- 起立性調節障害の主な症状とタイプ、診断の目安
- 原因として考えられていること(自律神経の乱れ・思春期の身体変化など)
- 発達障害との違いや関連について、現時点で分かっていること
- 非薬物療法・薬物療法など治療の考え方と、受診の目安
- 学校を休んでいる間も学びを止めない、環境の選び方
起立性調節障害とは?どんな症状があるのか
起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation、通称OD)は、立ち上がったときや起床時に、血圧や心拍数を調整する自律神経の働きがうまく機能しないために起こる身体の病気です。小学校高学年から中学生の思春期に発症しやすく、本人の性格や気持ちの問題ではなく、循環器系の自律神経の調節不全という医学的な原因があることが、日本小児心身医学会などによって示されています。
代表的な症状には、次のようなものがあります。
- 立ちくらみ・めまいを起こしやすい
- 立っていると気分が悪くなる、ひどい場合は失神する
- 入浴時や嫌なことがあると気分不良になりやすい
- 少し動くと動悸や息切れがする
- 朝なかなか起きられず、午前中は調子が悪いが午後になると回復する
- 顔色が青白い/食欲不振が続く/強い腹痛や頭痛がある/倦怠感が強い/乗り物酔いしやすい
これらのうち3つ以上(症状が強い場合は2つ以上でも)当てはまるとき、起立性調節障害が疑われます。診断には、10分以上横になったあとの血圧・脈拍を基準に、起立後の血圧や心拍数の変化を測定する「新起立試験」が使われ、結果によって次のようなタイプに分類されます。
| タイプ | 特徴 |
|---|---|
| 起立直後性低血圧 | 起立直後に血圧が大きく低下し、回復に時間がかかる。立ちくらみが目立つ |
| 体位性頻脈症候群 | 血圧はあまり下がらないが心拍数が急上昇。動悸・倦怠感が目立つ |
| 血管迷走神経性失神 | 起立中に突然血圧・心拍数が低下し、失神を起こすことがある |
| 遷延性起立性低血圧 | 起立後しばらくしてから血圧が徐々に低下していくタイプ |
起立性調節障害になる原因は何?
起立性調節障害の原因は、まだ完全には解明されていません。ただし、現時点で関与が指摘されているのは主に次のような要因です。
自律神経の代償機構の乱れ
本来、人は立ち上がると重力で血液が下半身に集まり、血圧が下がりそうになりますが、自律神経が血管を収縮させて血圧を保とうとします。この調節がうまく働かないことで、脳への血流が一時的に不足し、立ちくらみやめまいが起こります。
思春期特有の身体の急成長
身長や体格が急速に変化する思春期は、身体の成長に自律神経の発達が追いつきにくく、症状が出やすい時期とされています。
水分・活動量・心理社会的ストレス
水分摂取の不足や日常の活動量の低下に加え、学校生活や人間関係などの心理社会的ストレスも症状の増悪に関わるとされています。ストレスは原因のすべてではなく、あくまで自律神経の乱れを助長する要因のひとつという位置づけです。「気の持ちよう」で片付けられるものではありません。
起立性調節障害と不登校の関係——「甘え」ではない
起立性調節障害は、症状の出方が「午前中だけ調子が悪く、午後には回復する」という点が特徴的です。この波が、周囲から見ると「行きたくないから仮病を使っているのでは」という誤解につながりやすく、本人が一番つらい思いをしていることも少なくありません。
起立性調節障害による不登校は、本人の意欲や気持ちの強さの問題ではなく、自律神経という身体の機能の問題です。周囲が「怠けている」と受け止めてしまうこと自体が、本人をさらに追い詰めてしまう場合があります。
母子分離不安など、他の特性でも「甘えではない」という誤解は共通するテーマです。周囲の理解が、本人の回復にとって大きな支えになります。
起立性調節障害は発達障害?
結論から言うと、起立性調節障害そのものは発達障害(神経発達症)ではなく、自律神経の調節に関わる身体疾患です。ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如・多動症)とは、医学的に異なる分類に位置づけられています。
一方で、起立時の症状や朝の起床困難など、症状が似ている部分があることから、発達特性のある子どもがODと似た状態を併せ持つケースがあることも報告されています。発達特性のある子どもは睡眠リズムのコントロールが未熟な場合があり、生活リズムの乱れや日常的なストレスの蓄積が自律神経の乱れにつながりやすいことが背景として指摘されています。ODと発達特性は別の概念ですが、症状が重なって現れることがあるため、自己判断で決めつけず医療機関に相談することが大切です。
起立性調節障害の治療方法はある?
治療は大きく「非薬物療法」と「薬物療法」に分けられます。多くの場合、まず生活面の工夫から始め、それでも改善が難しい場合に薬物療法を検討する流れが一般的です。
非薬物療法(生活面の工夫)
- 起立するときは頭を下げながらゆっくり立ち上がる
- 水分は1日1.5〜2リットル、塩分はやや多めを目安に摂取する
- 毎日30分程度の歩行など、軽い運動で筋力低下を防ぐ
- 早寝早起きなど、規則正しい生活リズムを心がける
薬物療法
非薬物療法だけでは効果が不十分な場合、ミドドリンなどの薬が処方されることがあります。海外の専門家コンセンサスでも、水分摂取と運動療法は薬物療法よりエビデンスレベルが高いとされており、生活面の工夫が土台になります。
受診の目安
症状が2週間以上続く、学校を休みがちになっている、といった場合は、小児科や心療内科などの医療機関に相談することをおすすめします。新起立試験で自律神経の状態を確認することで、適切な対応につなげやすくなります。
学校を休んでいる間、学びをどう続けるか
起立性調節障害は「午前中は調子が悪く、午後から回復する」という波があるのが特徴です。だからこそ、決まった時間に教室へ行くことを前提にした学び方だけでなく、本人の体調のリズムに合わせて学べる環境という選択肢を知っておくことは、家庭にとって大きな安心材料になります。
NIJINアカデミーでは、バーチャル校舎にいつでも入れるオンラインの仕組みを採用しており、午前中は横になって休み、体調が上向いた午後から授業に参加する、といった過ごし方も可能です。カメラ・音声をオフにしたままの見学参加もできるため、体調が万全でない日でも「つながりだけは保つ」という関わり方ができます。1人ひとりに専任サポート担任がつき、日々の体調に合わせて無理のないペースを一緒に考えられる点も特徴です。
在籍校や教育委員会と連携し、NIJINでの学習状況が出席として扱われるケースもあります(最終判断は学校によります)。希望する生徒の9割以上が在籍校の出席認定を得ている実績があります(2025年4月時点、株式会社NIJIN公式プレスリリースより)。
よくある質問
まとめ
起立性調節障害は、自律神経の調節がうまく働かないことで起こる身体の病気であり、本人の気持ちの問題ではありません。症状には立ちくらみや朝の起床困難、午前中の不調などがあり、3つ以上当てはまる場合は起立性調節障害が疑われます。原因は自律神経の代償機構の乱れや思春期の身体変化などが指摘されており、発達障害そのものではないものの、発達特性のある子どもが似た症状を併せ持つこともあるため、自己判断はせず医療機関への相談が欠かせません。治療は生活面の工夫を土台に、必要に応じて薬物療法を組み合わせます。そして、体調の波に合わせて学びを止めない環境を選べることも、本人と家族にとって大きな支えになります。
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