子どもの発達・学びと暮らしの工夫
教科ごとに先生が変わり、提出物も部活動も増える中学校。小学校では何とかできた方法が合わなくなっても、本人のやる気だけの問題とは限りません。ADHDのある中学生が、助けを使いながら学ぶための工夫を紹介します。

CHAPTER 01教科担当制で、情報が散らばっていないか
教科ごとに連絡方法や提出先が違うと、覚える作業が増えます。未提出がある時は、内容が難しいのか、期日を見失ったのか、完成した物を出し忘れたのかを分けて調べます。
時間割と提出予定を一か所にまとめ、担任や学年の支援担当と共有できる方法を探します。アプリを増やすだけでは確認先が増えるため、本人が最後に見る場所を決めることが先です。
CHAPTER 02定期テストは、勉強量より工程を見える形にする
「二週間前から頑張る」だけでは、今日することが分かりません。範囲表から一つの教科、一つの単元を選び、問題を解く、答えを確認する、質問を残すという工程に分けます。
得意教科だけ進む場合も、意欲がないと決めず、苦手教科の最初の手順や教材の難しさを確認します。塾や家庭学習を追加する前に、今の負担と休息の時間を整理しましょう。
| 場面・様子 | 確認と工夫の例 |
|---|---|
| 提出物の見落とし | 教科ごとの期日を一つの一覧にまとめる。 |
| テスト前に動けない | 範囲を一単元に分け、最初に使う教材を出す。 |
| 支援を嫌がる | 人前でない合図や本人が選んだ道具に変える。 |

CHAPTER 03友達の前で支援を受ける気持ちを聞く
目立つチェック表や先生の声かけを嫌がる時は、反抗と片付けず理由を聞きます。スマートフォンや小さな手帳など、学校のルールに合い、本人が使いたい道具を相談します。
友達関係では、冗談の受け取り方やチャットの速さなど、対面以外の負担もあります。失敗を全部報告させず、困った時に誰へ相談できるか、具体的な相手と方法を決めておきます。
家庭・学校で試すための架空の例
「英語のワークは終わっているのに提出できなかった。次は授業前に机の上に置く。先生には提出箱を指してもらう」というように、本人と学校の役割を分けて決める例です。
CHAPTER 04登校がつらい時は、出席だけを目標にしない
朝の腹痛や帰宅後の強い疲れが続く場合は、学習、対人関係、体調などを広く確認します。ADHDがあるから不登校になると決めつけず、本人がつらいと感じる場面を一緒に探します。
別室、相談室、オンラインの学習などについて、利用条件や在籍校との連携を確認します。進路の話は脅しとして使わず、学びを途切れさせない選択肢として少しずつ共有しましょう。
進路の相談にも、使えた方法を持っていく
学校見学では校風だけでなく、連絡方法、課題の提出先、相談担当者を尋ねます。「ADHDの生徒はいますか」だけでは、本人が必要な支援は分かりません。中学校で役立った具体的な方法を説明し、同じような調整を相談できるか確かめます。
保護者が説明を代わる場合も、本人の前で失敗ばかり並べないようにします。本人が話す部分と大人が補う部分を先に決める方法があります。進路を考えることを毎日の注意の延長にせず、学びたい内容や楽しみも一緒に聞きましょう。
CHAPTER 05学校との相談を、一つのお願いから始める
担任へ相談する時は、困りごと、家庭で役立った方法、本人の希望を一つずつ伝えます。「配慮してください」で終わらせず、どの場面で誰が何をするかを話し合うと、実行する方法を共有しやすくなります。学校の状況も聞き、できる範囲を確認しましょう。
担任だけで調整が難しい場合は、特別支援教育コーディネーターやスクールカウンセラーなどへの相談も考えられます。担当者の名称や配置は学校で異なります。特定の制度を利用する条件と、日々の授業で試す工夫を分けて確認してください。
決めた方法には、確認する時期も添えます。困難が減ったかだけでなく、本人が道具を使いやすかったか、人前で恥ずかしくなかったかも聞きます。合わなければ努力不足とせず、量や示し方を変え、学年や担当者が変わる時には役立った条件を引き継ぎましょう。

CHAPTER 06工夫の成果は、本人の負担から確かめる
試す方法は、一度に増やし過ぎないようにします。最初に本人と困る場面を選び、使う道具、大人が手伝う部分、確認する時期を決めます。できたかどうかを競うのでなく、前より取り組みやすくなった条件を探すための試行です。
振り返る時は、終えた量だけでなく、疲れ方、声かけの回数、助けを求めやすさも確かめます。見た目には成功していても、本人が強く我慢しているなら調整が必要かもしれません。保護者や先生が無理なく続けられるかも含めて考えましょう。
体調の変化や強いつらさが続く場合、工夫を完成させるまで相談を待つ必要はありません。学校、自治体の発達相談、子どもの発達に対応する医療機関などへ、生活への影響を伝えます。対象年齢や予約方法は窓口の公式案内で確認してください。
CHAPTER 07学ぶ環境を選ぶ時に、本人の安心も確かめる
困難を減らす工夫を考える時は、どんな場所なら質問しやすいか、どのくらいの人数なら参加しやすいかも本人と話してみましょう。環境を変えることと、必要な医療の相談は並行して考えられます。学校・学級の選び方を考える参考として、星野達郎による次の動画を紹介します。
「発達障害なら支援級に入れるべき?」は教育的な見解を紹介する動画です。診断や治療を説明する動画ではなく、診断名だけで学級を決めるものでもありません。
Q & Aよくある質問
- Q. 中学生にも親の確認は必要ですか?
- 必要な範囲は人によります。毎日全部を見るのでなく、本人と確認する項目や時間を合意して決めます。
- Q. オンラインなら必ず学べますか?
- 環境が合う場合もありますが、画面の操作や自己管理が負担になる場合もあります。体験や支援体制を確認しましょう。
学びやすい条件を、一緒に考える一歩に
学校以外の学びも知りたい方は、NIJINアカデミーの活動や参加条件を確認できます。医療的な診断・治療の場ではありません。お子さまの希望、学習の進め方、相談できる体制を確かめながら、合う環境を探してみませんか。
REFERENCES参考資料
本記事は教育・生活上の一般的な情報です。具体例は支援を考えるための提案であり、診断、検査、治療の代わりではありません。医療上の判断は医師へ、支援制度や学校での実施条件は各窓口へ確認してください。参考資料確認:2026年10月25日。

