みおんさん(小学生)
- 在籍
- NIJINアカデミー
- 好きなこと
- レゴ作品づくり、旅先のマグネット集め
- 今の挑戦
- 骨の博物館へ行くリアルイベントの企画
みなさんは、自分の好きなものをはっきりと人に話すことができますか? 大きくうなずける人もいれば、「ちょっぴり恥ずかしい」「声に出すには勇気がいる」という人もいるのではないでしょうか。
「うちの子は人見知りで、新しい場所ではほとんど話せない」「内気な性格で、オンラインでも声が出せるか心配」。そんな気持ちを抱えている保護者の方へ。「好き」や「ワクワク」は、大きな声や言葉になっていなくても、誰の心の中にも静かに、けれど確かにあります。この記事では、入学当初なかなか声を出せなかった小学生・みおんさんが、自分らしい一歩を踏み出すまでの物語を、担任スタッフの目線でお伝えします。
- 静かに見える子の中にも「好き」は詰まっている——みおんさんの机の上には、レゴ作品や旅先のマグネットなど、たくさんのヒントがありました。
- 最初の一歩は、小さなつぶやきでいい——「私、やりましょうか?」のひとことから、司会、企画、リアルイベントへと世界が広がりました。
- うまくいかない経験も、自信の材料になる——参加者ゼロだった折り紙企画は、作戦を練り直した2回目で無事に開催できました。
- 大人の役目は、急がせずに見つけて応援すること——声の大きさではなく、表情や机の上、ひとことのつぶやきに目を向けます。
NIJINアカデミーは、全国から累計1000名を超える子どもたちが在籍する、不登校の小中学生のためのオルタナティブスクールです。声を出すことや前に立つことが苦手な子も、カメラ・音声オフでの参加から、少しずつ自分のペースで一歩を踏み出せます。
人見知りで、クラスでは声が出せなかった
入学当初は、恥ずかしがり屋で無口クラスの様子を静かにうかがうばかりで、声を出して話すことが難しかったみおんさん。お母さまも「元々内気な性格なんです」と話していました。
気持ちは心の中に、たくさん詰まっていた机の上のレゴ作品や旅先のマグネットなど、言葉にはしなくても「好き」のサインはそこかしこにありました。
ひとことから世界が広がり、司会やリアルイベントにも挑戦
「私、やりましょうか?」のひとこと司会が困っている場面で、自分から出た小さなつぶやきをきっかけに、司会の常連さんに。折り紙企画も自分で立ち上げました。
EDIXでのチラシ配りにも挑戦お母さんの後ろに隠れていたところから、15分後には友だちと笑顔でチラシを配っていました。今は、骨の博物館へ行く企画に挑戦中です。
「元々内気な性格なんです」から始まった、みおんさんの物語
NIJINアカデミーで過ごす子どもたちの中に、最初は恥ずかしがり屋で、なかなか声を出すのが難しかった小学生の女の子がいます。入学当初、クラスの様子を静かにうかがっていた、みおんさんです。
お母さんも面談で「元々内気な性格なんです」と教えてくれました。
人見知りや内気さは、直すべき欠点ではありません。まわりをよく見て、自分の中でじっくり考えてから動く。そういう慎重さの表れであることも多いものです。ただ、にぎやかな集団の中では、その良さが見えにくくなってしまうことがあります。
今回は、そんな彼女が内気な心の奥にある“好き”を少しずつ咲かせ、自分らしい一歩を踏み出すまでの道のりを、順を追ってご紹介します。
カメラ越しにそっと見えてきた、好奇心と可能性
最初は照れくさくて、声を出して話すことが難しかったみおんさん。でも、クラスの友達の発表を聞くと、いつも画面の向こうでニッコリと素敵な笑顔を見せてくれていました。
机の上に置かれていた「好き」のサイン
自分から「これやったよ!」と大きくアピールすることはありません。それでも、カメラをオンにした机の上には、みおんさんの可能性が広がっていました。
ある日は、一生懸命作った渾身のレゴ作品がそっと置かれていました。またある日は、マグネットがいっぱいの冷蔵庫の前から参加していて、話を聞いてみると、実は家族でたくさん海外旅行に行っていたことがわかりました。
一見静かに見えても、心の中にはこんなにもたくさんの「好き」や「ワクワク」が詰まっているんだ。一緒に過ごしていくうちに、少しずつ彼女の想いやユーモアが見えてきました。
声より先に、表情と持ち物が語ってくれる
話すことが得意ではない子は、言葉以外の方法でたくさんのことを伝えています。友達の発表を聞くときの笑顔。机にそっと置かれた作品。背景に映りこんだ思い出の品。どれも「私はこれが好き」というメッセージです。
