ADHDの中学生への接し方と対応|小学生との違い・思春期の壁と家庭でできること

ADHDの中学生への接し方|小学生との違い・直面する壁と家庭でできる対応
小学生の頃はなんとかなっていたADHDの特性が、中学生になったとたん「壁」として立ちはだかることがあります。教科担任制への移行、定期テスト、部活動、思春期特有の対人関係の複雑化――環境が大きく変わる中学生の時期は、ADHDのある子どもにとって新たな困難が生まれやすいタイミングでもあります。この記事では、ADHDの中学生が直面しやすい壁と、小学生との違い、家庭でできる対応について解説します。
この記事でわかること
  • ADHDの中学生が小学生時代と比べて直面しやすい壁
  • 思春期特有の困りごとと、その背景
  • 家庭でできる対応と、学びを止めない選択肢

中学生になって表面化しやすいADHDの困りごと

小学生の頃は担任の先生が一人で見てくれていたため、忘れ物や提出物の遅れをその場でフォローしてもらえていたという子どもも多くいます。しかし中学生になると教科担任制に変わり、先生一人あたりが把握できる生徒の情報量が減ります。その結果、「サポートされていた困りごと」が急に本人の責任として表面化しやすくなるのが、中学生特有の壁です。

定期テストに向けた計画的な勉強、複数教科の課題の管理、部活動との両立など、求められる自己管理の量が一気に増えることも、ADHDの特性がある子どもにとって大きな負担になります。

小学生時代との違い

項目小学生中学生
担任体制基本的に1人の担任が全教科を担当教科ごとに担当が変わる
評価通知表中心定期テスト・内申点が進路に直結
対人関係比較的固定されたクラス内の関係部活・グループなど複雑化
自己管理大人のサポートが多い自分での管理を求められる場面が増える
図解:中学生になって困りごとが増える仕組み
1環境の変化

教科担任制・定期テスト・部活動が始まる

→
2自己管理の負担増

複数の課題・スケジュールを自分で管理する必要

→
3失敗経験の増加

忘れ物・提出遅れ・成績不振が重なる

→
4自己肯定感の低下

「自分はできない」という思いが強まる

🔁 ①に戻り、悪循環が繰り返される
スマートフォンを持つ中学生の男の子

思春期特有の対人関係の難しさ

ADHDの特性がある子どもは、衝動的な発言や、相手の話を最後まで聞かずに反応してしまうことなどから、対人関係でのすれ違いが起こりやすい傾向があります。思春期は友人関係が複雑になり、周囲の目を強く意識する時期でもあるため、こうした特性が「浮いてしまう」ことへの不安につながることもあります。

家庭でできる対応

1. できていることに目を向ける

失敗が続くと、本人も保護者も「できないこと」ばかりに目が向きがちです。小さくても「できたこと」を具体的に言葉にして伝えることが、自己肯定感を保つ支えになります。

2. 管理の仕組みを一緒に作る

スケジュール帳やリマインダーアプリなど、本人に合った管理の仕組みを一緒に考え、最初は大人がサポートしながら定着させていくとよいでしょう。

3. 学校と情報共有する

教科担任制になると先生同士の情報共有が薄れがちです。担任やスクールカウンセラーを通じて、本人の特性や必要な配慮を各教科の先生に共有してもらうよう相談してください。

図解:家庭でできる対応の進め方
1できたことを認める

小さな成功を具体的な言葉で伝える

→
2仕組みを一緒に作る

本人に合った管理方法を試行錯誤する

→
3学校と共有する

教科担任全体に必要な配慮を伝える

→
4専門機関に相談

負担が大きい場合は医療機関等に相談

NIJINアカデミーの校外活動で笑顔を見せる不登校を経験した子どもたちオルタナティブスクールという選択肢

学校に合わないからこそ、輝く個性がある。

NIJINアカデミーは、日本初、公教育を持ち運び可能にした
オルタナティブスクール(小中高一貫校)です。

  • 累計入学 1000名超
  • 出席認定率 97%(希望者)
  • 全国52か所のリアル教室

※出席扱いの最終判断は在籍校です。数字はNIJINアカデミー公式サイトの掲載値。

友だち追加は無料・相談だけでもOKです|デジタルパンフレットを見る

ADHDの中学生への接し方|思春期の子に届く声かけ・届きにくい声かけ

中学生になると、小学生のころと同じ声かけが急に届かなくなることがあります。思春期は「自分で決めたい」気持ちが強くなる時期です。指示や注意を増やすより、本人が自分で選べる形にして手渡すほうが、ADHDの特性がある子には届きやすくなります。よくある場面ごとに、言い換えの例をまとめました。

