この記事の結論
特別支援学級に入る基準は、学校教育法施行令第22条の3の障害の程度が目安の一つです。実際には診断名だけで決まらず、本人の教育的ニーズや本人・保護者・専門家の意見などを踏まえて、教育支援委員会の判断をもとに教育委員会が保護者と合意形成しながら決めます。一度決めた後も、通常学級との間で見直すことができます。
- 特別支援学級とは何か
- 特別支援学級に入る基準
- 就学相談から決定までの手続きの流れ
- 通常学級との違い・メリット / デメリット
- NIJINアカデミーという選択肢
特別支援学級とは

特別支援学級は、小学校・中学校に設置される、障害のある子どもが少人数で学べる学級です。知的障害、肢体
不自由、病弱・身体虚弱、弱視、難聴、言語障害、自閉症・情緒障害など、障害の種別ごとにクラスが編成され、一人ひとりの状態に応じた個別の指導計画に基づいて指導が行われます。通常学級に在籍しながら一部の時間だけ利用する「通級指導教室」とは異なり、特別支援学級は主たる在籍学級として位置づけられます。

特別支援学校との違いについては、「特別支援学校とは?特別支援学級との違い」で詳しく解説しています。
特別支援学級に入る基準
特別支援学級に入るかどうかは、診断名だけで自動的に決まるものではありません。
特別支援学級への入級基準は、学校教育法施行令第22条の3に定める障害の程度が一つの目安とされています。ただし、この基準はあくまで参考の一つであり、実際の就学先は、障害の状態だけでなく、本人の教育的ニーズ、本人・保護者の意見、専門家の意見、学校や地域の状況などを踏まえた総合的な判断によって決定されます(文部科学省)。
①障害の状態・程度 ②学習や生活上の教育的ニーズ ③本人・保護者・専門家の意見 ④学校や地域の受け入れ体制
【図解1】特別支援学級の対象となる7つの区分|どの状態がどこに当たるか
| 区分 | 主な対象の状態 | 間違えやすいところ |
|---|---|---|
| 知的障害 | 知的発達の遅れがあり、日常生活や学習に継続的な援助が必要 | 「勉強が苦手」「成績が下がった」だけでは対象にならない |
| 肢体 不自由 | 補装具を使っても歩行・筆記などの動作に困難がある | 医療的ケアの必要度によっては特別支援学校が検討される |
| 病弱・身体虚弱 | 慢性の病気などで継続的な医療や生活の管理が必要 | 入院中は院内学級という選択肢もある |
| 弱視 | 拡大鏡などを使っても、通常の文字や図を見て理解することが困難 | メガネで矯正できる範囲は含まれない |
| 難聴 | 補聴器などを使っても、通常の話し声を聞き取ることが困難 | 聞き取りにくさは通級で対応することも多い |
| 言語障害 | 発音や話し言葉の使用に著しい困難があり、学習や生活に支障がある | 多くは「ことばの教室」(通級)で対応する |
| 自閉症・情緒障害 | 人とのやりとりや対人関係の形成が難しい/心理的な要因で社会生活への適応が困難 | この区分に「ADHD」という名前は入っていない。困りごとの内容で判断される |
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特別支援学級に入る基準は誰が決めるのか
結論から書くと、最終的に決めるのは市区町村の教育委員会です。ただし、ひとりの判断で決まるわけではありません。流れは次のとおりです。
| 段階 | 誰が | 何をするか |
|---|---|---|
| 1. 相談の申し込み | 保護者 | 就学相談を申し込む。学校や園から勧められて始まることも多い |
| 2. 行動観察・検査 | 教育委員会の担当者・専門職 | 子どもの様子の観察、必要に応じて発達検査や知能検査 |
| 3. 意見の聴取 | 保護者・園や学校・医師など | 本人と保護者の希望、日々の様子、医学的な所見を集める |
| 4. 審議 | 教育支援委員会(名称は自治体で異なる) | 集めた情報をもとに、適切な学びの場を審議して意見を出す |
| 5. 決定・通知 | 市区町村教育委員会 | 就学先を決定し、保護者に通知する |
かつては、障害の程度が一定の基準に当てはまると原則として特別支援学校へ、という仕組みでした。2013年9月の学校教育法施行令の改正で、これが「総合的に判断する」方式に変わり、本人と保護者の意見を可能な限り尊重することが明記されています。
つまり保護者の希望は、参考意見ではなく判断材料の中心のひとつです。「決められてしまうもの」ではありません。
