小さなサークルが、はじめて外の世界へ飛び出した日。
7月7日。
NIJINアカデミーの全校ホームルームで、初めて活動発表に挑戦した「写真サークル」。
スタッフを含めても、まだ数人の小さなサークルです。
「写真が好き」という気持ちで集まった子どもたちが、オンラインの画面越しに自分の撮った写真を見せ合ったり、「この写真いいね」と声を掛け合ったりしながら、少しずつ仲間になっていく。
何か特別なことを始めたわけではありません。
ただ、自分の「好き」を持ち寄った。
その「好き」を誰かと分かち合った。
そこから、少しずつ世界が広がっていったのです。
前回、全校ホームルームで初めて活動発表をしたあの日から、わずか2週間。
今度はオンラインの画面を飛び出して、リアルの場へ挑戦。
写真サークルのメンバーにとって、初めてのリアルイベントの日がやってきました。
今日は、そんな彼女たちの一日をお届けします。
前回の記事はこちら↓

会場で花開いた、彼女たちの「好き」
今回応募したのは、富士フィルム主催の写真コンテスト「あなたが主役の写真展」。
テーマは「想いをつなぐ」。
会場に並ぶ一枚一枚の写真には、撮影した人の「想い」が添えられています。
その景色を誰かに見てほしい。大切な瞬間を残しておきたい。この気持ちを、誰かに届けたい。
写真を眺めていると、写っているものだけではなく、その一枚を撮った人がどんな気持ちでシャッターを切ったのかまで伝わってくるようです。
そして会場には、もう一つ素敵な仕掛けがありました。
展示された作品を見た人が、写真の持ち主へメッセージを届けることのできる「絆ポスト」。
「好きでつながる」を大切にしてきた2人にとって、まさにぴったりの場所です。
今回のコンテストでは、応募した時点ですでに、2人の作品が東京の会場に展示されることが決まっていました。
自分たちが撮った写真が、東京の会場に飾られる。
それだけでも、きっとワクワクする出来事だったと思います。
でも、展示されることが決まったその先に、2人の中で少しずつ別の気持ちが芽生えていきました。
「せっかくなら、この作品をほかのみんなにも見てもらいたい。」
「写真の楽しさを、もっと伝えたい。」
自分たちの中だけで楽しんでいた「好き」が、少しずつ外の世界へ向かって開いていく。
写真を撮るだけではなく、誰かに見てもらう。
写真について誰かと話す。
自分が感じた「楽しい」を、誰かにも届けてみる。
そんなふうに「好き」の世界が広がっていったことが、今回のリアルイベントにつながっていきました。
そして7月21日。
写真サークルにとって、初めてのリアルイベントの日を迎えます。

「やってみたい」を、自分の手で。
当日は、オリジナルのポストカードをプレゼントしたり、写真の撮り方講座を開いたり。
2人がそれぞれに「自分にできること」を考え、この日のために準備を進めてきました。
コアちゃんが準備したのは、オリジナルのポストカード。
当日、みんなが来てくれることを思い浮かべながら、お母さんと一緒に準備したそうです。
ポストカードは裏返して、くじ引きのようにして選んでもらうことに。
「どれにしよう?」
嬉しそうに選ぶ仲間たち。
そして、手にした写真をじっくり眺める姿。
その様子を見ていると、ポストカードそのものだけではなく、コアちゃんが「みんなに喜んでもらえたらいいな」と思いながら準備していた時間まで、一緒に届いたような気がしました。
そして、もう一人のMさんが準備したのは「写真講座」。
実はMさん、これまでオンラインで一度も声を出して話したことがありませんでした。
そんなMさんが、この日はリアルな会場で、友達に向かって一生懸命に写真の撮り方を伝えています。
緊張して、言葉に詰まりそうになる。
それでも、自分の言葉を探しながら、伝えようとする。
「ちゃんと話せるかな」
そんな不安も、きっとあったと思います。
それでも最後まで、自分の言葉で伝えきりました。
その姿を見ていたお母さんが、涙を流しながら、
「写真サークルがあって良かった」
と話してくれました。
私は、その言葉がずっと心に残っています。
きっと、お母さんが嬉しかったのは、Mさんが写真講座を「上手にできた」からだけではないのでしょう。
これまで声を出すことができなかった子が、「伝えてみよう」と思えたこと。
そして、その挑戦を安心してできる場所があったこと。
何より、その一歩を一緒に喜んでくれる仲間がいたこと。
そこに「写真サークルがあって良かった」という言葉の意味があるのだと思います。

