子どもの発達・家庭と学校の連携
「子どものADHD診断テストを試したい」「チェックリストに当てはまる項目が多くて心配」。忘れ物や落ち着きのなさが気になると、早く答えを知りたくなりますよね。ただ、ネットの結果だけで、お子さまを判断しなくても大丈夫です。
この記事では、子どものチェックリストを使うときの注意点と、家庭・学校で観察したいこと、相談につながる記録の仕方を紹介します。ここに載せる表は診断用の検査ではなく、支援を考えるための観察メモの例です。

CHAPTER 01子どものADHD診断テストは、何が分かる?
医療や相談の場では、保護者や先生が質問票に回答し、生活の様子を伝えることがあります。一方、検索で見つかる「ADHD診断テスト」には、対象年齢や作成根拠が分かりにくいものもあります。専門家が使う質問票と、ネット上の簡易なチェックを同じものとして扱わないことが大切です。
使う前には、作成元、対象年齢、何を調べるためのものかを確認してください。大人向けの項目を子どもにそのまま当てはめたり、複数のサイトの点数を比べて診断の代わりにしたりする使い方は避けましょう。医療機関から案内されたものは、その説明に沿って回答します。
米国CDCは、ADHDを診断できる単独の検査はなく、睡眠の問題や不安、学習上の困難などでも似た様子が見られると説明しています。日本で診断を希望する場合は、子どもの発達に対応する医師に相談しましょう。[1]
受診までの一般的な流れは、子どものADHD診断の流れ・相談先で詳しく整理しています。本記事では、相談前の日常の見方に焦点を当てます。
CHAPTER 02「当てはまる数」より見たい、4つの場面
ADHDには、注意の保ちにくさや待つことの難しさなどがあります。ただし、一つの行動だけでは判断できず、発達年齢や複数の生活場面を踏まえて考える必要があります。[2]次の例を「ADHDかどうか」の判定に使うのではなく、本人の負担を探す入口にしてください。
① 指示を聞く・取りかかる
一斉の説明の後に手が止まるとき、何をするか分からないのか、準備が間に合わないのかを確かめます。手順を一つずつ見せると始めやすいかも観察します。
② 持ち物・提出物を扱う
忘れ物が起きた日に、準備・持参・提出のどこで止まったかを見ます。「持ってきたのに出し忘れた」なら、準備とは別の工夫を考えられます。
③ 待つ・切り替える
順番待ちや活動の終了時に困るなら、待ち時間、周囲の刺激、予告の有無を記録します。急な変更と、見通しがあるときの違いも手がかりです。
④ 友達と話す・遊ぶ
会話に割り込んだ場面も、「わざと」と決めつけず、伝えたかった内容やルールの理解を聞きます。大人が間に入るとどう変わるかも確認します。
困った場面だけを集めると、子どもの姿が偏って見えることがあります。「好きな工作は自分から始める」「静かな場所なら説明を聞けた」など、やりやすかった条件や得意なことも同じくらい残しておきましょう。
CHAPTER 03年齢・場所・その日の状態も一緒に見る
入学したばかりの子と高学年の子では、学校で求められる準備や自己管理が違います。「同じ学年の子より遅い」と感じても、経験や課題の難しさも関係します。年齢の違うきょうだいだけと比べたり、一度の失敗で結論を出したりしないようにしましょう。
また、家では落ち着いているのに教室では困る、学校では頑張っているのに帰宅後に動けない、といった違いも大切な情報です。どちらかの見方が間違いとは限りません。音や人の多さ、活動時間、本人の疲れなど、場面ごとの条件を共有してみてください。
急に様子が変わった、眠れていない、体調が悪そうといった場合は、その変化も相談時に伝えましょう。チェックの項目に合う理由を探すより、本人が今困っている背景を広く確かめることが役立ちます。
CHAPTER 04相談で役立つ観察メモの書き方
記録は、毎日細かく付けなくても構いません。気になった場面を短く書くだけでも、相談で状況を説明しやすくなります。次の表は家庭で使うための整理例であり、医学的な評価尺度ではありません。
| 残すこと | メモの例 |
|---|---|
| いつ・どこで | 月曜の夕方、帰宅後の宿題の時間 |
| 実際に起きたこと | プリントを出した後、何から始めるか分からず手が止まった |
| 本人の言葉 | 「全部やると思うと大変」と話した |
| 試した工夫 | 最初の1問を一緒に確認し、残りの紙を隠した |
| その後の様子 | 1問を書き始めた。途中で休憩したいと伝えた |
「だらしない」「集中力がない」よりも、見たこと・聞いたことを具体的に書きます。回数や時間を覚えていないときは、無理に数字を埋めず「不明」として大丈夫です。本人に言葉を言わせたり、困る場面をわざと作ったりする必要もありません。
家庭でできる声かけや環境の工夫は、ADHDの子どもへの家庭での関わり方も参考にしてください。本人の生活を全部記録するのではなく、まずは相談したい一場面から始めましょう。
CHAPTER 05学校には、点数より「場面」と「お願い」を伝える