合意できないまま決定が出そうなときは、決定前に意見を述べる機会を求められます。自治体によっては再審議や、入学後の転籍という形で見直す道もあります。納得できない場合は、その場で押し切られず「もう一度話す場を設けてほしい」と伝えてください。
IQ・知能検査はどこまで関係するのか
就学相談でよく聞かれるのが「IQがいくつなら支援学級なのか」という質問です。答えは、国が定めた数値の基準はないです。
文部科学省の通知では、知的障害の程度について「知的発達の遅滞があり、他人との意思疎通に軽度の困難があり、日常生活を営むのに一部援助が必要」といった状態像で書かれていて、IQの数値は示されていません。
実際の就学相談では、知的障害の特別支援学級についておおむねIQ70〜75程度が一つの目安として参照されることがあります。ただしこれは法令の基準ではなく、自治体によって運用がかなり違います。同じ数値でも、A市では支援学級、B市では通常学級ということが起こります。
そして、数値以外に必ず見られるものがあります。
- 適応行動|身のまわりのこと、指示の理解、集団での動き方
- 学習の状況|授業についていけているか、どこでつまずくか
- 本人の困り感|疲れ方、登校のしぶり、自己肯定感の下がり方
- 必要な支援の量|通常学級で配慮を受ければ足りるのか、少人数が要るのか
IQが高めでも、集団の中で力を出せずに消耗している子はいます。逆にIQが低めでも、通常学級で安定して過ごせている子もいます。数値は材料の一つであって、結論ではありません。
知的な遅れがない子も対象です。「IQが高いから情緒級には入れない」という説明を受けた場合、それは自治体の運用である可能性があります。根拠を確認し、必要なら別の窓口にも相談してください。
就学相談から入級までの流れ
【図解2】手続きの流れ 早見表|新1年生の就学相談と、在学中の転籍はどう違うか
| 段階 | 新1年生(就学相談) | 在学中の子(転籍) |
|---|---|---|
| 入口 | 就学時健康診断の案内と前後して、教育委員会から就学相談の案内が届く | 担任または特別支援教育コーディネーターに「相談したい」と伝える |
| 時期の目安 | 入学前年の春〜秋 | 年度替わりが基本。自治体によっては年度途中も相談できる |
| 見るもの | 面談・行動観察・発達検査 | 在籍校での日ごろの様子の記録+発達検査 |
| 決まり方 | 教育支援委員会の判断をもとに、保護者と合意形成 | 同じ流れ。学校での記録がある分、話は早い |
| 通知 | 1〜2月ごろに就学通知 | 学校・教育委員会から連絡 |
| 迷っている場合 | 申し込んだあとで辞退できる。まず日程だけ押さえてよい | 見学だけの申し込みもできる |
就学先の決定は、本人・保護者の意見を最大限尊重し、教育委員会・学校と合意形成を図りながら進めることが原則とされています(文部科学省)。一度決定した後も、状況に応じて通常学級・特別支援学級間を見直すことができます。
通常学級との違い・メリット・デメリット
| 通常学級 | 特別支援学級 | |
|---|---|---|
| クラス人数 | 1クラス30〜40人程度 | 法令上の上限は8人(自治体・学校により異なる) |
| 指導内容 | 学年に応じた標準的なカリキュラム | 個別の指導計画に基づく、本人の状態に応じた指導 |
| メリット | 同学年の集団の中で学べる | 少人数で、つまずきに合わせたペースで学べる |
| デメリット | 特性に応じた個別配慮が届きにくい場合がある | 交流学級との時間割調整など、学校側の体制に左右される面がある |
どちらが優れているというものではなく、本人がどの環境で力を発揮しやすいかという視点で検討することが大切です。実際にADHDの特性がある子が特別支援学級を勧められた・入りにくいと言われたケースについては、ADHDの子が特別支援学級に入れない・入りにくいと言われたら?で詳しく解説しています。
【図解3】見学・相談のときに聞くことチェックリスト|8項目
| 確認すること | なぜ聞いておくのか |
|---|---|
| 在籍している子の人数と学年の幅 | 8人が上限でも、実際の人数と学年構成で雰囲気がまったく違う |
| 担任・支援員の人数 | 同じ「8人学級」でも、大人が1人か2人かで受けられる支援が変わる |
| 交流及び共同学習の時間数 | 1日じゅう別の教室で過ごすのか、教科によって通常学級に行くのかが決まる |
| 教科ごとの進め方 | 学年相当で進むのか、その子に合わせて組み直すのかを確認する |
| 通知表・評価の付け方 | 学校ごとに様式が違う。実物を見せてもらうのがいちばん早い |
