宿題が終わっていないから、明日は学校に行けない。
全部終わらなくてもいいよ。先生に一緒に説明しよう。
でも、みんなは出す。怒られるし、恥ずかしいから無理。
夏休み明けを前に、宿題が終わっていないことを理由に「学校に行きたくない」と言う子がいます。
保護者としては、「あと少しだから頑張ろう」「とにかく形だけでも完成させよう」と、何とか提出できる状態にしたくなるかもしれません。
しかし、LD・学習障害のある子にとっては、宿題の内容が分からないのではなく、読む、書く、計算する、考えを文章にする方法が合っていない可能性があります。
まず必要なのは、宿題を無理に完成させることではありません。
何が難しかったのかを整理し、提出方法や課題量を学校へ相談し、本人が安心して新学期を迎えられるようにすることです。
NIJINアカデミーは、2023年の開校以来、不登校や学校生活に難しさを感じる小・中学生を支援してきました。2026年7月時点で、累積900人以上の子どもが参加し、400人以上が在籍しています。
LD・学習障害とは「勉強ができない」ことではない
全般的な知的発達に大きな遅れはないものの、読む、書く、計算するなど、特定の学習に困難が見られる状態です。
会話では豊富な知識を話せるのに、文章を読むと内容が頭に入りにくい。答えは分かっているのに、文字で書くと時間がかかる。計算の方法は理解していても、数字や位を正しく並べにくい。
このように、理解していることと、学校で求められる方法で表現できることには差が生じる場合があります。
周囲からは「やればできるのに」「集中していない」「丁寧に書いていない」と見られやすいため、本人も自分を「勉強ができない子」と考えてしまうことがあります。
LD・学習障害の子に起こりやすい夏休みの宿題あるある
問題文を読むだけで疲れる
長い説明や小さな文字が並ぶプリントでは、問題に答える前に読むことで力を使い切ってしまうことがあります。
漢字を何度書いても覚えられない
何回も書けば覚えられるとは限りません。形を正確に思い出すことや、見た文字を手で再現することに負担がある場合があります。
読書感想文で手が止まる
本の内容を理解していても、感想を整理し、順番を考え、指定された文字数で書くことが難しい場合があります。
自由研究をまとめられない
興味のあることは詳しく調べられても、テーマ、方法、結果、感想という学校の形式に整理できず、完成しないことがあります。
計算の途中で数字がずれる
位をそろえる、途中式を書く、繰り上がりを記憶するなど、複数の作業を同時に行うことが負担になる場合があります。
直しが増えるほど動けなくなる
赤ペンで多くの間違いを指摘されると、「また失敗する」と感じ、宿題を見るだけで動けなくなることがあります。
「宿題ができない」を3つに分けて考える
宿題が完成していないときは、本人のやる気を確認する前に、どの段階で止まっているかを見ます。
この三つを分けると、「宿題をしない子」ではなく、今の宿題の方法では力を発揮しにくい子であることが見えてきます。
「宿題を出せないから学校に行けない」と言われたときの対応
-
まず、話してくれたことを受け止める
「教えてくれてありがとう」「宿題のことが心配だったんだね」と伝えます。すぐに完成させる方法を話す前に、不安を言葉にできたことを受け止めます。 -
宿題と登校を切り離す
「宿題が終わっていなくても、学校へ相談できる」「提出できないことは、一緒に先生へ伝える」と説明します。 -
どの課題の、どの部分が難しかったかを確認する
全部を見直すのではなく、「読むこと」「書くこと」「量」「手順」のどこで止まったかを確認します。 -
本人を説得する前に学校へ連絡する
新学期当日の朝まで待たず、未提出の課題と本人の不安を学校へ共有し、提出方法や期限を相談します。
「全部終わらせる方法ではなく、できる出し方を先生と相談しよう」
「書けなかったけれど、話して説明できるところはある?」
「宿題を出せないことと、学校に行ってはいけないことは別だよ」
学校には「未提出の報告」ではなく「方法の相談」をする
「宿題が終わりませんでした」とだけ伝えると、量を減らして完成させる話だけで終わる場合があります。
どのような困難があり、どの方法なら取り組めそうかまで伝えることが大切です。
夏休みの宿題のうち、読書感想文と漢字の課題に取り組むことが難しい状態です。内容を口頭では説明できますが、文章を書くことや、同じ漢字を繰り返し書くことに強い負担があります。未提出であることから登校への不安も強くなっています。課題量、提出期限、口頭・パソコン・写真など別の提出方法について相談させてください。
子どもの特性と学校の方法が合っているか確認する
問題はLD・学習障害の特性だけではありません。
子どもが理解しやすい方法と、学校が学習成果を確認する方法が合っていないことで、困難が大きくなる場合があります。
| 子どもができること | 学校で求められる方法 | 考えられる調整 |
|---|---|---|