大切なのは、大人がそれを見つけて、「それ、なあに?」と興味を持って聞いてみること。答えを急がず、話したくなったときに話せる余白を残しておくことです。
声を出さなくても「そこにいられる」メタバース校舎のしくみ
みおんさんが自分のペースでクラスになじんでいけた背景には、NIJINアカデミーの環境があります。人見知りの子にとって、初めての場所でいちばん負担が大きいのは「何か話さなければ」というプレッシャーです。NIJINアカデミーでは、その負担をできるだけ小さくして、まず「そこにいること」から始められます。
話せるようになる前に、まず「いていい場所」があること。
メタバース校舎にはアバターで登校します。カメラ・音声オフ、チャットやリアクションだけの参加もできます。
顔ぶれが決まった異年齢のクラスなので、少しずつ相手を知ることができます。ホームルームやクラス会議もあります。
教員経験や不登校経験などを持つスタッフが伴走し、小さなサインや変化を受け止めます。
少人数のクラスだからこそ、担任は一人ひとりの画面をよく見ることができます。みおんさんの笑顔や、机の上のレゴ作品に気づけたのも、この距離の近さがあったからです。
また、NIJINアカデミーには定期テストがありません。担任の所見による学びのポートフォリオで成長を記録していきます。「発表できた回数」のような目立つ結果だけでなく、その子なりの小さな一歩を成長として残せるしくみです。
たったひとことのつぶやきから動き出す、大きな変化
そんなみおんさんに、大きな転機が訪れます。
ある日、いつもサクサクと司会進行をしてくれていたお友達がお休みになり、みんなが「どうしようか?」と困っていたときのことです。みおんさんが、ボソッとひとことつぶやいてくれました。
「私、やりましょうか?」
その勇気あるひとことをきっかけに、彼女の世界は一気に広がり始めます。その日を境に、今ではすっかり司会進行の常連さんになりました。
お気に入りのアプリを見つけると「これおすすめだよ!」と教えてくれたり、ホームチームでの発表や新しい企画にもどんどん挑戦するようになっていきました。
なぜ、あのひとことが出たのか
このひとことは、誰かに指名されて出たものではありません。みんなが困っている場面を見て、自分から出た言葉です。
それまでの時間、みおんさんは静かにクラスの様子を見ていました。友達が司会をする姿も、クラスのメンバーの様子も、画面の向こうからずっと見ていたはずです。「見ているだけ」に見える時間は、実は準備の時間だったのかもしれません。
安心できる仲間がいて、「自分が役に立てるかもしれない」と思える場面がめぐってくる。そのとき、内気な子の中にたまっていた力が、ふっと外に出てくることがあります。

「見て楽しむ」から「自分たちでつくる」へ|参加者ゼロから始まった折り紙企画
みおんさんの挑戦は、誰かに用意されたものを楽しむだけにとどまりません。自分で考えて「つくり出す」楽しさへと変わっていきました。
あるとき、ランチタイムに集まったメンバーに折り紙を披露することになったみおんさん。そのときのみんなの反応が嬉しくて、担任も知らぬ間に「折り紙企画」を立ち上げていました。
しかし、企画は簡単にはいきません。1回目はなんと参加者ゼロ。「誰も来ませんでした!」と報告してくれました。せっかく企画したのに、大きなショックを受けているのではないかと心配しましたが、彼女はそこで諦めたりはしませんでした。
- きっかけ:ランチタイムに折り紙を披露集まったメンバーの反応が嬉しくて、「もっとやってみたい」という気持ちが生まれました。
- 挑戦:自分で「折り紙企画」を立ち上げる担任が知らないうちに、自分から企画を始めていました。
- 壁:1回目は参加者ゼロ「誰も来ませんでした!」と、結果をそのまま担任に報告してくれました。
- 工夫:届け方を考え直す誰かに届けるにはどうすればいいのか。一生懸命考えて、勇気を出して呼びかけたり、作った折り紙を紹介したりしました。
- 達成:2回目は無事に開催作戦を練り直して挑んだ2回目。開催できたときの嬉しそうな笑顔は、大きな自信に満ちあふれていました。
「失敗しても大丈夫」な場だから、もう一度やってみられる
ここで注目したいのは、みおんさんが「誰も来なかった」ことを自分から報告してくれた点です。うまくいかなかったことを隠さずに話せるのは、それを受け止めてもらえる安心感があるからこそだと感じます。
