救われているのは私——「悩みなんか無かった」と思える日まで

PROFILE

せり君(中学2年生)

在籍
NIJINアカデミー(メタバース・諏訪校)
好きなこと
絵を描くこと、工作、電車
今の挑戦
友だちとのひとり旅、ゲーム制作

「たぶん、見たことのない子どもの姿が見られるようになると思うんです」

そう話すのは、現在中学2年生のせり君のお母さんです。せり君は、小学6年生の1月にNIJINアカデミー(以下、ニジアカ・ニジン)のメタバースへ入学し、中学1年生の10月からはリアル校(諏訪校)にも通っています。学校イコール恐怖だった日々を経て、この夏は友だちと3人だけで電車に乗り、一泊旅行へ出かけました。この記事では、迷いながらも一歩を踏み出してきたお母さんと、そのたびに応えてくれたせり君の姿をお届けします。

この記事のポイント
  • 大人数の教室が苦手で、小学1年生の入学1週間で不登校に
  • 転校先の支援級、中間教室を経て、小学6年生でNIJINアカデミーへ
  • メタバースで芽生えた「自分で表現していい」という自信
  • 北海道の修学旅行で見せた、想像を超える成長
  • 諏訪校(リアル校)で重ねた”初めて”と、友だちとの一泊旅行
Before

大人数の教室が苦手で、「学校イコール恐怖」に

入学から1週間で不登校に大きな音や人の多さが苦手だったせり君。地元の小学校では、入学からわずか1週間で学校に行けなくなりました。

「これでいいのかな」という迷いの日々転校先の支援級や中間教室に通いながらも、お母さんの中でずっと迷いは消えませんでした。

After

「自分で表現していいよ」から、想像を超える成長へ

メタバースで広がった友だちの輪小学6年生でNIJINアカデミーに入学。「自分で表現していいよ」の言葉をきっかけに、友だちの輪が一気に広がりました。

諏訪校(リアル校)での”初めて”の数々個展やワカサギ釣り、友だちとの一泊旅行など、”初めて”を重ねながら成長しているせり君です。

わが子に合う場所を探して

小学1年生の春。地元の小学校に入学したせり君を待っていたのは、大人数のクラスでした。大きな音や人の多さは、せり君にとってとても苦手なものです。

「音で大パニック、人で大パニック。もう怖い怖いになって、『もう行けません』と。それで、学校イコール恐怖みたいな感じになってしまいました」

入学から1週間で学校に行けなくなり、1年生の1年間を家で過ごすことになります。せり君にとって、お母さんのそばは一番安心できる場所でした。その頃に好きだったレゴや工作、絵を描くことは、今も変わらず楽しんでいます。

しかし、このままでは困ってしまうと感じたお母さんは、新しい学校を探し始めます。別の学校の見学や山村留学の受け入れ先探しを経て出会ったのが小規模の小学校でした。2年生の夏、せり君はその小学校へ転校し、支援級に入級します。

「やっと小学校に通うっていう楽しみができたのかな、という感じですね」

せり君が描いた作品

▲せり君が描いた作品

消えなかった迷い

見通しをもつと安心できるせり君。転校先の小学校では、朝はまず支援級でその日の見通しを確かめてから、クラスに行くかを決めていました。

「『ここは安全だよ』っていう場所を先生が提供してくれたので、クラスに行けなくても支援級には行ける日が増えてきました」

ただ毎日通うのは負担が大きく、水曜日を休んだり、教育委員会が管轄する「中間教室」に通ったりしながらの日々でした。これでいいのかな、という思いは、お母さんの中でずっと消えませんでした。

まわりからの言葉が、胸に刺さることもありました。

「『今日も学校行ってないんだね』という何気ない一言でも、せりや私たちにとっては結構傷つく言葉でした」

それでも、無理に学校へ行かせようとは考えませんでした。お母さん自身、なぜ行かなければならないのか、と思いながら通った子ども時代があったからです。保健師さんにも相談しながら、家でできることを大切にしてきました。

4年生の終わり頃から5年生にかけて、せり君の中に、人ともっと関わりたいという気持ちが芽生え始めます。

ダメならやめればいいや

5年生の宿泊研修、6年生になると修学旅行。行事に参加してみたいと思ったせり君は、学校で友だちと関わろうとします。けれど、うまくいかないことが続き、特に5年生は気持ちが不安定な日々でした。