担任には「ADHDだと思います」と結論だけを伝えるより、「家ではこう困っています。学校ではどうでしょうか」と聞いてみましょう。チェックリストを渡す場合も、結果だけで対応を決めてもらうのではなく、具体例を添えると話を進めやすくなります。
学校への伝え方の例
「宿題を始めるときに手が止まることがあります。最初の一つを確認すると取りかかれました。授業の説明後はどんな様子でしょうか。学校でも手順を見える形で伝える方法を相談したいです」
一度に多くを変えるより、困っている場面と試したい工夫を絞り、いつ振り返るかを決める方法があります。担任だけで難しければ、校内の特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーへの相談も検討しましょう。文部科学省も、一人ひとりの教育的ニーズを把握した支援を重視しています。[3]
記録には子どもの個人的な情報が含まれます。先生や専門家など必要な相手に絞って共有し、クラスの連絡グループなどへの公開は避けましょう。
CHAPTER 06どんなとき、どこへ相談すればいい?
点数が一定以上になるまで待つ必要はありません。注意され続けて自信をなくしている、学習や友達関係の困難が続く、保護者だけでは対応しきれないと感じるときは、困りごとを相談する理由になります。本人のつらさが強ければ、記録を完成させることより相談を優先してください。
- 学校での様子を知りたい:担任、校内の支援担当者、スクールカウンセラーへ。
- 発達について相談したい:自治体の保健センター、発達相談窓口、発達障害者支援センターなどへ。対象年齢や予約方法を確認します。
- 医学的な評価を受けたい:かかりつけ小児科や、子どもの発達に対応する医療機関へ。初診の対象や紹介状の要否を確認します。
窓口の名称や役割は地域で異なります。たとえば江東区は、保健相談所、こども発達センター、教育委員会などの相談先を案内しています。[4]お住まいの自治体の公式案内で、今の困りごとに合う窓口を探しましょう。
CHAPTER 07診断を急ぐ前にも、学びやすい条件を探せます

「指示は一つずつ」「持ち物を置く場所を決める」「見通しを先に伝える」など、身近な工夫を本人と試すことはできます。うまくいかなければ、本人の努力不足とせず、量や伝え方を変えてみましょう。診断の相談と、日々の負担を減らす工夫は並行して考えられます。
学校での調整を考える参考として、星野達郎による「発達障害なら支援級に入れるべき?」を紹介します。学校・学級の選び方に関する教育的な見解であり、ADHDの診断テストや医学的な判定方法を説明する動画ではありません。
NIJINアカデミーは、オンラインやリアル教室を通じて学校以外の学びを提供しています。医療的な診断を行う場ではありませんが、学習環境の選択肢を知りたいときは、専任サポートや活動内容を確認できます。チェック結果で合う・合わないを決めず、本人の希望や参加しやすさを大切にしましょう。
Q & Aよくある質問
- Q. 何個当てはまったら受診すべきですか?
- この観察例に診断の基準点はありません。数だけで決めず、本人の負担や生活への影響を具体的に相談してください。
- Q. 家と学校でチェックの結果が違っても大丈夫?
- 違いも相談に役立つ情報です。無理に結果をそろえず、それぞれの場面と条件を持ち寄りましょう。
- Q. 診断名がなくても学校に相談できますか?
- 日常の困りごとについて相談できます。実施できる配慮や支援の手続きは学校・自治体と確認してください。
「どんな環境なら学びやすい?」を考える一歩に
学校以外の学びも気になる方は、NIJINアカデミーの活動を確かめてみませんか。医療の相談と学びの場選びを分けて、お子さまに合う方法を探せます。
REFERENCES参考資料
※本記事は一般的な情報提供であり、医学的な診断・治療の代わりにはなりません。個別の判断は医療機関などへご相談ください。掲載画像はすべてAI生成のイメージです。資料確認日:2026年10月25日。