オンラインの「好き」が、リアルの「出会い」になる。
大好きな写真をきっかけに、オンラインから飛び出して、初めて同じ場所に集まった2人。
画面越しに知っていた仲間が、目の前にいる。
一緒に写真を撮って、一緒に笑って、同じ時間を過ごす。
会場には、家族やみんなで写真を撮ることができるスペースもあり、NIJIN Familyでも記念写真を撮りました。
その光景を見ながら、私はふと思ったのです。
「居場所って、こういうところから生まれていくのかもしれないな」って。
学校でもない。
お家でもない。
でも、ここに来れば「自分でいていい」と思える。
好きなことを好きと言っていい。
話したいときは話せばいいし、話したくないときは無理をしなくてもいい。
そんな安心できる場所があるからこそ、
「ちょっとやってみようかな」
という気持ちが生まれる。
安心があるから、挑戦できる。
挑戦してみたら、誰かとつながる。
そして、誰かとつながったことで、また次の「やってみたい」が生まれる。
この日の2人を見ていて、そんな「HAPPYの循環」を感じました。
「一緒に写真を撮りたい」が、新たな挑戦へ。
初めてのリアルイベントを終えた写真サークルには、また新しい「やってみたい」が生まれていました。
もっと、みんなで写真を撮りたい。
もっと、仲間を集めたい。
自分たちが感じた「写真って楽しい」を、今度はもっとたくさんの人と分かち合いたい。
そんな2人の想いに共感してくれたのが、写真に熱い想いを持つ企業、ハッピースマイルさんでした。
そして、いよいよ明日、10月3日。
写真サークルは、ハッピースマイルさんと直接つながります。
最初は、自分たちが撮った写真を見せ合うところから始まった小さなサークル。
そこから、自分たちの写真を誰かに見てもらい、リアルの場で仲間と出会い、今度は「写真」を仕事にしている大人たちと出会います。
子どもたちは、そんなハッピースマイルさんとの出会いを前に、一つのことを考えました。
「写真を大切にしている人たちに、聞いてみたいことって何だろう?」
そこで出てきたのが、こんな質問でした。
「特別なイベント以外では、どんなタイミングで写真を撮ろうと思いますか?」
「今までいろいろな写真を撮ってきた中で、一番想い出に残っている写真はなんですか?」
「思い出を写真に収めることの大切さは何だと思いますか?」
どれも、「写真が好き」な子どもたちだからこそ生まれた問いなのだと思います。
ハッピースマイルさんが大切にしている言葉は、
「写真に驚きと感動を」
写真を、一枚の「想い出」として大切にしている企業の方たちは、この問いにどんな言葉を返してくれるのでしょう。
今から、その答えを聞けることが楽しみです。
ハッピースマイルさんのHPはこちら↓
https://happysmile-inc.jp
そして私は、こうやって子どもたちの「好き」が、同じものを大切にしている大人や企業とつながっていくこと自体が、とても素敵なことだと思っています。
大人が「この企業と話してみよう」と決めるのではなく、
「写真が好き」
「もっと知りたい」
「こんなことを聞いてみたい」
そんな子どもたちの気持ちの先に、社会との出会いがある。
最初は、数人の小さな写真サークル。
そこから子どもたち自身が「もっとやりたい」と声を上げ、その声に共感してくれる大人や企業と出会っていく。
私は、こういう瞬間がNIJINアカデミーらしいなと思うのです。
大人が用意した道を子どもたちが歩くのではなく、
子どもたちの「やってみたい」から、新しい道そのものが生まれていく。
小さな「好き」は、世界を広げていく。
まだ数人の、小さな写真サークル。
大きな実績があるわけでもありません。
最初から企業とつながっていたわけでもありません。
ただ、そこには「写真が好き」という、一人ひとりの小さな気持ちがありました。
その「好き」を大切にして、仲間と分かち合ってみる。
「やってみたい」と思ったら、やってみる。
誰かが一歩踏み出したら、「いいね」と一緒に喜ぶ。
その繰り返しが、少しずつ世界を広げていきました。
オンラインの画面から、リアルな会場へ。
自分の「好き」から、誰かの「やってみたい」へ。
そして今、その「好き」は、企業や社会ともつながろうとしています。
たった一枚の写真から始まった物語が、ここまで来た。
そう思うと、なんだか胸が熱くなります。
写真は、撮って終わりじゃない。
一枚の写真が、誰かの心を動かすことがある。
一枚の写真が、誰かの背中を押すことがある。
一枚の写真が、新しい出会いを連れてくることもある。

そして何より、
「好き」は、その子の世界を広げていく力になる。
学校に行けない。
人と話すことが苦手。
自分から一歩踏み出すなんて、とてもできない。
そんなふうに感じている子がいたとしても。
もしかしたら、その子の中にも、まだ誰にも見つけてもらっていない「好き」があるのかもしれません。
そして、その小さな「好き」を「やってみたい」に変えられる場所があったら。
「好き」を一緒に楽しんでくれる仲間がいたら。
その子の世界は、思っているよりずっと大きく広がっていくのかもしれません。
写真サークルの2人が見せてくれたのは、
安心できる場所があるから、人は挑戦できる。
そして、
たった一つの「好き」からでも、世界は変えていける。
ということ。
オンラインで出会った仲間と、リアルの世界へ。
そして今度は、大好きな「写真」を通して、同じように写真に想いを持つ企業へ。
子どもたちの世界は、少しずつ、でも確実に広がっています。
この物語は、まだ始まったばかり。
10月の出会いから、またどんな「やってみたい」が生まれるのでしょう。
次は、どんな景色をみんなで撮りに行こうか。
写真サークルの「好き」が、また新しい世界を連れてきてくれそうです。

