「うちの子も、いつか変われる日が来るのでしょうか。」
不登校のお子さんを育てる保護者の方から、これまで何度も聞いてきた言葉です。
家から出られない。
人前で話せない。
何を考えているのか分からない。
好きなことばかりしていて、このままで大丈夫なのだろうか。
そんな姿を見ていると、未来が見えなくなってしまうこともあります。
でも私は11年間、不登校の子どもたちと向き合う中で確信していることがあります。
子どもは、環境が変わると変われる。
今回は、NIJINアカデミー越谷校に通う、りーちゃんの変化をご紹介します。
入学当初は、表情も声も読み取りにくい子でした
りーちゃんが越谷校へ入学したのは12月。
最初の印象は、
・いつもマスクをしている
・声が小さい
・表情が読み取りにくい
・朝の活動が少し苦手
決して自分を前に出すタイプではありませんでした。
でも、そんなりーちゃんには一つだけ夢中になれるものがありました。
それがホラー漫画でした。

「そんな絵を描いていて大丈夫?」ではなく、「好きなんだね」から始まった
ノートいっぱいに描かれた少し怖いイラスト。
もし、自分の子どもが学校へ行けず、毎日そんな絵ばかり描いていたら、
「そんな絵ばかり描いていて大丈夫?」
「もっと明るい絵を描いたら?」
そう思ってしまう保護者の方も少なくないかもしれません。
でも私は違う見方をしました。
「私が小さい頃もホラー漫画って流行っていたんだよ。」
「みんなで回し読みしていたなぁ。」
「昔からずっとあるってことは、それだけ好きな人がいるってことだよね。」
そう話すと、りーちゃんの表情がふっと明るくなったのを今でも覚えています。
否定されると思っていた”好き”を、そのまま受け止めてもらえた。
その安心感があったのかもしれません。
「好き」をもっと楽しめるように、本を用意しました
それから私は、りーちゃんのために妖怪図鑑や地獄絵図の本を教室に置きました。
新しい本を見つけるたびに、
「これ、りーちゃん好きそう。」
そんなことを考えながら選ぶ時間も、私にとって楽しみの一つでした。
すると、どんな題材でもりーちゃんらしい世界観が広がります。
みんなで日本最古の漫画ともいわれる『鳥獣戯画』を描いたときもそうでした。
周りの子はかわいらしい動物を描く中で、りーちゃんはしっかりホラー要素をプラス。
思わず笑ってしまうくらい、「りーちゃんらしい鳥獣戯画」が完成しました。
周りと同じ作品ではなく、
自分らしい作品を描けること。
それが、りーちゃんの魅力でした。

不思議なことに、作風まで変わっていきました
面白い変化もありました。
ホラー漫画しか描かなかったりーちゃんが、少しずつ明るくかわいらしいイラストも描くようになったのです。
もちろんホラーは今でも大好き。
でも、それだけではなくなりました。
ホラーをやめさせたわけではありません。
むしろ、
ホラーが好きな自分を認めてもらえたからこそ、安心して他の世界も描けるようになった。
私はそんなふうに感じています。
子どもは否定されなくなると、世界が広がるのかもしれません。


Instagramで見つけた「私にもできること」
そんなりーちゃんにお願いしたのが、越谷校のInstagram発信でした。
ホラー漫画で培った世界観や表現力は、動画編集にも生かされていきました。
投稿を重ねるたびに編集技術はどんどん上達し、
「見てもらえる。」
「ありがとうと言ってもらえる。」
そんな経験が少しずつ自信へと変わっていきました。
役割があることで、
「私はここにいていい。」
そんな感覚を持てるようになったのです。

初めて「自分」を表現した日
私が一番印象に残っている出来事があります。
それまでのりーちゃんは、物語や架空の世界を表現することは得意でした。
でもある日、初めて、
自分自身のことを、そのまま言葉にして表現しました。
私はその姿を見て、
「自己理解が深まったから、自己表現につながった。」
そう感じました。
好きなことを認められ、
役割を持ち、
必要とされる。
その積み重ねが、
「私はこんな人なんだ。」
という自己理解を育て、
「こんな私を伝えてもいい。」
という自己表現へと変わっていったのです。
そして、挑戦する子へ

そこからの変化は目を見張るものでした。
マスクを外し、
笑顔でピースサイン。
朝が早いイベントにも、
「楽しいから起きられる!」
と言って張り切って参加するようになりました。
以前は飲み込んでいた気持ちも、
「やりたい。」
「今日はやめておく。」
と、自分で伝えられるようになりました。
最近では、
オーストラリア・メルボルン研修への参加も自分で決断。
さらに、
「家から出られない子のために何かしたい。」
という思いから、シール交換会も企画しました。
以前のりーちゃんからは想像できないほど、
自分から社会へ向かう力が育っています。
一人の変化は、家族の変化にもつながっていった
ある日、お母さんが一枚の作文を持ってきてくださいました。
書いたのは妹さんです。
そこには、
「最近、お姉ちゃんのことが好きになりました。」
という言葉が書かれていました。
理由を聞くと、
「お姉ちゃんが、優しくなったから。」
そんな内容だったそうです。
作文を見せながら、お母さんは本当にうれしそうに話してくださいました。
「家の雰囲気が変わってきたんです。」
その笑顔を見ながら、私は改めて感じました。
子どもの変化は、その子一人だけのものではありません。
一人が安心すると、家族にも安心が広がる。
一人が笑顔になると、家族にも笑顔が増えていく。
家族全体につながることでもある。
そんなことを、この出来事が教えてくれました。
不登校は、人生が止まる時間ではない
学校へ行けなくなると、
どうしても「失ったもの」に目が向きがちです。
でも、その時間だからこそ出会える人がいます。
その時間だからこそ見つかる「好き」があります。
その時間だからこそ育つ力があります。
りーちゃんも、最初から笑顔だったわけではありません。
最初から挑戦できたわけでもありません。
安心できる場所で、
好きなことを認められ、
役割を持ち、
少しずつ自分らしさを取り戻していきました。
だから私たちは今日も信じています。
子どもは、環境が変わると変われる。
そして、一人ひとりの「好き」は、未来へつながる大きな力になることを。
NIJINアカデミー越谷校では、一人ひとりの「好き」を未来につなげています
NIJINアカデミー越谷校は、不登校の子どもたちが安心して過ごせる居場所であると同時に、「やってみたい」を形にできる学びの場です。
オンラインとリアルを組み合わせながら、一人ひとりの興味や得意を大切にし、地域や社会とのつながりの中で挑戦を重ねています。
学校へ戻ることだけをゴールにするのではなく、その子らしい人生を歩んでいけるように。
今日も子どもたち一人ひとりの「好き」を信じ、寄り添い続けています。


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