正解のない自己表現ができる「アート」は、学校の仕組みが合わずに不登校になった子どもたちにとって、自らの才能や個性に気づくきっかけになる——。
NIJINアカデミーは、この想いからTOPPAN芸造研と連携し、企業の中にフリースクールを開校しました。2025年5月から11月までの半年間、アートを軸に子どもたちの自己表現と安心できる居場所づくりに取り組んだ共創事例です。本記事では、実際に通った3人の子どもたちの変容を中心に、その歩みを振り返ります。
なぜ「アート×不登校」だったのか
不登校の子どもたちの中には、言葉よりも、絵や形、色などで自己表現することを得意とする子が多くいます。学校という環境の中では、本来の感性や個性を発揮できず、「自分を出してはいけない」「目立たないほうがいい」と感じてしまう子も少なくありません。
正解のない自己表現ができる「アート」は、学校の仕組みが合わずに不登校になった子どもたちにとって、自らの才能や個性に気づくきっかけになる。NIJINアカデミーはそう考え、アートを通して安心して“自分らしさ”を表現できる場をつくることが、子どもたちの回復と成長につながると確信して、本プログラムをスタートしました。
企業の中にフリースクールを──御茶ノ水TOPPAN校
本プログラムは、「NIJINアカデミー御茶ノ水TOPPAN校」として開校。御茶ノ水駅を最寄りとするTOPPAN芸造研本社という、企業内の特別な環境で、臨床美術を専門とする講師陣によるアートプログラムを実施しました。
企業の中にフリースクールができることのインパクトは大きく、体験会にはたくさんの子が参加してくれました。半年間で30名以上の子どもたちが体験参加し、リアル校ならではの、静かで穏やかな空間の中で作品づくりに向き合いました。
5〜11月 開校期間(半年間)
“評価されない安心感”の中で生まれた変容
TOPPAN校でなにより大切にされたのは、“評価されない安心感”でした。「より良い絵」を求めるのではなく、一人ひとりの表現をそのまま認める。その環境の中で、子どもたちは正解のない自己表現に没頭することができました。
体験会では、静かな環境で目の前のアートにだけ集中し、自分の感性と向き合う子どもたちの姿が見られました。作品の過程を、とても楽しそうに伝えてくれる場面もありました。
この体験会から入会につながり、実際に半年間リアル校に通った生徒たちには、確かな変容が現れていきます。
3人の子どもたちの物語
場面緘黙症をきっかけに不登校になり、人前で話すことが難しいはにゃちゃん。学校ではマスクを外せず、水も飲めなかったといいます。そんな彼女ですが、実はアート・イラスト・モノづくりが大好き。初めての体験会には、自前の100色色鉛筆を持参してくれました。
朝早く起きて電車に乗って通うことも、お母さんと離れて慣れない場所に一人で参加することも、はにゃちゃんにとっては大変なことだったかもしれません。しかしTOPPAN校では、みんなと一緒にお昼を食べ、お菓子を交換できるようになりました。未知だったはずの挑戦が、今や「楽しい」という気持ちに変わっています。
そして通学から約半年後の学園祭で、はにゃちゃんは自分のショップ出店に挑戦。接客という難易度の高いコミュニケーションに加え、お客さんの注文に合わせてその場でオリジナルキーホルダーを作るなど、挑戦のレベルもどんどん上がっていきました。
もともと絵が得意で、デザインセンスのあるKOKOROさん。しかし学校という環境では自分を出せず、不登校になりました。TOPPAN校では、1つ1つの作品に丁寧に向き合い、自分らしい表現・こだわり・センスを存分に発揮する姿が見られました。
アートを通して自分らしい表現方法に自信をつけた彼女は、学園祭で「手」をテーマにしたオリジナル作品を展示。さらに先日開催された、約80名が参加する卒業式「門出を祝う会」では、アドリブも交えながら臨機応変に司会をつとめあげました。学校では決して見られなかったであろう姿です。
なぜニジアカではできたのか。それは、決められた教科や型にしばられず、自分らしさを表現できる方法がたくさんあり、その積み重ねが安心→自信→挑戦へと変わっていったからです。
学校でのコミュニケーションに難しさを感じて不登校になったかれんさん。入学当初はメタバースにも馴染めずにいました。けれど、アートで“自分の発想や表現が認められる”経験を重ねるうちに、メタバースでも参加できるようになっていきました。
今では、100人以上が集まる校舎のHR(ホームルーム)で発表し、動画制作にも積極的に取り組んでいます。
ここで紹介した3人は、どの子も「表現活動」を突破口に、自分らしさや個性を表現できるようになっていきました。教科書的な学びだけではない、さまざまな表現方法が認められるからこそ生まれた、自信と挑戦です。
また、毎時間の活動後に行われる「鑑賞の時間」に、他の子の作品を見て刺激を受けたり、臨床美術士の方から評価をもらえたりすることが、子どもたちにとって大きな自信になっている——という声も、保護者の皆様から多く寄せられています。
講師が語る、子どもたちの変容
実際にリアル校で授業を担当していた臨床美術の講師からは、次のような声が聞かれました。
日々の積み重ねが、子どもたちの内側にある「やってみたい」という気持ちを、少しずつ引き出していきました。
子どもたちが感じたTOPPAN校
半年間を過ごした子どもたち自身は、TOPPAN校をどう感じていたのでしょうか。
作業時間中も、それ以外も、誰かの声が通ることが少ない静かな教室でした。かといって、その無言の空間が苦しいわけでもなく、ひたすら穏やかに、ただただそれぞれが取り組んでいく。そんなTOPPAN校の空気感が、とても自分に合っていました。
- 使ったことのない材料で、作ったことのないものをたくさん作れたのが楽しかった
- みんなの前に作品を出すのも嫌じゃなかった。先生が自分の作品のいいところをたくさん見つけてくれたから
- 静かな空間でとても居心地が良かった。話さなくても、みんなと繋がってる感じがした
“すでにある力が出る環境をつくる”ということ
この半年間の取り組みは、企業・教育・子どもが共に価値を生み出す新しいモデルを示しています。アートという表現手段を通して、子どもたちが自分らしさを取り戻し、社会と再びつながっていく。企業内フリースクールは、これからの不登校支援・教育の新たな選択肢として、大きな可能性を秘めています。
次の共創へ──メタバース不登校支援・自治体連携へ
NIJINアカデミー御茶ノ水TOPPAN校での実践は、TOPPAN×NIJINによる「むつ市 メタバース不登校支援」の導入にも大きく貢献しました。
この実績により、自治体営業においても、メタバース空間の提供にとどまらず、リアルな場での不登校支援を組み合わせた提案が可能となりました。
NIJINアカデミーでは、子ども一人ひとりの「好き」と「可能性」を伸ばす学びを届けています。
まずはメタバース校舎の体験から、お気軽にご参加ください。