場面別|届きにくい声かけと、届きやすい声かけ

ADHDの中学生への声かけ|言い換えの例
場面届きにくい声かけ届きやすい声かけ
忘れ物をした「何回言ったらわかるの」「明日の持ち物、玄関のリストで一緒に確認しようか」
提出物が遅れている「なんで出してないの」「今週出すものを1枚に書き出してみない?」
定期テストの勉強をしない「もうテストでしょ、勉強しなさい」「どの教科からやる?最初の15分だけ付き合うよ」
スマホやゲームがやめられない「いい加減にしなさい」(急に取り上げる)「あと何分で区切る?自分で決めてタイマーをかけよう」
友達とトラブルになった「あなたが悪いんでしょ」「そのとき、どんな気持ちだった?」とまず話を聞く

うまくいかない日があっても大丈夫です。「責めない」「選ばせる」「できたことを具体的に伝える」の3つを意識するだけでも、家庭の空気は変わっていきます。

中学校生活の場面別|家庭でできるサポート

ADHDの中学生|場面別のサポート例
場面つまずきやすいこと家庭でできるサポート
定期テスト範囲が広く、計画を立てられないまま直前になる2週間前から、教科ごとに「1日にやる量」を小さく分けて一緒に書き出す
提出物教科ごとに締切がばらばらで把握しきれない提出物と締切を1枚の表やホワイトボードに集約する
部活動練習と勉強の両立で疲れ、生活リズムが崩れる本人の希望を聞きながら、無理のない参加の仕方を一緒に考える
教科担任とのやりとり先生ごとに求められることが違い、戸惑う担任を窓口に、特性と必要な配慮を各教科の先生に共有してもらう

学校に相談するときの共有メモ(チェックリスト)

学校と共有しておきたいことチェックリスト
共有することチェック
本人が困っている具体的な場面(例:提出物の管理、板書の書き写し)
家庭で試して効果があった工夫
学校でお願いしたい配慮(例:提出物の声かけ、座席の位置)
本人が「先生に知ってほしいこと」「知られたくないこと」
困ったときの連絡方法(連絡帳・電話・面談など)
医療機関にかかっている場合、共有してよい範囲(本人と相談のうえで)

進路への不安にどう向き合うか

中学生になると、高校受験という具体的な進路が視野に入り、「このままで大丈夫だろうか」という不安が強まる時期でもあります。内申点や出席日数だけにとらわれず、通信制高校や特別支援学級など、本人の特性に合った進路の選択肢が複数あることを、早めに知っておくと安心材料になります。

特別支援学級がADHDの子に合っているかどうかは、個々の特性によって異なります。「ADHDと特別支援学級について」で、対象になりにくい理由や学びの場の選択肢を詳しく解説しています。

NIJINアカデミーより

この記事は、全国から1000名を超える子どもたちが通うオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の知見も踏まえて構成しています。中学生になって新たな困りごとに直面したADHDの子どもたちにも、自分のペースで学び続けられる環境があることを、選択肢の一つとしてお伝えしています。

NIJINアカデミーという選択肢

NIJINアカデミーは、小学1年生から中学3年生を対象としたオンラインのオルタナティブスクールです。定期テストがなく、担任の所見によるポートフォリオ評価を採用しているため、「評価される緊張感」そのものが少ない環境です。AI型学習ドリル「navima」を使い放題で活用でき、学年を問わず学び直しや先取りも可能です。

1:1の専任サポート担任が継続して伴走し、8〜10人程度の少人数制クラスで、一人ひとりの特性を理解した関わりを大切にしています。

タブレットを使って学ぶ子どもたち
自分のペースで学べる環境

定期テストなし・少人数制。まずは無料の体験説明会へ。

NIJINアカデミーでの学びの様子(公式YouTubeチャンネルより)

子どもたちの声

よくある声(一例)

