「英語を話せるようになりたい」クライミングで世界を目指す中2が、進路イベントで見つけた学び方|不登校を経験した大学生と校長の助言

「クライミングの選手が、僕の最終目標ではありません」まっぴさん/中学2年生・クライミング歴4年

「好きなことはあるけれど、それが進路につながるのかわからない」「夢を聞いても、はっきりした答えが返ってこない」。そんな気持ちを抱えている保護者の方へ。

夢は、人前で言葉にしたときに、次の一歩が見えてきます。この記事では、NIJINアカデミーに通う中学2年生のまっぴさんが、進路イベントで語ったクライミングの夢と、不登校を経験した現役大学生・ゆうたさん、タツロー校長から受け取ったアドバイスを、編集部がお伝えします。

「好き」は、目的とつながったときに進路になる
  1. 目標は、W杯の選手と、世界で活躍するルートセッターまっぴさんは、選手のその先までを見すえた人生設計を、自分の言葉で発表しました。
  2. 64人中63位から、87人中26位へケガや手術、負けてばかりの時期を越えて、公式の全国大会で成長を確かめました。
  3. 夢のために、英語が必要だと気づいた海外の選手と交流するため、日本に来る人と話すため。学ぶ理由が、夢の中から出てきました。
  4. 二人の大人が、同じことを伝えたタツロー校長もゆうたさんも、「目的が先、方法は後」という同じ結論にたどり着きました。
NIJINアカデミーより

NIJINアカデミーは、全国から累計1000名を超える子どもたちが在籍する、不登校の小中学生のためのオルタナティブスクールです。2026年9月26日、メタバース校舎で進路イベントを開催しました。ゲストは、高校2年生で不登校を経験し、現在は世界22位のメルボルン大学(オーストラリア)で学ぶゆうたさん。この記事では、その場で進路プレゼンに立った生徒の一人、まっぴさんの発表をご紹介します。

「緊張します(笑)」——進路プレゼンの舞台に立った14歳

イベントの名前は「進路勉強会」。ゲストの講演と、生徒による進路プレゼンの二部構成で、メタバース校舎で開かれました。画面の向こうには、在校生や保護者、先生たちが集まっています。

冒頭、タツロー校長がゲストのゆうたさんを「かっこよくて、イケイケなゆうたさんだね」と紹介すると、ゆうたさんは「いや、そんなことはわかってるんですよ(笑)」と返し、会場の空気がふっとゆるみました。

そのあいさつが終わると、最初の発表者としてまっぴさんが画面に現れます。第一声は、「緊張します(笑)」でした。

無理もありません。聞いているのは、学校の先生や友だちだけではありません。世界の大学で学ぶ大学生と、校長と、たくさんの大人たちです。それでもまっぴさんは、この場に立つことを選びました。

当日のイベント全体のようすは、こちらの記事でお伝えしています。 イベントレポートを読む →

進路勉強会で発表するまっぴさん。スライドには「選手やセッターになるためには英語が必要」

プロフィール|まっぴさん

まずは、まっぴさんのプロフィールです。

項目内容
お名前まっぴさん(ニックネーム)
学年・年齢中学2年生・14歳(2026年9月時点)
取り組んでいることクライミング(競技歴4年)
目標W杯の選手、そして世界で活躍するルートセッター
これまでの挑戦英検準2級、漢字検定準2級に合格。世界遺産検定にも挑戦中
直近の大会茨城県鉾田市で開かれた公式の全国大会で、87人中26位

まっぴさんは、以前にも「好きなことを極めると、それは将来の武器になる」と語ってくれました。漢字検定に挑戦したときのインタビューは、こちらでお読みいただけます。 「好き」を武器に、世界へ。中2まっぴの挑戦を読む →

まっぴさんのこれまでの歩み

  1. 6歳でパルクールを始める体を動かすことが、まっぴさんの原点でした。
  2. 小学4年生の夏、クライミング一本にここから4年間、クライミングを続けています。
  3. がむしゃらに登った時期と、ケガ週7日の練習を続ける中で、ひじの骨折や上腕三頭筋の損傷を経験しました。
  4. 初めての大会で「自分は弱い」と痛感始めて2年弱で出た小さな大会。最初は負けてばかりでした。
  5. 公式の全国大会で87人中26位昨年の64人中63位から、大きく順位を上げました。
  6. 進路イベントで、夢を発表選手のその先にある、ルートセッターという目標を語りました。
クライミングに取り組むまっぴさん

