「絵を描くことは好き。でも、人に見せるのは怖い。」
小学6年生のゆきだるまちゃん。
絵を描くこと自体は大好き。でも、自分の作品に自信がなく、「人に見られること」には大きな抵抗がありました。
だからといって、「もっと自信をつけよう」と励ましたわけではありません。
大切にしたのは、ゆきだるまちゃん自身が”どこまでなら挑戦できるか”を選べることでした。
最初の一歩は「ここまでなら大丈夫」
最初の挑戦は、YouTubeインタビューでした。
その中で絵を紹介する機会をつくりましたが、「全部見せよう」とは言いませんでした。
「ここまでなら紹介してもいい。」
その範囲を決めたのはゆきだるまちゃん自身です。
少しだけ作品を紹介する。
ほんの小さな挑戦でしたが、この「自分で選んだ一歩」が主体性の始まりだったように思います。


表現することが少しずつ日常になる
その後、全校HRのお知らせで作品を紹介する挑戦をしました。
「お知らせ」として自然とこれまで描いてきた作品が紹介される経験。そして絵を描いている人たちにも「ぜひ見せてください」と呼びかけました。
何度か経験を重ねるうちに、「見てもらうこと」が少しずつ特別なことではなくなっていきました。
主体性は、一気に大きく育つものではありません。
安心できる範囲を少しずつ広げながら、「やってみよう」と思える経験を積み重ねていくものなのだと感じます。


全校ホームルームでの発表
そして迎えた全校ホームルーム。今回は「お知らせ枠」ではなく「発表枠」としての挑戦でした。
ゆきだるまちゃんは少し緊張しながらも、自分の作品を全校舎のみんなの前で堂々と紹介しました。
印象的だったのは、下記の一言です。
「目の描き方の変化を見てほしいです。」
以前は「見せるのが怖い」と話していたゆきだるまちゃんが、自分から「ここを見てほしい」と伝えていました。
発表後には、多くの子どもたちや先生から
「すごいね。」
「こんなに変わったんだね。」
という声が届きました。
認められる経験は、「できた」という実感となり、自信へと変わっていきました。


さらに、自分から発信するように
変化はそこで終わりませんでした。
ゆきだるまちゃんはSlackの課題投稿チャンネルにも、自分から作品を投稿するようになりました。
誰かに言われたからではありません。
「描いたから見てもらいたい。」
そんな気持ちで、自ら継続的に発信するようになったのです。
作品を通して友達やスタッフとの交流も生まれ、表現することが日常になっていきました。
また2回目の全校ホームルームでは、タツロー校長から絵だけでなく「プレゼン力もついたね」と褒められていました。
「見せるのは怖い」と話していたゆきだるまちゃんが、「表現することを楽しむ人」へと少しずつ変わっていった瞬間でした。

主体性は「自信がついてから」育つのではない
この数か月を振り返って、改めて感じたことがあります。
主体性は、自信がついてから生まれるものではありません。
まずは自分で、
「ここまでならやってみよう。」
と小さな挑戦を選ぶ。
その挑戦が周りに受け止められる。
「やってみてよかった。」
そう思える経験が、次の挑戦を生み出していく。
その繰り返しの中で、自信が育ち、主体性も育っていくのだと思います。
子どもを変えることではなく
子ども自身が「やってみよう」と思える小さな挑戦を選び、その挑戦が安心して受け止められる環境をつくること。
主体性は、「やってみる」と「受け止められる」の循環の中で、少しずつ育っていくものなのだと、ゆきだるまちゃんの姿をみて改めて感じました。
その積み重ねが、「次もやってみよう」という気持ちを育み、主体性へとつながっていく。
ゆきだるまちゃんの歩みは、主体性とは誰かに育ててもらうものではなく、安心できる環境の中で、自ら選び、挑戦し、その経験を重ねることで育まれていくものなのだと教えてくれました。

