中1不登校の娘に“オンラインスクール”を選んで正解だったのか――悩み続けた母が見た、娘の変化

保護者インタビュー

中1不登校の娘に”オンラインスクール”を選んで正解だったのか――悩み続けた母が見た、娘の変化

ゆいちゃんとお母さまインタビュー
PROFILE

ゆいちゃん(仮名)とご家庭(中学1年生)

本人
ゆいちゃん(仮名)・中学1年生
不登校の経緯
小学4年生の冬休み明けから行き渋りが始まり、心身のバランスを崩したことをきっかけに居場所を探す
入学
さまざまな選択肢を検討したのち、小学6年生の秋にNIJINアカデミーへ入学
入学後の変化
朝のホームルームに自分から参加し生活リズムが安定。オンラインで友達ができ、得意なイラストをSlackやクラス会議で発表するように。現在はイラストサークルのリーダーとして、YouTube編集やクッキーの型づくりなどリアル教室の活動にも参加

「学校へ戻した方がいいのではないか」「この選択で、本当に良いのだろうか」。小学4年生から不登校を経験した娘さんの居場所を探しながら、ゆいちゃんのお母さまは、何度も悩み続けていたといいます。

オンラインスクールやメタバースという、まだ見えにくい選択肢への不安。それでも、”子どもの反応”を信じて、一歩を踏み出したこと。今回は、中学1年生の「ゆいちゃん」のお母さまに、保護者としての葛藤や迷い、そして入学後に見えてきた変化について、お話を伺いました。

この記事の要点
  • 小学4年生の冬休み明けから行き渋りが始まり、お母さまは「休ませちゃいけない」という思いで必死に学校へ送り出していた
  • ゆいちゃんの心身に変化が出たことをきっかけに、「無理をさせてはいけない」と考えが変わっていった
  • オンラインスクールという未知の選択肢に、金額面だけでなく「この選択で本当に良いのか」という迷いがあった
  • 最後に背中を押したのは、リアル教室体験での”ゆいちゃん本人の反応”だった
  • 入学後は友達ができ、好きなイラストが周囲に認められたことで、生活リズムや表情に変化が生まれた
  • お母さまが行き着いたのは、「見守る」ことの大切さと、親自身も休んでいいというメッセージだった
ゆいちゃんとご家族