6歳のパルクールから、クライミング一本へ

発表は、こんな言葉から始まりました。

まっぴさんまっぴさん

「こんばんは! まっぴです。今日は、僕の夢であるクライミングについてです。W杯の選手とルートセッターを目指します」

まっぴさんが体を動かし始めたのは、6歳のとき。最初はパルクールでした。そして小学4年生の夏、クライミング一本にしぼります。それから4年。クライミングは、まっぴさんの生活の真ん中にあり続けています。

午前は勉強、午後は練習

始めてから最初の1年半は、毎日午前に勉強し、午後は近くのクライミングジムへ。まっぴさんの言葉を借りれば、「学童感覚で」通っていたそうです。楽しくて、本当に毎日登っていました。

その頃のことを、まっぴさんは「がむしゃらに楽しんでいた」と振り返ります。好きなことに、好きなだけ時間を使える。それは、子どもが何かに夢中になるときの、いちばん自然な形です。

以前のインタビューでも、まっぴさんは勉強に集中できないとき、音楽を聴いたりクライミングをしたりして気分を切り替えていると話していました。勉強とクライミングは、まっぴさんの中で対立するものではなく、お互いを支え合うものになっています。

週7の練習が教えてくれたこと——ケガと、負けてばかりの日々

けれど、がむしゃらなだけでは続きませんでした。

週7日で登り続けることには限界がありました。ひじの骨折と、上腕三頭筋の損傷。そこから、練習は週4〜5日へと見直すことになります。その後も、親指の骨折、ひじの手術と、困難は続きました。まっぴさんは発表の中で、「つらい時期もあった」と振り返っています。

好きなことができなくなる時間は、好きであればあるほどつらいものです。それでも、この経験がまっぴさんに教えたことがあります。量だけでは強くなれない、ということです。

大会でも、壁にぶつかりました。クライミングを始めて2年弱。初めて出た小さな大会は、本人いわく「本当にひどい結果」でした。自分はこんなにも弱いんだ、と痛感したといいます。けれどまっぴさんは、そこでやめるのではなく、「大会に出て強くなる」と決めました。

苦手な練習にも向き合う

そこから、まっぴさんの練習は変わっていきます。ストレッチ、筋力トレーニング、ランニング。登ること以外の、どちらかといえば苦手な練習にも取り組むようになりました。

好きなことを続けるために、好きではないことにも向き合う。これは、大人でも簡単にはできないことです。誰かに言われてやるのではなく、自分で必要だと気づいたからこそ続けられる。まっぴさんは、諦めずに練習を重ねるうちに、少しずつできることが増えていったと話しています。

NIJINアカデミーの行事に参加したときのまっぴさん

64人中63位から、87人中26位へ

その積み重ねを確かめる場が、イベントの2週間前にありました。茨城県鉾田市で開かれた、公式の全国大会です。

まっぴさんには、この大会に特別な思いがありました。昨年出場したときの結果は、64人中、同率63位。「その屈辱を晴らしてやる」という気持ちで臨んだといいます。

そして今回の結果は、87人中26位でした。

まっぴさんまっぴさん

「昨年よりはるかにいい成績でしたが、まだまだ順位を上げられたな、という気持ちもありました。でも成長を感じたので、これからも頑張ろうと思いました」

63位から26位へ。数字だけを見れば、大きな前進です。それでもまっぴさんは、「まだまだ上げられた」と口にしました。もっと上を見ているからこそ、出てくる言葉です。同時に、「成長は感じた」と自分で言えていることも見逃せません。結果に一喜一憂するのではなく、自分の歩みを自分で測れるようになっています。

ケガをした。負け続けた。それでもやめなかった。この2年間が、順位という形で返ってきました。

笑顔のまっぴさん

「選手が最終目標ではない」——ルートセッターという夢

ここまでなら、「がんばっている選手の話」です。けれど、まっぴさんの発表はここで終わりませんでした。

まっぴさんまっぴさん

「僕は、クライミングの選手が最終目標ではありません。選手を引退した後、世界で活躍するクライミングのルートセッターになりたいです」

ルートセッターとは、クライミングの壁にホールド(手や足をかける突起)を配置し、登るコース、つまり「課題」をつくる人のことです。選手がどんな動きで登ることになるのかを設計する、いわば課題の作者です。

まっぴさんによると、いま世界で活躍するルートセッターの中には、かつてW杯に出場していた人や、海を越えて各地を飛び回り、教えている人もいるそうです。選手として経験を積み、その先でセッターとして世界を回る。まっぴさんは、そこまでを一本の道として思い描いていました。

なぜ、ルートセッターなのか

発表を聞いたタツロー校長は、まずこう伝えました。「改めてすごいと感じた。ルートセッターまでの人生設計をしていること、デザインや課題がわかっていることは、今回初めて知った」。そのうえで、まっぴさんに尋ねます。なぜ、ルートセッターになりたいと思ったの?

