすべてを取り除くのではなく、本人が自分の特性を理解し、対処のレパートリーを増やしていくこと。それが、これから先の長い人生を生きやすくする力になります。
まとめ
聴覚過敏は、音を強く不快に感じ、体力を奪われてしまう脳の特性です。教室はざわめき・チャイム・突然の大きな音であふれ、逃げられないことが大きな負担になります。まずはイヤーマフやノイズキャンセリングなどの道具で守り、机の緩衝材・別室・視覚での伝達といった合理的配慮を学校にお願いしましょう。それでもつらいなら、静かな環境で学べる在宅・オンラインの学びが有力な選択肢です。たぴたぴさんのように、自分の“ちょうどいい”環境を得ることで、その子は本来の力と笑顔を取り戻せます。
よくある質問
- Q. イヤーマフを学校でつけると目立ちませんか?
- A. 近年は聴覚過敏への理解が広がり、使用を認める学校が増えています。クラスに事前に説明してもらう、ヘルプマークを併用するなどで、周囲の理解を得やすくなります。合理的配慮として堂々と相談してよいものです。
- Q. 聴覚過敏は治りますか?
- A. 「治す」ものではなく「付き合う」特性です。道具や環境調整で困りごとを減らし、自分に合った対処法を身につけることで、生活のしづらさは大きく軽減できます。
- Q. 受診したほうがよいですか?何科ですか?
- A. 気になる場合は、まず小児科や耳鼻科、発達を診る児童精神科・小児神経科が入口です。背景に発達特性がある場合もあるため、学校や自治体の相談窓口から紹介してもらうのもよいでしょう。
- Q. きょうだいや家族に「うるさいだけでは」と言われます。
- A. 聴覚過敏は本人にしか分からないつらさで、体力を奪う実害があります。国の資料でも特性として認められています。家族で正しい理解を共有することが、本人の安心につながります。
- Q. 家では音を気にしないのに、学校だけつらいのはなぜ?
- A. 家は音量や環境を自分で調整でき、逃げ場もあります。一方、学校は多くの音が同時に鳴り、逃げられません。同じ子でも、環境によってつらさが大きく変わるのは自然なことです。
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