1「休ませちゃいけない」――学校に行かせることで頭がいっぱいだった

ゆいちゃんが学校へ行き渋るようになったのは、小学4年生の冬休み明けでした。

最初は、「今日は休ませようかな」という程度だったそうです。

しかし、それが2日、3日と続くにつれ、お母さまの不安は大きくなっていきました。

お母さん
お母さん

とにかく、休ませちゃいけないって思っていました。”休み癖がついたらどうしよう”って。

朝になるたびに、「今日はどうやって学校へ行かせよう」と考えていたといいます。

車に乗せ、学校まで送る。先生に引き渡す。時には、家から車まで無理やり連れていったこともありました。

お母さん
お母さん

今思うと、必死だったんですよね。

お母さまはフルタイムで仕事をされています。家で一人にしておく不安。誰とも関わらず、YouTubeを見たり寝たりして過ごす生活。勉強もしない。外にも出ない。

お母さん
お母さん

これでいいのかなって、ずっと思っていました。

特に怖かったのは、”終わりが見えないこと”だったといいます。

お母さん
お母さん

生活リズムも崩れて、夜遅くまで起きていて。外に出ないから、体も疲れない。人間らしく生きていけるのかなって、不安でした。

そして同時に、自分たち家族の将来も揺らいでいく感覚があったと振り返ります。

お母さん
お母さん

仕事をしないと生活は回らないし、自分が思い描いていた将来と、どんどんズレていく感じが怖かったですね。

2「無理をさせちゃいけない」――娘の身体に起きた変化

学校復帰を目指して、夫婦でたくさん話し合いもしました。ご主人も一緒に悩み、話を聞いてくれていたといいます。

ただ、実際に学校へ連絡し、朝の声かけをし、子どもの様子を見続けていたのは、主にお母さまでした。

お母さん
お母さん

主人も気にかけてはくれていました。でも、実際に毎日何が起きているかは、その場にいないと分からない部分も多くて……

「今日はどうやって学校へ行かせよう」――そのことを考え続けながら、仕事と家庭、子どもの対応を同時に回し続ける日々。当時を振り返り、お母さまは、

お母さん
お母さん

ずっと気が張っていたと思います

と話してくださいました。

担任の先生や通級の先生とも相談し、「まずは自信をつけさせよう」と褒める関わりを増やしたこともあったそうです。それでも、状況はなかなか変わりませんでした。

そして行き渋りが始まって数か月、ゆいちゃんの身体にも少しずつ変化が出始めます。ご飯が食べられなくなったり、心と身体のバランスを崩してしまったり――。

お母さん
お母さん

その時に、この子は本当に頑張っている。”もう無理をさせちゃダメなんだ”って思ったんです。

それまでのお母さまは、”学校へ戻すこと”を第一に考えていました。けれど、心だけではなく身体にも負担が出ている姿を見て、「まずは、この子が安心して過ごせることが大事なんだ」と考えるようになったといいます。

3「高い」と感じたのは、お金だけではなかった

ゆいちゃんの居場所を探す中で、さまざまな選択肢も検討しました。名古屋市のフリースクールに問い合わせたこともあります。絵が好きだったため、絵画教室へ通ったこともありました。しかし、送迎や予約の問題、仕事との両立の難しさもあり、長く続きませんでした。

そんな中、転機になったのは、弟さんが通っていたプログラミング教室でした。「今度、フリースクールを始めるんです」そう声をかけられたことをきっかけに、NIJINアカデミーのリアル教室体験へ参加することになります。

ただ、最初から前向きだったわけではありません。

お母さん
お母さん

正直、かなり悩みました。

お母さまの中には、”オンラインスクール”という選択肢自体がありませんでした。

お母さん
お母さん

メタバースとかオンラインとか、未知の世界すぎて。周りに経験者もいないし、”その後どうなったか”っていう話も聞かない。

そして、現実的な悩みもありました。

お母さん
お母さん

金額的にも、安くはないですし。小学6年生という大事な時間を、ここに使っていいのかって、すごく迷いました。

不登校の子どもの居場所を探す中では、何かを選ぶたびに、「本当にこれでいいのだろうか」という迷いがつきまといます。もし他の選択肢の方が良かったらどうしよう。この子に合わなかったらどうしよう。