まっぴさんまっぴさん

「クライミングをしている人に、もっと楽しんでもらいたいです。自分で課題をつくってみたい。自分自身、クライミングで人生がハッピーになりました。まだ発展途上のスポーツを成長させて、テニスくらい有名なスポーツにしたいです」

自分が強くなりたい、という話ではありません。自分を幸せにしてくれたものを、もっと多くの人に届けたい、という話です。発表の最後にも、まっぴさんはこう言いました。「クライミングは生涯スポーツです。健康的にクライミングを楽しみ、仲間を見つけ、幸せになる人が増えることが僕の夢です」

タツロー校長も「俺も同じ考え」と応じます。クライミングの壁は駅や幼稚園など、いろいろな場所に増えてきた。それでも、まだまだこれから伸びていく分野であり、何よりすごく楽しいスポーツだ、と。

夢のために、英語が必要だと気づいた

世界で活躍する選手やセッターになるには、英語が必要です。まっぴさんは、そのことも発表の中で話しました。英検準2級には合格している。けれど、実際に外国の人を前にすると尻込みしてしまい、話せない。だから、実際に英語を話せるようになるための方法を知りたい、と。

ここで大切なのは、「英語を勉強しなさい」と誰かに言われたのではない、という点です。夢を具体的に思い描いたら、その途中に英語があった。学ぶ理由が、自分の中から出てきたのです。

図解
まっぴさんが描く、夢までの道のり

「好き」が、一本の道としてつながっています。

01
選手として世界へ

ケガや敗戦を越えて、公式の全国大会で順位を上げました。目指すのはW杯です。

02
ルートセッターになる

選手の経験を活かして、登る人がもっと楽しめる課題をつくる側へ。

03
世界に届ける

クライミングを、テニスくらい有名な生涯スポーツに。そのために英語を学びます。

夢を先まで描いたから、いま何を学ぶべきかが見えてきました。
夢を、言葉にして
ぶつけられる場があります

NIJINアカデミーでは、生徒が進路を発表し、少し先を歩く先輩や校長からアドバイスを受ける「進路勉強会」を毎月開いています。まずは個別相談で、お子さんの今をお聞かせください。

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タツロー校長から——「明確に『人』なんだよね」

英語の話になると、タツロー校長は自分のことを話し始めました。校長自身、英語はずっと苦手でした。中学1年生のときには英検5級に落ち、それからは英語にまったく触れてこなかったそうです。勉強するようになったのは、30歳を過ぎてからでした。そのうえで、「まっぴ、まじですごいと思う」と伝えました。

では、苦手な英語をどうやって続けているのか。校長の答えは、勉強法ではなく「誰のためか」でした。

タツロー校長タツロー校長

「明確に『人』なんだよね。自分が幸せにしたい人を思い浮かべて、英語をしゃべる。そう思うと頑張れる」

校長が毎日思い浮かべているのは、「靴磨きのペドロ」という一人の人だといいます。その人を幸せにしたい。そう思うと頑張れる、と。この日も、インド、シリコンバレー、フィリピンの教育関係者や起業家と、英語で3件の打ち合わせをしてきたそうです。勉強には英語アプリを使い、一日10分ほど。そして仕事の中に、必ず一日一回、英語を使う会議を入れていると紹介しました。

まっぴさんは、本を使って勉強しているそうです。校長は「自分に合った方法でやればいい」と受け止めたうえで、素人ながら、と前置きして三つのことを伝えました。

アドバイス
タツロー校長が伝えた、英語を続ける三つの段階

方法の前に、まず目的を置きます。

01
目的を思い描く

誰を幸せにしたいのか。目標や目的を、具体的な「人」として思い浮かべます。

02
基礎を続ける

単語は覚えたほうがいい。人気のアプリなどを使って、楽しく続く形にします。

03
話す環境をつくる

友だちや仲間をつくり、話さないといけない場を持つ。まっぴさんなら、海外の友だちをつくることです。

「目標があれば、頑張れると思う」
笑顔で語り合うタツロー校長とゆうたさん

ゆうたさんから——「英語をやりたい」は「走りたい」と同じ

続いて、ゲストのゆうたさんからのフィードバックです。ゆうたさんは、高校2年生で不登校を経験し、現在は、世界22位のメルボルン大学(オーストラリア)で学んでいます。