| 話を聞けば内容を理解できる | 長い文章を一人で読む | 読み上げ、音声教材、文章の区切り |
| 口頭なら考えを説明できる | 原稿用紙に長文を書く | 口頭説明、録音、キーボード入力 |
| 計算方法は理解している | 狭い紙面に途中式を書く | 大きなマス、補助線、問題数の調整 |
| 興味のある内容を詳しく調べられる | 決められた形式で自由研究をまとめる | 写真、動画、スライドでの提出 |
すべての方法が必ず認められるわけではありませんが、次のような調整が可能か学校へ相談できます。
- 課題量や提出期限を調整する
- 音声教材や文章読み上げを利用する
- 手書きの代わりにキーボード入力を使う
- 口頭、録音、写真、動画などで提出する
- 大きな文字やマス目、補助線を使う
- 複数の課題から、本人が取り組めるものを選ぶ
学校で方法を調整しても苦しさが続くなら、学ぶ環境そのものも見直す
読み上げやキーボード入力などの配慮があっても、毎日同じ時間に登校すること、大人数の教室で授業を受けること、提出物で評価され続けることに強い負担が残る場合があります。
その場合は、「学校でどう頑張るか」だけでなく、本人が力を発揮しやすい学びの環境を探すことも必要です。
- 読み書きの課題が出るたびに、行き渋りや欠席につながる
- 学習内容は理解しているのに、提出物だけで評価される
- 失敗経験が重なり、「自分は勉強ができない」と話している
- 学校では質問や相談をすることが難しい
- 好きなことや得意な方法では、自分から学べる
- オンラインや少人数なら参加してみたいと話している
フリースクールを検討することは、学習を諦めることではありません。
読む、書くという一つの方法だけではなく、話す、聞く、つくる、発表するなど、本人が力を発揮できる方法から学び直す選択です。
NIJINアカデミーなら、自分に合う方法で理解と得意を発揮できる
NIJINアカデミーは、不登校や発達障害など、公立学校の環境に合いにくい小・中学生のためのオルタナティブスクールです。
LD・学習障害のある子にとって重要なのは、学習内容を簡単にすることではありません。理解したことを、本人が表現しやすい方法で伝えられる環境をつくることです。
NIJINアカデミーでは、手書きのプリントや決められた形式だけで学びを判断せず、会話、チャット、スライド、画像、動画、作品づくりなど、さまざまな方法から授業や活動に参加できます。
一つの方法に合わせる学び
- 長い文章を一人で読む
- 考えをすべて手書きでまとめる
- 決められた形式で提出する
- 同じ量の問題を同じ時間で解く
- 一斉授業の進度に合わせる
自分の得意な方法を使う学び
- 先生の説明や対話から理解する
- チャットや会話で考えを伝える
- 画像、動画、スライド、作品で表現する
- 興味のある授業や活動を選ぶ
- 自分のペースで参加範囲を広げる
例えば、文章を読むことに時間がかかる子でも、先生の説明や友達との対話から内容を理解できる場合があります。
手書きの作文が難しい子でも、チャットで短い言葉を送る、口頭で説明する、スライドや画像を使って発表することで、自分の考えを表現できます。
自由研究を決められた用紙にまとめることが難しくても、好きなことを調べて動画にしたり、プログラミングや創作作品として形にしたりすることができます。
このように、学校では「できなかった」と見られていたことも、方法を変えることで、理解していたことや得意な力が見えるようになることがあります。
文章を読むだけでなく、先生の説明を聞いたり、質問やチャットを通して内容を理解できます。
興味のある授業から参加し、「自分にも学べる」という感覚を取り戻していきます。
長文だけでなく、スライド、画像、動画、プログラミング、創作作品でも考えを表現できます。
サークルやプロジェクトを通して、共通の興味を持つ仲間と無理のない形で関われます。
LD・学習障害のある子が楽しく通うためには、苦手な方法を繰り返させるだけではなく、得意な方法で理解し、表現し、誰かに認められる経験が必要です。
NIJINアカデミーでは、教科の授業だけでなく、サークル、特別授業、プロジェクト型の学びなど、興味を入口に参加できる機会があります。
まとめ|宿題を完成させるより、学べる方法を見つける
- LD・学習障害は、読む・書く・計算するなど特定の学習に困難がある状態
- 宿題ができないことを、やる気や怠けの問題にしない
- 「読み取れない」「書けない」「終わらせられない」に分けて考える
- 宿題の未提出と登校を切り離し、学校へ提出方法を相談する
- 子どもの特性だけでなく、学校の課題や評価方法とのミスマッチを確認する
- 方法を変えることで、理解や得意な力を発揮できる可能性がある
宿題を出せなかったことは、学んでいなかったことと同じではありません。
学校での配慮を相談しながら、本人が「ここならできる」と感じられる方法や学び場を探してみてください。
書くことだけでは見えない、
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