その頃、お母さんはSNSの広告でニジアカを知ります。日本全国、世界とつながれる場所なら、違う世界が開けるかもしれない。そう感じたものの、環境の変化が苦手なせり君を思うと、なかなか踏み切れませんでした。

「振り返ると、すごく後悔もしました。もっと早くやっていれば、という気持ちでした。それでも今は、間違っていなかったかなと思っています」

6年生の9月。お母さんは話を聞く形の説明会に参加し、現在の担任ハイジ先生と出会います。それから年明けまで、悩みは続きました。本人に合っているのか。メタバースを使いこなせるのか。パニックにならないか。それでも、やっぱり入ってみたいという気持ちは、お母さんの中で消えませんでした。

「入るだけ入って、ダメならやめればいいや、という考えでしたね」

もう一度ハイジ先生と話し、翌年1月、ニジアカへの一歩を踏み出しました。

私の想像をはるかに超えて

入学したばかりの頃は、メタバースの操作に慣れず、気持ちが不安定になる日もありました。

そこで、ハイジ先生に相談しながら「肩ポン」(メタバース上で相手に声をかける機能)の使い方や話し方、話しかけ方などを少しずつ覚えていきました。さらに、ハイジ先生と話すうちに、自分のしたいことを積極的に表に出していいのだと気づきます。

「『自分で表現していいよ』と言われてからは、すごく早かった気がします」

みんなに向けて発信できるメタバースのスペースに、やりたいことを書き出したのもこの頃です。日本一周、世界一周の仲間募集。そこから、入学前は使いこなせるのかと心配していたメタバースで、友だちの輪が一気に広がっていきます。

「認めてもらえたことが、大きな自信になったみたいです。それで、表現も上手にできるようになっていきました」

もともと好きだった工作や絵も、人に見せようとするようになった、とお母さんは話します。

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北海道で見た初めての姿に涙

転校した小学校と同じ学区の中学校に進んだばかりの6月。ニジアカの修学旅行で北海道へ。家族にとって大きなターニングポイントとなる旅です。小学校の修学旅行も楽しかったと話していたせり君ですが、お母さんが大きな成長を感じたのは、ニジアカの修学旅行でした。

両親は少し離れたところから見守り、何かあればすぐに動けるようにしていました。

初日、空港から電車で移動するときのこと。一緒にいた友だちを待っていて、あと2、3歩のところで電車のドアが閉まってしまいました。いつものせり君なら、パニックになってしまうような場面です。

同じ場面で、その友だちは責任を感じたのか、騒いでしまったそうです。けれど、せり君はその子に寄り添い、こう声をかけました。

「大丈夫だよ。そんなこともあるよ」

その子のお母さんにも、こう言葉をかけていました。

「騒いでも大丈夫だよ」

この2つの言葉は、同行していた友だちのお母さんから、後で聞いた話です。その場で声をかけることができたせり君。お母さんには信じられず、涙が出るほどだったと振り返ります。

電車に乗れなかったことで、時間内に行きたい場所のすべてには行けなくなり、計画を練り直すことになりました。それでもせり君は、リーダーの子の話を聞きながら、「これがいいんじゃないか」「あれがいいんじゃないか」と話し合えました。

自分たちがそばにいなかったことも、せり君が自分で動くきっかけになったのかもしれない。そう話すお母さんにとって、せり君のこうした姿が修学旅行で一番大きな出来事でした。

初対面でも笑顔であいさつを交わし、何かあれば声をかけ合うニジアカの子どもたち。その様子に、お母さんはあることに気づきます。

「みんなそれなりに経験してることがあるじゃないですか。その不登校になる理由もそれぞれだと思うんですけど。だからこその優しさがすごくあるんですよね」

ニジアカの修学旅行(北海道)

▲中学1年生(2025年6月) ニジアカの修学旅行(北海道)

