いまはシンガーソングライターとして「ただ、生きてるだけでいい。あなたに生きる希望を。」を胸に歌い続ける飛来(HIRAI)さん。当時どんな気持ちだったのか、親にどうしてほしかったのか、そしていまつらい思いをしている子どもと家族へ——飛来さんご本人の言葉で、そのストーリーをお届けします。
- 「自分なんて必要ない」と自分を責め続けた不登校の日々
- どん底から救い出してくれた、母の「生きてるだけでいい」という言葉
- 「好き」な歌が、自分と世界をつなぐ言葉になった
- 親に「してほしかったこと」「してほしくなかったこと」
- 「学校に戻る」以外の選択肢で開けた、自分らしい未来
滋賀県出身。中学生のときに不登校を経験し、その葛藤を歌にのせて表現するシンガーソングライター。路上ライブや配信を通じて、「生きる希望」を届ける音楽活動を続けている。代表曲に「ignorance(無知)」など。
「自分なんて必要ないのかな」——学校へ行けなくなった日々
飛来さんが学校へ行けなくなったのは、中学生の頃でした。きっかけは、引っ越しだったといいます。新しい環境になじめず、少しずつ孤立し、やがて陰口を言われるように。学校へ行くこと自体が、だんだんと苦しくなっていきました。
当時は『自分なんて必要ないのかな』『どうして自分だけ…』と自分を責め続け、『自分なんて生きている意味があるのかな』と思い悩んだこともありました。」
まわりと自分をくらべては責め続け、未来にも希望が持てない。毎日がただ苦しかった、と飛来さんは振り返ります。頭の中は、いつも「消えてしまいたい」に近い気持ちでいっぱいでした。
でも今振り返ると、あの時の自分に『一人じゃないよ。生きてるだけでいいんだよ』と伝えてあげたいと思います。」
子どもが学校へ行けなくなるとき、その心の中では、大人が思う以上に激しく「自分を責める声」が鳴り続けていることがあります。「怠けている」ように見えても、本人はいちばん自分を責めているのかもしれません。まずは、そのつらさが本物であることを、そのまま受けとめてあげてください。
誰にも言えなかった気持ちと、母の一言
「生きている意味があるのかな」——その気持ちを、飛来さんは長いあいだ誰にも言えず、一人で抱え込んでいました。親や周りの大人には、「どう接したらいいのかわからない」と映っていたのではないか、と飛来さんは言います。とくにお母さんは、誰よりも苦しかったはずだ、と。
それでも、否定せずにそばで支え続けてくれたことが、今の僕につながっています。」
そんな飛来さんを救ったのは、お母さんがかけてくれた、たった一言でした。
その一言が、「今のままの自分でもいいんだ」と少しずつ思えるきっかけになりました。
- 「学校へ行けること」「がんばれること」を条件にしない愛の言葉が、飛来さんの心をほどきました。
- 存在そのものを肯定してもらえたという安心が、前を向く最初の一歩になったのです。
歌との出会い——「歌なら、気持ちを伝えられる」
少しずつ前を向けるようになった一番のきっかけは、「本当に好きなこと」に出会えたことでした。飛来さんの場合、それが音楽でした。もともと歌は好きでしたが、不登校支援施設に通い始めたことが、本気で音楽と向き合うきっかけになったといいます。
『歌なら誰かの心に寄り添えるかもしれない。』そう思えたことが、今のシンガーソングライターとしての活動につながっています。」
好きなことが見つかったことで、「自分にもできることがある」と思える。その実感が、どん底から上向くための大きな一歩になりました。うまく話せなくても、歌ならまっすぐに気持ちを届けられる——飛来さんにとって音楽は、自分と世界をもう一度つなぐ「言葉」になったのです。
学校に戻ることより先に、安心できる居場所と、心から好きになれる何かに出会えたことが、飛来さんを前へ進ませました。フリースクールや支援施設、習い事、オンラインのつながり——学校の外にも、その子の「好き」と出会える場所はたくさんあります。
無理に戻らなくてよかった、という選択
不登校の時期、飛来さんは「学校に戻らなければいけない」と思い込み、自分を追い詰めていました。けれど、いま振り返ると——。
「学校に戻る/戻らない」は、その子の価値を決めるものではありません。大切なのは、自分のペースで進めること、そして安心できる居場所に出会えること。飛来さんの歩みは、それをまっすぐに示してくれています。
保護者へ——してほしかったこと・してほしくなかったこと
当時をふり返って、いちばん嬉しかったこと。それは、お母さんが無理に学校へ行かせようとせず、「あなたはそのままでいいよ」と寄り添ってくれたことでした。反対に、つらかった言葉もあります。
あの頃の僕に必要だったのは、学校へ戻ることを急かされることではなく、『味方がいる』と感じられる安心感だったと思います。」
| 支えになったこと | プレッシャーになったこと |
|---|---|
| 「あなたはそのままでいい」と受けとめてくれた | 「学校へ行かなきゃだめ」と急かされた |
| 否定せず、そばで支え続けてくれた | 「みんな頑張っているよ」と比べられた |
| 「味方がいる」という安心感をくれた | 無理に前へ進ませようとされた |
飛来さんが保護者に伝えたいのは、次のメッセージです。
いま、つらい思いをしている君と、その家族へ
不登校だった経験があったからこそ、いまの飛来さんの活動があります。お母さんがかけてくれた「ただ、生きてるだけでいいんだよ。」という言葉に、何度も救われてきました。その言葉は、いまも飛来さんの心の支えです。
もし今、学校や毎日が苦しくて「消えたい」と思うほどつらいなら——どうか、その気持ちを一人で抱え込まないでください。あなたは、何かができるから価値があるのではありません。生きてくれている、ただそれだけでいい。飛来さんが母の言葉に救われたように、あなたにも味方がいます。
「その子らしい歩き方」を、一緒に。
学校へ行けなくなった日々は、決して「終わり」ではありませんでした。飛来さんにとってそれは、母の愛と、音楽と、自分だけの生き方に出会うための道のりでした。
にじいろは、不登校や発達・特性で悩むご家族に、子どもの未来をひらく「確かな選択肢」を届けます。焦らず、お子さんのペースを信じて——その歩みを、私たちが一緒に支えます。
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