学校が大好きだったお子さんが学校に行けなくなり、そこからどのように日々が変わっていったのか。
保護者としての葛藤や気づきについて、率直に語っていただきました。
- 学校が大好きだった子が不登校になるまでの過程
- 「将来」への不安より、「今の時間」を守る決断
- 学校に行けなくても、子どもの「好き」なことを否定しない大切さ
- オンラインスクールという、新しい学びの場との出会い
- 「不登校」という言葉への違和感と、親子の時間に生まれた変化
学校が大好きだった子に起きた変化
そう振り返る、たっぴーさんのお母さま。
それまでのたっぴーさんは、友達も多く、学校の出来事を毎日楽しそうに話してくれる子でした。
転機となったのは、4年生のときに入った吹奏楽部でした。
楽器が好きで始めた部活でしたが、先輩や部長から厳しい言葉をかけられる日々が続きます。
毎日のように「下手だ」と言われ続け、やがて心が耐えきれなくなり退部することに。
退部後、顧問の先生や周囲の児童からの風当たりが強くなり、学校で過ごす時間そのものが苦しいものへと変わっていきました。
音楽の授業がある日は朝からお腹が痛くなる。
やがて腹痛は慢性的になり、体調不良が続くようになりました。
診断は過敏性腸症候群。
心の負担が体の症状として現れていました。
そして5年生の冬、たっぴーさんは学校に行けなくなりました。
その姿を見るのが本当につらかったです」
学校に行かない日々の中でも続けたこと
学校に行かなくなった当初、家で過ごす時間は長くなりました。
やることがなく、ぼんやり過ごす時間も増えていきます。
それでも「何もしていないと思われたくない」と、自分からドリルに取り組んでいました。
そしてもうひとつ、変わらず続けていたことがあります。
楽器の練習です。
つらい経験をしたはずなのに、「嫌いになりたくない」と毎日続けていました。
その姿を見て、「この子の“好き”だけは守らなきゃ」と強く思いました。

不安の中で感じていたこと
不登校になったとき、保護者としての不安は尽きませんでした。
勉強は遅れないだろうか。
中学校生活はどうなるのだろうか。
友達との関係は続くのだろうか。
けれど、お母さまが何より感じていたのは
「この子の時間が止まってしまうことがもったいない」
という思いでした。
人と関わることが大好きだったたっぴーさん。
その機会がなくなってしまうことが、何よりも切なかったといいます。
周囲から「育て方が悪いのでは」と言われたこともあったそうです。
それでもお母さまは、原因は環境だと捉えていました。
家庭のせいだとは思いませんでした」
「ここなら」と思えた出会い
冬休みの間、居場所を探し始めました。
オンラインだけではなく、実際に人と関われる場所を探していたといいます。
ちょうどその頃、兄が料理教室へ通っていた影響もあり、たっぴーさんも「自分も料理をやってみたい」と話すようになりました。
しかし多くの料理教室には身長制限があり、通える場所は限られていました。
料理の体験ができる居場所を探していく中で、ニジアカを見つけます。
料理ができて、リアルで人に会える。
さらに通い方も柔軟で、週5日は費用面や仕事との両立が難しいと感じていた中、週1回なら現実的だと思えたことも背中を押しました。
見学の日、体験を終えたたっぴーさんは久しぶりに前向きな言葉を口にします。

その一言で「ここなら大丈夫かもしれない」と感じたそうです。
笑顔が戻った日常

通い始めてから1〜2か月ほどで、家での様子に変化が見え始めました。
その日あった出来事を楽しそうに話すようになり、表情が柔らかくなっていきます。
作った料理を家で再現することもありました。
今では、学校に通っていた以上に、よく話してくれるようになりました」
現在ではニジアカのイベントに参加したり、友達と出かけたり、自分で企画を立てたりと、活動の幅は大きく広がっています。
家庭で大切にしてきたこと
たっぴーさんのお母さまが一貫して大切にしてきたのは、「好きなことを否定しない」ことでした。
音楽が大好きなたっぴーさん。
学校で「下手だ」と言われ続けたことで、自己肯定感が大きく下がり、「人前で演奏してはいけない」と思い込むようになってしまったといいます。
だからこそ家では、
「楽しいと思うことは続けていいんだよ」
と伝え続けてきました。
好きなことをつぶさないこと。
それだけは絶対に守ってあげたいと考えてきたそうです。
また、学校に通っていれば得られたはずの経験についても、まったく同じにはできなくても、似た体験はさせてあげたいと考えてきました。
友達と遠足を企画したり、学校イベントで出される給食と同じ献立を家で再現したり。
失われた機会を別の形で補えるよう、日常の中で工夫を重ねてきました。
そしてもうひとつ大切にしていたのが
学校に行っていないことを責めないこと。
さらに、お母さまは兄弟とのバランスも常に意識していたといいます。
末っ子にだけ手をかけるのではなく、上の兄弟の要望にも応えながら、「みんなを見ている」というメッセージを伝え続けてきました。
不登校がくれた親子の時間
振り返ると、不登校の期間はつらいだけの時間ではなかったといいます。
「親子で過ごす時間が増えて、たくさん話すようになりました。
子どもが大きくなると一緒にいる時間は減っていくので、この時間はとても貴重だったと思います」
“得られた時間”
そう思えるようになったことが、お母さまにとって大きな変化でした。
同じように悩む保護者へ

最後に、同じ立場の保護者へのメッセージを伺いました。
ただ環境との相性が合わなかっただけだと思います」
そしてこう続けてくださいました。
子どもが笑って過ごしてくれていること、それだけで十分なんです」
不登校という出来事は決して望んだものではないかもしれません。
それでも、その時間の中で見つけた親子の関係や気づきは、かけがえのないものになっていました。
インタビューを終えて
今回お話を伺いながら、いじめが起きたときのたっぴーさんの気持ちを思うと胸が苦しくなりました。
本来守られるべき場所で守られなかったことのつらさは、言葉にできないほどだったと思います。
それでも、今を前向きに生きているたっぴーさんとお母さまの姿がとても印象的でした。
環境の問題だと受け止められるお母さまの強さ、そして勉強や音楽を続けているたっぴーさんの姿に、「好き」を持ち続ける力の大きさを改めて感じました。
この物語が、今まさに悩んでいる保護者の方にとって、少しでも心が軽くなるきっかけになれば嬉しく思います。
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