NIJINアカデミーでは、サークル活動や、子どもたちが行き先や内容を企画する行事など、自分で考えて形にする機会がたくさんあります。大人が用意した正解をなぞるのではなく、やってみて、うまくいかなければ作戦を変えて、もう一度やってみる。その繰り返しを、担任と仲間が近くで見守ります。
人前で話すのが苦手だった子が、自分の企画に人を呼ぶために「勇気を出して呼びかける」。この変化は、誰かに言われたからではなく、「届けたい」という自分の気持ちから生まれたものでした。

メタバースから、リアルな世界へ!EDIXでのチラシ配り
オンラインのメタバース空間で少しずつ自信のつぼみを膨らませていったみおんさんは、ついに「リアルな場」での挑戦へと足を踏み出します。教育の展示会イベント「EDIX」に足を運び、自らブースのお手伝いに参加してくれたのです。
最初は、お母さんの後ろに隠れていた
ブースに来たばかりのみおんさんは、お母さんの後ろに隠れていました。「メタバースで毎日会っているじゃん!」と思わずツッコミましたが、初めてのリアルな場は、初めからいつも通りというわけにもいきません。
ですが、少しずつ場に慣れてくると、その場で出会ったニジアカの友達と一緒に、チラシ配りを手伝うことになりました。最初は「無理無理絶対もらってくれない…!」と不安な様子でした。けれど、まわりの友達が一生懸命チラシを配る姿を見ているうちに、自分もそっと手を伸ばし始めます。
15分後、「チラシが足りません!」
するとどうでしょう。15分後には「チラシが足りません!ブースに戻りましょう!」と、友達と元気に駆け戻ってきました。企業の方々へ素敵な笑顔でチラシを届ける、頼もしい姿がありました。
帰っていくときの後ろ姿は、最初の不安が嘘だったかのような、輝く笑顔に包まれていました。
ここでも、きっかけは「友達の姿を見ること」でした。司会のときと同じように、まず見て、様子がわかってから、自分も手を伸ばす。それがみおんさんの一歩の踏み出し方です。同じニジアカの友達がその場にいたことも、大きな支えになったはずです。
NIJINアカデミーは、EDIXのような教育展示会への参加や企業との共創プロジェクトなど、子どもたちが社会とつながる機会を大切にしています。オンラインで育てた自信を、リアルな場で試してみる。その行き来ができることも、学びの一部です。

みおんさんの「好き」が芽吹くまで
ここまでの歩みを、3つの場面で振り返ります。
どの段階も、みおんさん自身のタイミングで進みました。
画面越しの笑顔と、机の上の「好き」。レゴ作品や旅先のマグネットが、彼女の世界を教えてくれました。
ひとことのつぶやきから広がる世界。司会の常連になり、折り紙企画も自分で立ち上げました。
EDIXでのチラシ配りに挑戦。15分後には、友達と笑顔でチラシを届けていました。
振り返ってみると、どの場面にも共通点があります。それは、大人が「やってごらん」と背中を押したのではなく、本人の中から出てきた言葉や行動を、まわりが受け止めたということです。
「うちの子でも参加できるかな」という段階で大丈夫です。LINEでスタッフがお話をうかがいます。
人見知り・内気な小学生に合う学びの場は?選び方の比較
学校に行きづらくなった子の学びの場には、いくつかの選択肢があります。人見知りの子にとっては、「どれが一番良いか」よりも「どれなら最初の一歩を踏み出しやすいか」が大切です。一般的な傾向を表にまとめました。
お子さんの今の状態に合うものを選ぶための目安です。
| 通学型のフリースクール | 動画・教材中心のオンライン学習 | NIJINアカデミー | |
|---|---|---|---|
| 顔や声を出さずに参加できる | × | ○ | ○ |
| 同年代の仲間と関われる | ○ | △ | ○ |
| 少人数で担任が伴走する | △ | △ | ○ |
| 自分で企画・発表する機会 | △ | × | ○ |
| 住んでいる地域に関係なく通える | × | ○ | ○ |
| 毎日通える校庭・給食がある | △ | × | × |
○=対応 △=一部・施設による ×=非対応 / ※一般的な傾向です。実際の内容は施設・サービスごとに異なります。
NIJINアカデミーはメタバース校舎が中心なので、毎日通う校庭や給食はありません。一方で、リアル教室は全国52か所にあり、週1から通える特化型リアル校として、アート・体操・プログラミング・農園など教室ごとに特色があります。オンラインとリアルの併用もできるので、みおんさんのように「まずはオンラインで慣れてから、リアルな場へ」という順番も選べます。