「この選択で、本当に良かったのだろうか。」

これまでにも、いろいろな場所や方法を試してきたからこそ、新しい選択肢に踏み出すハードルは、少しずつ高くなっていたといいます。

お母さん
お母さん

もし合わなかったらどうしよう、っていう不安が、ずっとありました。

それでも最後に背中を押したのは、やはり”ゆいちゃん本人の反応”でした。

4「本当は、外に出たかったんだなって思いました」

リアル教室の体験に参加した日。お母さまは、これまでと違う娘の姿を見ます。

お母さん
お母さん

“行く”って、自分で言ったんです。

しかも、最後までその場にいられた。楽しそうに過ごしていた。お母さまが様子を見に行った時も、笑顔だったそうです。

お母さん
お母さん

こんなに楽しそうに外へ行く姿を、久しぶりに見ました。

その瞬間、お母さまは感じたといいます。

お母さん
お母さん

本当は、外に出たかったんだなって。

もちろん、不安が消えたわけではありません。それでも、

お母さん
お母さん

この子がこんなに反応するなら、一回やってみよう

そう思えたことが、大きかったそうです。

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5“好き”が、初めて誰かにつながった

入学後は、思っていた以上にスムーズだったといいます。特に驚いたのは、「友達できたよ」という娘の言葉でした。

お母さん
お母さん

オンラインで友達ができるなんて、私には全然イメージがなかったんです。

さらに、生活リズムにも変化が現れました。朝のホームルームに合わせて起きる。自分から参加する。

お母さん
お母さん

ちゃんと朝起きるようになったのが、まず安心でした。

そして、ゆいちゃんの”好き”も大きく動き始めます。もともと好きだったイラスト。それをSlackやクラス会議で発表すると、「いいね!」という反応が返ってきました。

お母さん
お母さん

家族以外の人が認めてくれたのが、すごく大きかったです。

毎日投稿を続ける。もっと上手くなりたいと思う。YouTubeで描き方を調べる。本を読む。自分で練習する。

お母さん
お母さん

これが本当にやりたかったんだなって思いました。

ゆいちゃんが描いたイラスト

さらに、イラストはリアル教室での活動にも広がっていきます。クッキーの型づくり。YouTube編集。イラストサークルのリーダー。

お母さん
お母さん

“こうしてみようか”って、周りが巻き込んでくれたんです。

その姿を見ながら、お母さまはこう感じていました。

お母さん
お母さん

カゴの中にいた鳥が、羽ばたいていくみたいでした。

6「見守る」は、簡単じゃない

最後に、お母さまは当時の自分へ、こんな言葉をかけたいと話してくださいました。

お母さん
お母さん

無理しなくてもいいよ、って言いたいです。

そして、同じように悩む保護者へ。

お母さん
お母さん

私は、”見守る”のが本当に苦手でした。

何かしなきゃ。何とかしなきゃ。そう思えば思うほど、視野が狭くなっていたといいます。

お母さん
お母さん

でも、一回立ち止まって見守ることが、私には必要だったんだと思います。

もちろん、それは簡単なことではありません。変化が見えない中で待つのは、苦しい。親自身も不安になる。それでも。

お母さん
お母さん

見守ることで、見えてくるものもありました。

そして最後に、こんな言葉も添えてくださいました。

お母さん
お母さん

子どものことだけじゃなくて、親自身もちゃんと休んでほしいです。疲れたら、一人になる時間を作ってもいい。親も、自分自身を見守ってあげてほしいと思います。

正解が分からないまま、迷いながら進むしかない。それでも、”子どもの反応”を信じてみる。ゆいちゃんの変化は、そんな小さな決断の積み重ねから始まっていました。

7インタビューを終えて

今回、お話を伺いながら、何度も印象に残った言葉がありました。

「この選択で、本当に良かったのだろうか。」

ゆいちゃんがNIJINアカデミーへ入学したのは、小学6年生の秋。”中学生になれば、環境が変わってリセットできるかもしれない”そう考える保護者の方は、少なくないと思います。

一方で、中学校入学までは、まだ数か月ある。その数か月を、「あと少し」と感じるか、「まだ数か月もある」と感じるかは、置かれている状況によって全く違います。

すでに何年も、子どもの不登校と向き合い続けてきた保護者にとって、その時間は、とても長く、先の見えないものだったのではないかと感じました。

オンラインスクールやメタバースという選択肢は、少しずつ増えてきています。ただ、保護者にとっては、まだまだ”未知の世界”でもあります。

本当に、この子の居場所になるのか。外からは見えにくく、「この選択でいいのだろうか」と悩み続ける保護者も少なくないのではないかと感じました。

周囲に経験者も少ない中で、”まだ答えの見えない選択肢”に、一歩踏み出す。その怖さや葛藤を、今回のインタビューを通して、強く感じました。

インタビューの中で印象的だったのは、”簡単には決められなかった”という、お母さまの言葉でした。

最初、私は”金額”のことだと思っていました。けれど、お話を聞き続ける中で、それは単なる費用の話ではないのだと感じました。

もし合わなかったら。もし他の選択肢の方が良かったら。もし学校にも戻れなかったら。そんな”不確かな未来”に対して、大切な子どもの時間を使うことへの怖さ。

だからこそ、お母さまが最後に、「子どもの反応を見て、やってみようと思った」と話されていたことが、とても印象的でした。

あの日、お母さまが感じた「この子、楽しそうだな」という小さな実感。その感覚が、次の一歩につながっていったのかもしれません。

記事執筆:ボランティアスタッフ コージー

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