「英語ですか? 日本語ですか?」

マイクを受け取ったゆうたさんは、まず冗談めかして「英語ですか? 日本語ですか?」と尋ねました。タツロー校長が「一回、英語で」と乗ると、ゆうたさんは本当に英語でまっぴさんに質問を投げかけます。

まっぴさんの返事は、こうでした。「まずい、単語はわかるのに文章が全然わからん(笑)。日本語でお願いします(笑)」。

会場に笑いが広がります。けれどこの数秒は、まっぴさんにとって、何よりも実感のこもった学びになりました。単語はわかる。でも、文章になると聞き取れない。いまの自分に何が足りないのかを、その場で体験したのです。

あらためて日本語で、ゆうたさんは尋ねました。クライミングの選手やセッターになるために、なぜ英語が必要なの?

まっぴさんまっぴさん

「世界に行くためには、海外の選手と交流する必要があります。それに、日本のクライミングも発展してきていて、海外から日本に来る人も結構います。話しかけられたときに、話せるようにしたいです」

どんなことを話しかけられるの? とゆうたさんが重ねて聞くと、まっぴさんは「『うまいね』みたいなことを言われるんですけど、なかなか返せないんです」と答えました。

ゆうたさんが年齢を尋ねると、まっぴさんは「14歳」。ゆうたさんは驚いてこう言いました。「英検準2級を持ってるんだ。僕より賢いですよ。僕、2級は高2で落ちてるんで。あと4年あるんですよ。4年で、僕の18歳を抜けるんです。全然いけると思う」。

目的がないと、走り続けられない

そこから、ゆうたさんは「現実的なアドバイス」を伝えました。

ゆうたさんゆうたさん

「『英語をやりたい』って、正直、大きすぎるんです。『走りたい』と同じ。じゃあ走れよ、となる。その先の目的が必要です」

ゆうたさん自身、かつては「英語をやりたい」と思って勉強していたものの、どこに向かっているのかがわからなかったといいます。変わったのは、目的ができてからでした。走ってダイエットをしたい人は、やせるまで走れる。マラソン大会に出たい人は、そこを目指して頑張れる。けれど、ゴールのないマラソンは走れません。ゆうたさんも、「海外の大学に行く」というゴールを決めてから、そこに向かって走れるようになったといいます。

だからこそ、ゆうたさんはまっぴさんにこう伝えました。「ゴールが、いまのまっぴくんに見えているのがいい。クライミングと英語、という」。英語全般を身につけようとするのではなく、「クライミングに関する英語を話せるようにする」と決めればできる、というのです。

「知る」と「話す」の2軸で

具体的な進め方についても、ゆうたさんは二つの軸を示しました。

一つは、クライミングで英語をどう使うのか、という視点で学ぶことです。英検の勉強はそのまま続ければいい。本で学ぶのも、最初はそれでいい。そのうえで、英語のクライミング動画をYouTubeで何度も見て、「こういう単語を使っているんだ」と楽しみながら覚えていくことをすすめました。「うまいね」と声をかけてくる人は、まっぴさんの登りに興味を持っている。だから、クライミングの英語から始めればいい、というわけです。

もう一つは、話すことです。

ゆうたさんゆうたさん

「クライミングって、本で読んでもわからないですよね。やってみないと。英語も同じで、話してみたら、何ができて何ができないかがわかります」

クライミングにたとえたこの言葉は、まっぴさんにいちばん届く形だったはずです。ゆうたさんは最後に、「楽しんで知ること、話すことを意識すること。この2軸でやると、夢は叶うと思う」と締めくくりました。

フィードバックをくれたゆうたさん。メルボルンにて

二人のアドバイスは、同じところに着地した

ここで、二人の話を並べてみます。

タツロー校長ゆうたさん
いちばん伝えたこと幸せにしたい「人」を思い浮かべる「英語をやりたい」の先にある目的を持つ
自分の経験30歳を過ぎてから英語を始めた海外の大学に行くと決めたら、勉強できた
基礎の学び方単語を、続けやすい方法でクライミングの英語を、動画などで楽しく
話すことについて仲間をつくり、話す環境を持つ話してみて、できること・できないことを知る