在籍校はそのままで、学校との併用もできます。NIJINアカデミーは、学校に戻ることを目的にはしていません。戻る・戻らないのどちらも否定せず、その子が今いちばん安心して学べる形を一緒に探します。
なお、希望者の出席認定率は97%です(在籍校の出席扱い。最終判断は在籍校の校長が行います)。
家庭で今日からできること|内気な子の「好き」を見つける関わり方
みおんさんの歩みから、ご家庭でも取り入れやすい関わり方をまとめました。あくまで一般的な例です。お子さんの様子に合わせて、できそうなものから試してみてください。
| 場面 | つい言いがちな声かけ | こう変えてみる(一例) |
|---|---|---|
| あいさつや返事ができなかった | 「ちゃんと声を出しなさい」 | その場では代わりに答え、あとで「うなずけていたね」と伝える |
| 作ったものを黙って置いている | 気づかずに通りすぎる | 「これ、どうやって作ったの?」と興味を持って聞く |
| 新しい場所で後ろに隠れる | 「恥ずかしがらないの」 | 「慣れるまで一緒にいるよ」と伝えて、様子を見る時間をとる |
| 挑戦がうまくいかなかった | 「だから言ったのに」 | 「教えてくれてありがとう。次はどうしようか」と一緒に考える |
| 小さく「やってみたい」と言った | 「本当にできるの?」 | 「いいね、やってみよう」とまず受け止める |
「好き」のサインを見つけるチェックリスト
言葉が少ない子ほど、行動や持ち物にヒントが出ていることが多いです。次のような場面がないか、数日ゆっくり観察してみてください。
- 時間を忘れて取り組んでいる遊びや制作がある
- 作ったものを、見える場所にそっと置いている
- 家族にだけは、くわしく話してくれる話題がある
- 動画や本で、同じジャンルを繰り返し見ている
- 人の話を聞いているとき、表情がよく動く
- 小さな声で「やろうか」「やってみたい」と言うことがある
ひとつでも当てはまれば、それが「好き」の入り口かもしれません。無理に広げようとせず、まずは「見つけたよ」と伝えるだけで十分です。
人見知りや内気さは、その子の性格や気質であることが多く、それ自体が問題なわけではありません。ただ、家庭では話せるのに特定の場面でまったく声が出ない状態が長く続くなど、気になる様子がある場合は、専門機関への相談も選択肢のひとつです。
心の奥にある「好き」の芽を、これからも一緒に見守りたい
現在は、「リアルイベントも自分で企画してみたい!」と、みんなで骨の博物館へ行く企画に挑戦中のみおんさん。
最初は小さかった挑戦の芽が、友達との関わりや温かな承認の中で、少しずつ大きな花を咲かせようとしています。
NIJINアカデミーが目指しているのは、最初から上手くできることではありません。一人ひとりの心の奥にある「好き」や「やってみたい」に寄り添い、小さな勇気をみんなで温かく応援することです。
みおんさんの心の中に詰まったたくさんの「ワクワク」が、これからどんな景色を見せてくれるのか。私たちはこれからも温かな眼差しで見守り、応援していきます。
みおんさんの挑戦ストーリーは、動画でもご覧いただけます。
NIJINアカデミーの校長・星野達郎(タツロー校長)は、2021年度まで公立小学校の教員でした。設立の原点には、「明るくない子どもなんていない。問題児なんてたったの一人もいない」という言葉があります。静かに見える子の中にも、その子だけの明るさがある。みおんさんの歩みは、まさにそのことを教えてくれます。
よくある質問
まとめ
入学当初、クラスの様子を静かにうかがっていたみおんさん。声は出なくても、画面越しの笑顔や机の上のレゴ作品が、彼女の「好き」を教えてくれました。
「私、やりましょうか?」というひとことから司会の常連になり、参加者ゼロだった折り紙企画は工夫を重ねて2回目で開催。EDIXでは、お母さんの後ろに隠れていたところから、15分後には笑顔でチラシを配っていました。そして今は、骨の博物館へ行くリアルイベントの企画に挑戦しています。
人見知りや内気さは、変えなければいけないものではありません。大切なのは、声の大きさにかかわらず、その子の中にある「好き」に気づく大人や仲間がいること。そして、小さな「やってみたい」が出てきたときに、安心して試せる場があることです。
お子さんの机の上にも、きっと「好き」のサインが置かれています。まずは今日、それをひとつ見つけるところから始めてみませんか。
保護者の方だけのご参加も大丈夫です