| 転籍したいときの手続きと時期 | 「入ったら戻れない」わけではないが、時期と手順は自治体ごとに違う |
| 行事・給食・登下校の扱い | 通常学級の子と同じかどうかは、本人の安心に直結する |
| 中学校・高校への引き継ぎ | 在籍が進学にどう関わるかは、早い段階で聞いておくほど選択肢が残る |
特別支援学級を卒業したあとの進路
「支援学級に入ると進路が狭まるのではないか」という不安は、就学相談でもっとも多く聞かれるものの一つです。実際にどうなるかを整理します。
| 時期 | 進める先 |
|---|---|
| 小学校卒業後 | 中学校の特別支援学級/通常学級/通級指導教室/特別支援学校中学部。小学校で支援学級だったから中学も支援学級、と決まってはいません。中学進学のタイミングで改めて相談できます |
| 中学校卒業後 | 全日制高校/定時制・通信制高校/高等専修学校/特別支援学校高等部。高校受験そのものは、支援学級在籍でも受けられます |
高校入試では、調査書(内申書)の評定をどうつけるかが自治体や学校で違います。特別支援学級では通常学級と同じ教育課程で学んでいない場合があり、そのとき評定が出ない、あるいは別の様式になることがあります。これが受験できる高校の幅に影響することがあります。
中学入学の時点で、在籍校に「評定はどうなるか」「高校受験にどう関わるか」を確認しておくと、選択肢を残したまま進めます。
逆に言えば、確認さえしておけば、支援学級が進路を閉じるわけではありません。通信制高校やサポート校を含めれば進学先は広く、近年は選択肢が増えています。
NIJINアカデミーという選択肢
特別支援学級に入るかどうかにかかわらず、学校という環境そのものが本人に合わないと感じる場合、学び方の選択肢を広げることも一つの方法です。NIJINアカデミーは、oviceを使ったバーチャル校舎を中心とした、8〜10人の少人数制クラスで学ぶオンラインのオルタナティブスクールです。1:1の専任サポート担任が、本人の特性やペースに合わせて伴走します。
在籍校・教育委員会と連携し、学習状況の共有によって出席として扱われるケースもあり、希望する生徒の97%が出席認定を獲得しています(2025年1月時点、株式会社NIJIN公式プレスリリースより。最終判断は学校によります)。
動画で見る
NIJINアカデミーの授業や校舎の様子を動画で紹介しています。
NIJINアカデミーの雰囲気が伝わる動画です。
自治体で違うこと・全国共通のこと|調べる順番をまちがえない
特別支援学級について調べると、書いてあることが記事ごとに食い違っていて混乱します。理由は単純で、全国共通で決まっていることと、自治体ごとに決めていることが混ざっているからです。ここを分けて考えると、どこに聞けばいいかがはっきりします。
全国どこでも同じこと
1学級の人数が8人を上限とすること、対象が上の7区分であること、そして2013年(平成25年)の学校教育法施行令の改正以降、就学先は障害の程度だけで機械的に振り分けるのではなく、本人・保護者の意見を可能な限り尊重して総合的に判断すること。この3点は全国共通です。
自治体・学校によって違うこと
就学相談を始める時期と回数、発達検査を行うかどうか、年度途中の転籍を認めるかどうか、通知表の様式、そしてそもそも近くの学校にその区分の学級があるかどうか。ここはすべて地域差があります。ネットで読んだ手順がそのまま当てはまるとは限りません。
調べる順番:①お住まいの自治体の教育委員会サイトで「就学相談」を検索して年間日程を見る → ②在籍校(または入学予定校)の特別支援教育コーディネーターに相談する → ③実際の学級を見学する。①を飛ばすと、申し込み時期を逃してしまうことがあります。
相談の前に用意しておくと話が早い3つの記録
①困っている場面を時間帯と教科まで書いた1〜2週間の記録、②家庭での様子(宿題に取りかかるまでの時間、帰宅後の状態)、③これまでに受けた検査や相談の記録。この3つがあると、面談が「様子を聞く場」ではなく「どう支えるかを決める場」になります。
情緒学級の中身をもっと詳しく知りたい方は情緒学級とはを、ADHDのある子の判断に迷う方はADHD 特別支援学級を、いま教室に入れない状態が続いている方は別室登校もあわせてご覧ください。
よくある質問
まとめ
特別支援学級への入級は、学校教育法施行令に定める基準を参考にしつつ、本人の教育的ニーズや保護者の意見を踏まえた総合的な判断によって決まります。通常学級と特別支援学級のどちらが良いというものではなく、本人がどの環境で力を発揮しやすいかという視点で検討することが大切です。就学後も、状況に応じて見直すことができます。