立場も年齢も違う二人が、同じ結論にたどり着いています。目的が先で、方法は後。そして、一人で机に向かうだけでなく、実際に使ってみること。

これは英語に限った話ではありません。「勉強しなさい」と言われてもなかなか動けない子が、やりたいことの途中に勉強が出てきたとたん、自分から動き始める。まっぴさんがケガをきっかけに、苦手なストレッチやランニングに向き合えるようになったのも、同じしくみです。

「発表することが、未来を切り拓く」

司会が、まっぴさんに尋ねました。二人からのアドバイスを聞いて、どう思った?

まっぴさんまっぴさん

「すごい……もう、身に染みつけます(笑)。すごくいいアドバイスをもらえて、ちょっと安心しました。自分もちゃんと発表できたし、よかったと思います。あと、日本語もちゃんと勉強します(笑)」

最初に「緊張します」と言っていたまっぴさんが、最後には冗談を返しています。そのようすを見て、タツロー校長はこう語りました。

タツロー校長タツロー校長

「こういうところだよね。発表することが、未来を切り拓いていく。次のチャレンジをしたいという気持ちが、湧き上がっていると思う。ここにちゃんと挑戦しに来た、というところが大きいんじゃないかな。素晴らしい」

司会が「勇気をもって発表してくれたまっぴさんに、大きな拍手を」と呼びかけると、メタバース校舎に盛大な拍手が沸き上がりました。

夢は、頭の中にあるうちは、まだぼんやりしています。人前で言葉にして、問いかけられて、答えて、助言を受ける。そのやりとりの中で、次にやることがはっきりしていきます。まっぴさんがこの日持ち帰ったのは、アドバイスだけではありません。「自分の夢を、大人たちが本気で聞いてくれた」という経験そのものです。

メタバース校舎に拍手のリアクションが広がった

夢を言葉にできる環境とは?|NIJINアカデミーのしくみ

まっぴさんがこの日、自分の夢を堂々と語れたのは、本人の力です。そのうえで、NIJINアカデミーには、子どもが夢を言葉にしやすくなるしくみがあります。

進路は、進学先を決めることだけではない

NIJINアカデミーでは、進路を「どの学校に進むか」だけの話とは考えていません。自分は何が好きなのか。それは社会のどこにつながっているのか。そのために、いま何を学ぶのか。まっぴさんの発表は、まさにこの順番で組み立てられていました。

そのきっかけとして、進路講演会を毎月開いています。不登校やそれに近い経験をして、いま自分の道を歩いている大人を招き、話を聞く時間です。今回のゆうたさんのように、少し先を歩く人の実感のこもった言葉は、教科書よりも深く届くことがあります。

人前で話す機会が、日常の中にある

NIJINアカデミーのメタバース校舎には、8〜10人の少人数・異年齢のクラスがあります。ホームルームもクラス会議もあり、子どもたちは日ごろから自分の考えを言葉にしています。

発表の場も一つではありません。教育展示会EDIXでの登壇、企業との共創プロジェクト、学園祭のステージ。小さな場で話す経験を重ねているからこそ、大きな場でも「緊張します(笑)」と言いながら立つことができます。

点数ではなく、学びのポートフォリオで成長を記録する

NIJINアカデミーには定期テストがありません。担任の所見による「学びのポートフォリオ」で、一人ひとりの成長を記録します。

63位から26位へ順位を上げたこと。ケガを越えて練習の仕方を変えたこと。人前で夢を語ったこと。どれも、教科のテストでは測れません。けれど、その子がどう成長しているのかを、何よりもよく表しています。

学習面では、AI型学習ドリル「navima」が使い放題で、小学1年生から中学3年生の内容を学び直しも先取りもできます。在籍校はそのままで、学校との併用もできます。なお、希望者の出席認定率は97%です(在籍校の出席扱い。最終判断は在籍校の校長が行います)。

