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チック・吃音で学校生活悩んでいませんか?子どもへの理解と工夫をお伝えします

チック症・吃音のある子どもへの理解と、学校生活でできる工夫
発達特性シリーズ ・ チック症/吃音

チック症・吃音のある子どもへの理解と、学校生活でできる工夫

まばたきが増える、首を動かす、声が出てしまう、言葉が詰まる――チックや吃音は、本人の意志ではコントロールできない特性です。原因・対応方法と、実際のエピソードをあわせて整理しました。

NIJINアカデミー ・ 発達特性コラム

チック症とは?

チック症とは、神経系の特性により、無意識のうちに特定の身体の動きや声が出てしまう症状のことです。突然で反復的、かつ本人にとって目的のない動作や発声で、遅くとも18歳未満に発症します。

  • 運動チック:まばたきが増える、首を動かすなど、体がビクっと動くタイプ
  • 音声チック:咳払い、「アッ!」という叫び声など、突然声が出てしまうタイプ
チックの原因は「育て方」では決してありません
長期休暇明け、かぜをひいたとき、疲れ、睡眠不足などで症状が悪化しやすいと言われています。男の子に多く、家族にチックのある人がいることも珍しくありません。まずは自己判断で諦めず、きちんと検査して診断をつけることも大切です。

チック症の分類

①一過性チック症

一時的にチックが現れるもので、通常1年以内に消失します。子どもに最も多く見られるタイプです。

②慢性チック症

運動チックまたは音声チックのいずれかが1年以上持続するものを指します。

③トゥレット症候群

複数の運動チックと、少なくとも1つの音声チックが1年以上続く状態です。「慢性チック症」とも言えます。

経過としては、小学校低学年で発症し、小学校高学年で症状が最も目立つ時期を迎え、成人する頃には目立ちにくくなることが多いとされています(3分の1程度は成人すると症状が軽くなり、3分の2程度は症状が続くとも言われます)。不安・ストレス・緊張があると、一時的に症状が悪化することがあります。

なお、トゥレット症候群やチック症のある方は、映画監督や国民的アイドルグループのメンバーなど、著名な方の中にも少なくありません。チックがあるからといって、それだけで社会生活が特別不利になるわけではないのです。

チック症の原因

チック症の原因は、まだ完全には解明されていませんが、いくつかの要因が関与していると考えられています。

遺伝的要因

家族にチック症・トゥレット症候群・強迫性障害がある場合、発症しやすくなる傾向があります。神経伝達物質ドーパミンのバランスとの関連が指摘されています。

環境的要因・ストレス

成績のプレッシャーや人間関係の悩み、新しい環境への適応、家庭内の変化などが、チックの頻度や強度を増す引き金になることがあります。

神経生理学的要因

ドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の不均衡が、症状の発生に関与しているとされています。

また、トゥレット症候群はADHD(注意欠如・多動症)や強迫性障害などを合併しやすいことが知られており、成長・発育の様子をあわせてチェックすることも大切です。

学校生活での対応

チック症の子どもにとって、周囲の理解が不足していると、症状を恥ずかしく感じ、引きこもりや不安につながることがあります。学校生活で意識したいポイントを4つ紹介します。

1

周囲の理解を促進する

チックは意志の力で止められないものであることを教師が理解し、否定的な反応や不必要な注目を避けます。クラスメイトへの説明も、からかいを防ぐうえで有効です。

2

ストレスを軽減する環境をつくる

症状が強くなったときに一時的に休めるスペースを用意したり、呼吸法などのリラクゼーションを教えたりすることで、症状の緩和につながります。

3

柔軟に対応する

テストの時間延長や別室受験、発表・朗読での配慮、宿題量の調整など、状況に応じた柔軟な対応が助けになります。

4

家族と学校が連携する

保護者と教師が定期的に情報を共有し、家庭でもリラックスできる環境や余暇の時間を整えることが、症状の安定につながります。

チックの治療

チック症の治療には、主に生活指導(認知行動療法)・薬・手術の3つがあります。まずは認知行動療法(ハビットリバーサルトレーニングなど、チックが起こりそうなときに代わりの動作を行う練習)を行い、必要に応じて薬による治療を検討する、という順序で進むのが一般的です。

薬を使うかどうかの目安は「自己評価が下がっているか」
からかわれていても、周りがそれを個性として受け止め、本人の自己評価が下がっていないうちは、薬を使う必要は基本的にありません。逆に、本人が「自分はだめな人間なんだ」と感じ始めているなら、それは治療を検討するサインです。