体験を重ねて選んだリアル校

リアル校との出会いは、小学6年生の2月。リアルイベントで諏訪校の恵先生と出会い、通える教室があることを初めて知りました。

電車に乗れるようになりたい。日本一周や世界一周という大きな目標を持つせり君は、中学に入ってから、その思いを抱いて諏訪校の体験に通い始めました。

恵先生と初めて出会った諏訪校のリアルイベント

▲恵先生と初めて出会った諏訪校のリアルイベント

本当に自分で行けるのか、通い続けられるのか。お母さんはその気持ちを胸に、何度か体験を重ねました。先生ともうまく関われるようになり、本人も気に入った様子を見て、「じゃあやってみよう」と決めます。中学1年生の10月、諏訪校に入学しました。

諏訪校では個展や夏祭りの屋台、ワカサギ釣りなど、せり君の「初めて」がだんだんと増えています。そうした日々の中で、顔を合わせて友だちと過ごす時間を、お母さんはこう見ています。

「諏訪校にリアルで通って、違うお友だちと会話をする中で、『あ、こういう感じになるんだ』というのも、たぶん学んできていると思います」

せり君が初めて開いた個展

▲せり君が初めて開いた個展 来訪者ノートには、たくさんのメッセージが寄せられました

友だちと一緒にメタバースのクラス会議に参加しながらスライムを作っているところ

▲友だちと一緒にメタバースのクラス会議に参加しながらカシャカシャスライムを作っているところ

友だちと一緒にお昼ご飯を作っているところ

▲友だちと一緒にお昼ご飯を作っているところ

近くのお寺の夏祭りに、諏訪校の屋台を初出店したときの様子

▲近くのお寺の夏祭りに、諏訪校の屋台を初出店したときの様子 呼び込みや接客をするせり君 お祭りに参加するのは、この日が初めて

諏訪校のみんなでワカサギ釣りに初挑戦

▲中学1年生(2025年12月) 諏訪校のみんなでワカサギ釣りに初挑戦 ちょっと苦手な餌も勇気を出して針につけられるようになりました

交通系ICカードに初めて自分でチャージしたとき

▲交通系ICカードに初めて自分でチャージしたとき

昼ごはんに初めて自分でおにぎりを作ったとき

▲昼ごはんに初めて自分でおにぎりを作ったとき

子どもを信じて見送った旅

修学旅行で同じ班になった1学年下の友だちが、その年の10月に東京ツアーを企画します。電車に乗れるようになりたいと思っていたせり君は、誘われて初めてひとりで特急に乗り、お母さんに送り出されて東京へ。駅で友だちと合流し、東京で一日を過ごし、帰りも2人で地元へ戻りました。翌日は恵先生の案内で、諏訪大社へ友だちの趣味の御朱印集めに出かけました。

初めてひとりで特急に乗った東京ツアー

▲中学1年生(2025年10月) 初めてひとりで特急に乗った東京ツアー

そして今年の8月。その友だちと、仲のよい電車好きのニジアカの友だちから栃木への一泊旅行に誘われます。旅がしたいというせり君の思いを、2人は知っていたようです。

ただ中学に入ってから、体調がすぐれず、気持ちが落ち着かない日も多かったせり君。一泊となると、行かせていいのか、お母さんは迷います。本人も「行かない方がいいのかな」と口にし、迷惑をかけるかもしれないと気にしていました。

せり君の背中を押したのは、電車好きの友だちが事前に示してくれた旅の見通しでした。お母さんは駅員さんにも事情を伝えてお願いし、「じゃあ行ってみるか」と送り出します。

「こっちが不安でいると、たぶん本人も不安になるので。ダメならダメでいいや、というぐらいの感覚で『行ってらっしゃい』と言いました。でも内心は、本当にドキドキでしたね」

3人のミッションの1つは、栃木名物の餃子を食べること。ところが、お店の順番待ちの通知をうまく受け取れず、着いたときには順番が過ぎていました。せり君は疲れがたまったり、お腹がすいたりすると、気持ちが揺らぎやすくなります。

この夜は、その両方が重なっていました。そこへ、お母さんの電話が鳴ります。

「ちょっと、どうしたらいいんだろう?イライラしそうなんだけど」

イライラしそう、と感じた時点で自分から連絡してきたことに、お母さんは驚きました。いつもの対処法を伝えると、せり君は「じゃあなんとかしてみる」と電話を切ります。

その夜は3人でお弁当を買い、ホテルで食べることに。お母さんはこう振り返ります。

「せりがこうだから、じゃあこれにしようと思ってくれた2人もそうですし、せりはせりで『もう今ちょっと限界なんだ』と言えた。本当に大きな出来事だったんじゃないかなと思いました」

