- WHOが定めた「ゲーム障害」とはどんな病気か
- 「ただのゲーム好き」との見分け方
- 家庭での対応と、専門機関に相談すべきタイミング
- ゲーム以外の居場所を見つけ、学びを止めない選択肢
「ゲーム障害」はWHOが認めた正式な病気
久里浜医療センターの情報によると、WHOはICD-11(国際疾病分類第11版)において、ゲーム障害を「持続的または反復的なゲーム行動」であり、①ゲームのコントロールができない、②他の生活上の関心事や日常活動よりゲームを優先する、③問題が起きているにもかかわらずゲームを継続・エスカレートさせる、といった特徴を持ち、これらが個人・家庭・社会・学業などに重大な支障をもたらす場合に診断される疾病と定義しています。単に長時間ゲームをしていることだけでは、この診断には該当しません。ICD-11では、これらの特徴が通常12か月以上続いていることが診断の目安とされていますが、症状が重い場合はより短い期間でも診断されることがあります。「好きでたくさん遊んでいる」状態と「やめたくてもやめられない」状態を分けて考えることが、対応の第一歩になります。
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「ただのゲーム好き」との見分け方
- ゲームを控えようとしても、自分の意思でコントロールできない
- 学業・睡眠・食事・入浴など、生活の他の部分を犠牲にしてもゲームを優先する
- 問題が起きている(成績低下、昼夜逆転、家族との衝突など)と分かっていてもやめられない
好きでゲームを楽しんでいる状態と、コントロールを失っている状態は異なります。この違いを理解しないまま「ゲームを取り上げれば解決する」と単純に考えてしまうと、本人との関係が悪化し、かえって状況が難しくなることもあります。判断に迷う場合は、自己判断せず、専門機関に相談することをおすすめします。
なぜ不登校と結びつきやすいのか
学校でのつらい経験や居場所のなさから、ゲームの世界に安心や達成感を求めるようになるケースは少なくありません。つまり、ゲーム障害は原因ではなく、別の困りごとの結果として現れていることもあります。ゲームだけを問題視するのではなく、その背景にある学校生活や人間関係の困難にも目を向けることが大切です。学校では感じられない「できた」という達成感や、対等な仲間関係を、ゲームの中で得られている場合もあります。現実の居場所が失われるほど、ゲームの中の居場所への依存が強まるという関係性を理解しておくことが重要です。
人間関係や勉強のプレッシャーで居場所を感じられない
達成感や仲間関係をゲームの中に求める
生活リズムが崩れ、朝起きられなくなる
欠席が増え、現実の居場所がさらに失われる

「取り上げる」対応の落とし穴
ゲーム機やスマートフォンを一方的に取り上げる対応は、一時的に行動を止められても、本人の反発や関係悪化を招き、根本的な解決にはつながりにくいとされています。むしろ、本人がゲームに何を求めているのか(達成感、居場所、逃避など)を理解しようとする姿勢が、対話のきっかけになります。取り上げるという「力による対応」ではなく、本人と一緒に考えるという姿勢に切り替えることが、長期的には効果的とされています。
家庭でできる対応
1. 頭ごなしに否定しない
「ゲームなんてやめなさい」ではなく、まず本人がゲームの中に何を見出しているのかを理解しようとすることが、信頼関係の土台になります。「何のキャラを使っているの?」「そのゲーム、どこが面白い?」と関心を持って尋ねることが、対話の入り口になることもあります。
2. 生活リズムの立て直しから始める
ゲーム時間そのものを議論する前に、睡眠・食事など基本的な生活リズムを整えることを優先すると、結果的にゲームとの付き合い方も見直しやすくなることがあります。起床時間や食事の時間など、変えやすいところから少しずつ整えていく方が、本人の反発も少なく続けやすい傾向があります。
3. 専門機関への相談を検討する
家庭内での対応が難しい場合は、久里浜医療センターなど、依存症を専門とする医療機関への相談も選択肢の一つです。
ゲームの何が楽しいのか、頭ごなしに否定せず尋ねる
睡眠・食事など、変えやすい部分から少しずつ
一方的に禁止せず、本人と話し合って決める
家庭内で難しい場合は専門機関を頼る
4. ルールは一緒に決める
「1日1時間まで」のようなルールを一方的に押し付けるのではなく、本人と一緒に話し合って決めることで、納得感が生まれ、守られやすくなります。破られた場合も、罰ではなく「なぜ守れなかったか」を一緒に振り返る姿勢が大切です。
受診を検討したいタイミング
ゲームのコントロールができず、学業や生活に深刻な支障が出ている状態が長期間続いている場合は、専門機関での相談を検討してください。久里浜医療センターは、日本におけるゲーム依存症治療の中心的な医療機関の一つとして知られています。受診の際は、1日の平均プレイ時間や生活リズムの変化を記録したメモを持参すると、状況を伝えやすくなります。