「中学校では忘れ物のたびに責められている気がしていたけど、ここでは誰も責めない」「テストがないから、苦手な暗記だけで評価されなくてよかった」――環境を変えたことで気持ちが楽になったという声がよく聞かれます。

タツロー校長からのメッセージ

「明るくない子どもなんていない。問題児なんてたったの一人もいない」――これは、公立小学校の教員だった星野達郎(タツロー)校長がNIJINアカデミーを設立した原点にある言葉です。中学生になって壁にぶつかった子どもたちにも、同じことが言えるはずです。

保護者自身のケアも大切に

「もっと早く気づいてあげられたら」「中学生になったのに、まだこんなことで困っている」――保護者自身が焦りや自責の念を抱えてしまうことも少なくありません。ADHDの特性による困りごとは、本人の努力不足ではなく、環境と特性のミスマッチによって生じている場合が多いことを、まず保護者自身が理解しておくことが大切です。

親子で穏やかに歩く様子

受診を検討したいタイミング

忘れ物や提出物の遅れが続き、本人が強い自己否定感を抱えている場合や、学校生活に大きな支障が出ている場合は、児童精神科や発達外来への相談を検討してください。中学生になってから初めて特性の困りごとが目立つようになるケースも珍しくありません。

よくある質問

小学生の頃は問題なかったのに、中学生になって急に困りごとが増えました。なぜですか?
教科担任制への移行や、定期テスト・部活動など、求められる自己管理の量が一気に増えることが背景にあります。環境の変化によって、これまで隠れていた困りごとが表面化しやすくなります。
中学生になってから診断を受けることはできますか?
はい。中学生になってから初めて医療機関を受診し、診断を受けるケースは珍しくありません。気になる場合は児童精神科や発達外来に相談してください。
内申点への影響が心配です。
提出物の遅れや忘れ物が内申点に影響することはありますが、学校に特性を伝え配慮を相談することで、評価方法を調整してもらえる場合もあります。まずは学校に相談してください。
部活動との両立が難しそうです。
スケジュール管理の負担が大きい場合は、本人の希望を尊重しつつ、無理のない範囲での参加を検討してください。両立が難しい場合、一時的に休部することも選択肢の一つです。
友達関係のトラブルが増えました。
衝動的な発言などがきっかけですれ違いが起きることがあります。本人と一緒に、どんな場面でトラブルが起きやすいか振り返り、対処法を考えることが助けになります。
薬による治療は中学生でも続けられますか?
中学生になっても継続して薬物療法を行うことは可能です。効果や副作用の感じ方は成長とともに変化することもあるため、定期的に主治医と相談しながら調整していくことが大切です。
高校受験に向けて今からできることはありますか?
通信制高校や特別支援学級など、本人の特性に合った進路の選択肢を早めに調べておくと安心です。学校の進路指導担当やスクールカウンセラーにも相談してみてください。
本人が「もう学校に行きたくない」と言い出しました。
失敗経験の積み重ねから自己肯定感が下がっている可能性があります。無理に登校を促す前に、まず本人の気持ちを受け止め、学校以外の学びの選択肢も含めて一緒に考えることをおすすめします。
きょうだいへの説明はどうすればいいですか?
「特性によって苦手なことがあるだけで、わざとやっているわけではない」ということを、年齢に応じた言葉で伝えるとよいでしょう。
オンラインでの学びはADHDの中学生に向いていますか?
刺激の少ない環境で自分のペースで取り組めることが、集中しやすいと感じる子どももいます。一方で自己管理が必要な面もあるため、サポート体制が整っている環境を選ぶことが大切です。

まとめ

ADHDの特性がある子どもにとって、中学生になることは環境が大きく変わる転換点です。教科担任制への移行や定期テスト、部活動など、求められる自己管理の量が増えることで、小学生時代には目立たなかった困りごとが表面化しやすくなります。本人の努力不足ではなく、環境と特性のミスマッチが背景にあることを理解し、家庭・学校・専門機関と連携しながら、本人に合った学び方を一緒に探していくことが大切です。

桜並木を走る子どもたち
自分のペースで、学びを止めない

NIJINアカデミーでは、無料の体験説明会を実施しています。

参考文献:文部科学省「特別支援教育の現状」、厚生労働省の発達障害に関する情報