翌日のお昼、3人は念願の餃子を食べて帰ってきました。

友だちと3人で出かけた栃木への一泊旅行

▲中学2年生(2026年8月) 友だちと3人で出かけた栃木への一泊旅行

見たことのない、わが子の姿に出会えて

一泊旅行の前には、まわりから「えー、そんなことさせるの?」と言われたこともありました。本当なら、行かせたくない気持ちもあった。手放すわけではないけれど、この先せり君が自立していくことを考えると、やってよかった。お母さんはそう振り返ります。

「今回、親として子どもを信じるっていうのも学んだひとつでしたね」

本当にここでちゃんとできているのか、そう思ってしまう気持ちは、今もお母さんの中にあります。それでも、見方は少しずつ変わっていきました。

「何ができて何ができてないって、それは私の目線であって本人ではない、というのもたぶん気づかされたところでもあります」

今のせり君は、中学校に登校する代わりに、月・火曜は中間教室へ。パソコンを持って行き、ドット絵を描いたり、みんなでゲームをしたりしています。ゲームひとつにしても、そこでコミュニケーションのやり方を学んでいる、とお母さんは感じています。

木曜は電車で諏訪校へ。見通しが立てば、金曜にメタバースの授業へ参加することもあります。

また、せり君はニジアカの友だちとゲームを制作し、絵などを担当しています。ニジアカで初めて出会った世界です。夢は、画家になって世界一周をすること。

これでいいのかな、どうなんだろう。手探りだったお母さんは、今こう話します。

「実際ニジンに救われているのは私だったりしてるので。学校に行かなくても、ここではハイジ先生や恵先生とかが『大丈夫だよ』と言ってくれる。そういう先生がいてくれるのは、親としてすごく心強くて。親の方が救われている感じがします」

居場所もコミュニティも限られる田舎で、全国や世界の人と話せる場所があるのは幸せなことだと、お母さんは言います。

「たぶん、見たことのない子どもの姿が見られるようになると思うんです」

合う、合わないはもちろんある。そう前置きして、お母さんはこう続けます。

「入るまではドキドキしても、入ってみると、子どもって意外とすごく柔軟なんです。『悩みなんか無かった』になってしまうのかもしれないな、と感じています」

▲せり君が友だちと作ったゲームの紹介動画

「魔界エスケープ」のチュートリアル担当キャラクター「バトルゴリラ」

▲友だちと作っているゲーム「魔界エスケープ」のチュートリアル担当キャラクター「バトルゴリラ」

おわりに

これでいいのかな、と迷いながら、わが子に合う場所を探し続けてきたお母さん。不安を抱え、まわりの声があっても、そのたびにせり君を信じて一歩を踏み出してきました。その一歩に、せり君は自分を表現することで応えてくれました。その姿に救われていたのは、お母さん自身だったのかもしれません。同じように悩む保護者へ、お母さんはこう話してくれました。

「ここに入ると何かが変わる。それは、私自身が体験してきたことです」

記事執筆:ボランティアスタッフ みっちー

対象
小学1年生〜中学3年生
参加方法
自宅からメタバース校舎へ。平日開校/全国各地にリアル校
サポート
専任サポート(1対1)/少人数クラス(8〜10人制)
出席認定
希望者の97%が在籍校で出席扱いを取得(実績)
在籍数
900名超

よくある質問

メタバースの操作に不安がありますが、大丈夫でしょうか?
はい。せり君のように、最初は操作に慣れず不安になるお子さんも、先生のサポートを受けながら少しずつ使い方を覚えていきます。焦らず自分のペースで進められます。
不登校の子どもでも、学校の出席として認められますか?
はい。NIJINアカデミーでの活動は、希望者の97%が在籍校で出席扱いとして認定されています(実績)。
リアル校ではどんな活動をしていますか?
個展や夏祭りの屋台、ワカサギ釣りなど、季節ごとのイベントがあります。顔を合わせて友だちと過ごす中で、自然なコミュニケーションを学んでいく子も多くいます。
対象年齢は何歳からですか?
小学1年生から中学3年生までが対象です。学年や進度に関わらず、一人ひとりのペースに合わせて学べるクラス編成になっています。
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