薬による治療が検討される場合、日本やヨーロッパではリスペリドンやアリピプラゾールなどが、アメリカではクロニジンなどが最初に使われることが多いとされています。どの治療が適しているかは個々の状況によって異なるため、専門医との相談のもとで判断することが大切です。

なお、チック症は発達障害者支援法において発達障害に分類されており、特別支援教育を含めた社会的な支援を受けられる場合があります。お住まいの市区町村の窓口で、利用できる支援を確認してみましょう。

保護者への手紙 ― チックは「SOSのサイン」

実際に寄せられた、ある保護者からの相談とその返信を紹介します。5年生になり係や仕事が増え、「疲れた」とため息をつきながら帰宅するようになった頃から、まばたきや首の動きが増えたというご相談でした。

ある専門家からの返信より

お子さんの症状は、チック症でしょう。今回チックの症状が出ているということは、お子さんからのSOSのサインだと思ってください。学校を休んでも、習い事を休ませてもかまいません。子どもらしく、のんびりしたり遊んだりする時間、お父さんお母さんとゆっくり過ごす時間をつくってあげてください。

「親御さんがいつもニコニコとしていると、自分のことを肯定的にとらえることができるようになります」

親御さんが絶えずイライラしていると、子どもは「自分が愛されていない」「自分が悪いからこうなる」と感じやすくなり、自信を持てなくなってしまいます。反対に、安心できる雰囲気の中では、自分を肯定的にとらえ、いきいきと前向きに生きる力が育っていきます。この機会に、子育てそのものを見直してみるのもよいかもしれません。

吃音のある黒音さんの物語

チックと同じく、本人の意志ではコントロールしづらく、周囲に誤解されやすい特性に「吃音」があります。ここでは、吃音のある中学2年生・黒音さんが、NIJINアカデミーで自分のペースを見つけていった物語を紹介します。

黒音さん(中学2年生)
NIJINアカデミー生

中学1年生の最初の頃、相談室登校を試みたものの先生と合わず、一週間ほどで学校に行けなくなった黒音さん。「まさか自分が不登校になるなんて思ってなかった」と当時を振り返ります。家では、絵を描くことで落ち着きを取り戻していったそうです。

2024年12月にNIJINアカデミーに入学。オンラインでの学びに抵抗はなく、「メンバーがほぼ変わらなくて仲がよくて安心できる」というクラス(通称プラ1)が、挑戦の土台になっていきました。

黒音さんには吃音があり、大勢の前や台本のある場では話しづらい場面もあります。それでも、oVice社への改善提案プレゼンでは自然と声が出せたといいます。

「思ったより喋れたのが自分でも意外でした」

「急になら話せるけれど、台本があると逆に話せない」という自分の話しやすいパターンを理解し、発表・作品・チャットなど、場面に応じて伝え方を使い分けるようになった黒音さん。安心できるオンラインの環境と仲間の存在の中で、「やってみたい」が少しずつ増えていきました。

ニュースから考える ― なぜ理解が大切なのか

チックや吃音は、周囲の理解が欠けると、からかいやいじめのきっかけになってしまうことがあります。実際に報道されたニュースを取り上げながら、NIJINアカデミー校長が解説した動画を紹介します。

教師やクラスメイトなど、周囲の大人と子どもたちがチックや吃音について正しく理解することは、特別なことではなく、すべての子どもが安心して学べる環境をつくる土台になります。

まとめ

  • チック症は意志の力ではコントロールできない神経系の特性で、育て方が原因ではない
  • 一過性・慢性・トゥレット症候群という分類があり、多くは思春期をピークに成人までに軽くなっていく
  • 学校生活では「周囲の理解・ストレス軽減・柔軟な対応・家族との連携」の4つがポイント
  • 薬による治療が必要かどうかは、本人の自己評価が下がっているかどうかが一つの目安になる
  • チックが出てきたときは、子どもからのSOSのサインとして受け止め、休む・のんびり過ごす時間を大切にする
  • 吃音など、似たように誤解されやすい特性を持つ子どもにも、安心できる居場所と自分のペースが挑戦の土台になる

特性そのものをなくすことよりも、周囲の理解と、安心して過ごせる環境を整えることが、子どもたちが自分らしく成長していくための一番の支えになります。

NIJINアカデミー ・ 発達特性コラム ― チック症・吃音
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