似た状態との違い
| 状態 | 特徴 |
|---|---|
| 趣味としてのゲーム | 他の生活を保ちながら余暇として楽しんでいる |
| eスポーツへの熱中 | 目標に向けた練習だが、生活リズムは維持されている |
| ゲーム障害 | コントロール喪失があり、生活・学業に重大な支障が出ている |
時間の長さだけで判断せず、生活が破綻しているかどうかを基準に考えることが大切です。判断に迷う場合は、この表だけで結論を出さず、専門機関に相談することをおすすめします。
なぜ思春期にゲームへの没頭が強まりやすいのか
思春期は仲間関係の重要性が増す時期であり、オンラインゲームは同年代とのつながりを感じやすい場でもあります。学校での人間関係がうまくいっていないほど、ゲーム内の人間関係が心の支えになりやすく、結果として依存度が高まりやすい傾向があります。
ゲームのポジティブな側面も知っておく
ゲームには、問題解決力や協調性を育む側面もあり、実際にプログラミングやデザインなど将来の進路につながった例もあります。ゲームそのものを一律に否定するのではなく、「今の付き合い方が本人の生活を損なっていないか」という視点で見極めることが大切です。

背景にある困りごとに向き合いながら、学びを止めない選択肢
ゲーム障害の背景に学校生活の困難がある場合、その環境から離れて安心できる学びの場を持つことが、回復の一歩になることがあります。ゲームを一方的に取り上げるのではなく、ゲーム以外にも夢中になれる目標や居場所を見つけることが、結果的にゲームとの距離を見直すきっかけになることもあります。
この記事は、全国から1000名を超える子どもたちが通うオルタナティブスクール「NIJINアカデミー」の知見も踏まえて構成しています。学校に居場所を見出せずゲームに没頭してしまう子どもたちにも、新しい形の居場所や目標を見つけられる環境があることを、選択肢の一つとしてお伝えしています。
NIJINアカデミーという選択肢
NIJINアカデミーは、小学1年生から中学3年生を対象としたオンラインのオルタナティブスクールです。企業連携によるプロフェッショナルの授業や、プログラミング・アートなど多様な特化型リアル校の活動を通じて、ゲーム以外の分野でも達成感や居場所を見つけられる機会を用意しています。ゲームが好きな子どもにとっては、プログラミングを通じてものづくりの面白さに出会うきっかけになることもあります。実際に、EDIXなどのイベントでゲーム制作やプログラミングの成果を発表する生徒もいます。8〜10人程度の少人数制クラスで、平均3日で友達ができると言われるほど新しい人間関係も築きやすい環境です。カメラ・音声をオフにしたままの参加もできるため、いきなり顔を出すことに抵抗がある場合でも、無理なく参加を始められます。
1:1の専任サポート担任が継続して伴走し、在籍校を今すぐやめる必要はなく、学校と併用しながらNIJINに通う生徒も多くいます。希望する生徒の9割以上が在籍校の出席認定を得ています(2025年4月時点、株式会社NIJIN公式プレスリリースより。最終的な出席の判断は学校によります)。

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実際にどのような形でクラスに参加しているのか、公式YouTubeチャンネルの動画も参考にしてみてください。
子どもたちの声
「学校に居場所がなくて、ゲームの中だけが自分の世界だった」「新しい環境で夢中になれることが見つかって、少しずつゲームの時間が自然に減っていった」――ゲームへの依存に苦しんできた子どもたちからは、こうした声がよく聞かれます。ゲームを無理に取り上げるのではなく、他の居場所や目標が見つかることが、回復への大きな一歩になることがあります。夢中になれるものが増えていく過程で、自然とゲームとの距離感も変わっていったという声も少なくありません。
「明るくない子どもなんていない。問題児なんてたったの一人もいない」――これは、公立小学校の教員だった星野達郎(タツロー)校長がNIJINアカデミーを設立した原点にある言葉です。ゲームの中にしか居場所を見出せなかった子どもたちにも、同じことが言えるはずです。
保護者自身も一人で抱え込まない
「取り上げても隠れてやる」「話し合いにならない」——こうした状況が続くと、保護者自身も疲弊し、家庭内の関係がさらに悪化することがあります。専門機関や第三者を交えることで、こじれた関係を立て直しやすくなることもあります。保護者だけで抱え込まず、学校・医療機関・オンラインコミュニティなど、複数の相談先を持っておくことが心の余裕につながります。
よくある質問
まとめ
WHOが定めた「ゲーム障害」は、単なる「ゲーム好き」とは異なり、コントロールの喪失と生活への深刻な支障を伴う正式な疾病です。一方的にゲームを取り上げるのではなく、その背景にある困りごとに目を向け、必要に応じて専門機関へ相談することが大切です。ゲーム以外の居場所や目標を見つけながら学びを続ける選択肢があることも、あわせて知っておいていただければと思います。焦らず、本人のペースで新しい夢中になれるものと出会えるよう、家庭全体で見守っていきましょう。