登壇した生徒たちと、ゆうたさん、タツロー校長の記念撮影

家庭で今日からできること|「好き」を進路の言葉にする関わり方

タツロー校長とゆうたさんがまっぴさんにしたことは、ご家庭でもできます。答えを教えるのではなく、問いかけることです。

お子さんの様子つい出てしまう言葉別の関わり方(一例)
好きなことに夢中になっている「それより勉強しなさい」「それの、どこがいちばん面白いの?」
将来の夢を話してくれた「それで食べていけるの?」「どうしてそれをやりたいと思ったの?」
「英語をやりたい」と言い出した「じゃあ毎日やりなさい」「英語が話せたら、何をしたい?」
結果が出ずに落ち込んでいる「次はがんばろう」「前と比べて、変わったところはある?」
苦手なことを避けている「逃げてばかりでは駄目」「やりたいことのために、何が必要だと思う?」

タツロー校長がまっぴさんに投げかけたのは、「なぜルートセッターになりたいと思ったの?」という一つの問いでした。ゆうたさんも「なぜ英語が必要なの?」と尋ねています。評価でも助言でもなく、まず理由を聞く。その問いに答える中で、まっぴさんは自分の考えをさらにはっきりさせていきました。

声をかける前のチェックリスト

  • 夢の話を聞いたとき、実現できるかどうかを先に判断していないか
  • 「なぜ?」と理由を聞く前に、アドバイスを始めていないか
  • 「勉強」と「好きなこと」を、どちらかを選ぶものとして話していないか
  • 順位や点数だけでなく、前と比べた変化を言葉にして伝えているか
  • お子さんが家族以外の大人に、夢を話せる機会があるか

すべてに丸がつかなくても大丈夫です。とくに最後の一つは、ご家庭だけで用意するのが難しいものです。親には照れくさくて言えない夢も、少し先を歩く大学生や、学校の先生になら話せることがあります。

ここがポイント

眠れない、食欲がない、強い落ち込みが続くなど、気になる様子があるときは、関わり方だけで解決しようとせず、医療機関や専門の相談窓口への相談も選択肢に入れてください。

よくある質問

スポーツや習いごとに打ち込みながら、通うことはできますか?
できます。NIJINアカデミーはメタバース校舎が中心で、全国どこからでも参加できます。在籍校はそのままで、学校との併用も可能です。お子さんの生活に合わせた関わり方を、担任と相談しながら決めていきます。
好きなことはあるのですが、進路につながる気がしません。
最初からつながりが見えている必要はありません。まっぴさんも、クライミングが好きという気持ちが先にあり、ルートセッターという目標や、英語を学ぶ理由は、その先を具体的に思い描く中で出てきました。まずは「なぜ好きなのか」を言葉にするところから始めます。
進路については、どんなサポートがありますか?
進路講演会を毎月開催し、不登校やそれに近い経験をして自分の道を歩いている大人の話を聞く機会をつくっています。今回のように、生徒が進路プレゼンを行い、ゲストや校長からフィードバックを受ける場もあります。くわしくは進路・キャリアのページをご覧ください。
人前で話すのが苦手な子でも大丈夫ですか?
大丈夫です。発表は希望する子が行うもので、強制ではありません。カメラ・音声オフでの参加もでき、子どもたちはアバターで登校します。少人数のクラスで話す経験を重ねながら、自分のタイミングで一歩を踏み出せます。
定期テストがないと、成長はどうやってわかりますか?
担任の所見による「学びのポートフォリオ」で成長を記録します。点数だけでは見えにくい、その子の取り組みや変化を残していくしくみです。
NIJINアカデミーに通うと、在籍校の出席扱いになりますか?
希望者の出席認定率は97%です。ただし、出席扱いにするかどうかの最終判断は、在籍校の校長が行います。在籍校はそのままで参加できます。

まとめ

「緊張します(笑)」から始まったまっぴさんの発表は、メタバース校舎の盛大な拍手で終わりました。

6歳のパルクールから、小学4年生でクライミング一本へ。週7日の練習、骨折や手術、ひどい結果に終わった初めての大会。それでも続けて、64人中63位から87人中26位へ。

そしてまっぴさんは、選手のその先を見ています。世界で活躍するルートセッターになり、クライミングを世界の人に届けること。そのために英語を学ぶこと。

タツロー校長は「幸せにしたい人を思い浮かべる」と伝え、ゆうたさんは「『英語をやりたい』の先にある目的が必要」と伝えました。二人の言葉は、同じところを指しています。目的があるから、人は続けられる。

「好き」は、目的とつながったときに進路になります。そして夢は、人前で言葉にしたときに、次の一歩が見えてきます。

発表することが、未来を切り拓いていく。まっぴさんの次のチャレンジは、もう始まっています。

お子さんの「好き」を、
進路の言葉にしてみませんか

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