「実は、伊原さんと“メル友”なんです!」
EDIX東京2026、amidex×NIJINアカデミーのステージは、そんな一言から始まりました。

会場は、東京ビッグサイトで開催された日本最大級の教育展示会「EDIX東京2026」。
教育関係者や企業、自治体など、多くの大人たちが集まる中、ステージに立っていたのは――なんと小学生の「たまごずし」。
そして、その隣にいたのが、「歯を削らない治療」を開発する歯科医療スタートアップ amidex代表・伊原さんです。
「EDIXの会場に小学生!?」
そんな空気の中で始まった今回の発表。でも、気づけば多くの大人たちが、たまごずしの話に引き込まれていました。
今回EDIXで発表されたのは、“昨年の学園祭で実際に行われた共創プロジェクト”でした。
昨年のNIJINアカデミー学園祭で、たまごずしとamidexは、
- 「歯を削らない治療」をテーマにしたプレゼン
- 絵本制作
- ワークショップ企画
などを一緒に実施。


そしてEDIX東京2026では、その実践事例が紹介されました。
“企業を紹介する子ども”ではなく、“一緒に企画を作った当事者”として立っていたことが、今回の発表の面白さでした。
「歯を削らない治療!?未来の技術みたい!」
2人が出会ったのは、ICCサミットという起業家イベントでした。
そこで伊原さんが話していたのが、「健康な歯をできるだけ削らずに残す」というamidexの新しい歯科医療技術。
そのプレゼンを見て、たまごずしは衝撃を受けたそうです。

「歯を削らない治療!? なにそれ、未来の技術みたい!」
そこから、2人のやり取りが始まります。
名刺交換をきっかけにメールをするようになり、対談ではその関係を、
「実はメル友なんです!」
と紹介。
会場から笑いが起き、一気に空気が和みました。
小学5年生による“企業プレゼン”
EDIX当日、最初に行われたのは、たまごずしによるamidex紹介プレゼン。
でも、普通の企業紹介ではありません。
「もし転んで、歯が折れたら悲しいですよね」
そんな問いかけから始まり、“歯を削らない治療”について、自分の言葉で説明していきます。

しかも、ただ技術を説明するだけではありません。
「削らない」
「痛くない」
「怖くない」
それは技術だけじゃなく、“やさしさ”なんだ。
そんなメッセージまで、自分なりに解釈して伝えていました。
医療技術を、“子どもにも伝わる言葉”へ翻訳していく姿がとても印象的でした。
「ドラキュラの歯、治しませんか?」
続いて紹介されたのが、昨年の学園祭で制作された絵本とワークショップ。
きっかけは、打ち合わせ中にたまごずしから飛び出した、
「ハロウィンだし、ドラキュラの折れた歯を治すってどうですか?」(学園祭の開催日がハロウィンに近い時期だった)
という一言でした。
そこから、
- 絵本にしたら面白そう
- ペイントもできたら楽しそう
- 小さい子でも参加できそう
と、どんどんアイデアが広がっていきます。


最初は1冊の予定だった絵本は、気づけば3冊に。
しかも、制作にはAIも活用。
ただ、もちろん簡単ではありません。
たまごずしは対談の中で、
「“数字だけ消して”って言ったのに、壁ごと消えたりして大変でした(笑)」
と話していて、会場から笑いが起きていました。
でも、その言葉からは、“AIを使って終わり”ではなく、試行錯誤しながら本気で作品を作っていたことが伝わってきます。
学園祭当日は、実際にその絵本の読み聞かせやワークショップも実施。小さい子どもたちが楽しみながら、“削らない歯科治療”に触れられる空間が生まれていました。
「未来の技術」が、目の前に現れた
EDIX当日には、amidexによる実際の技術紹介も行われました。
ここで面白かったのは、“ただ説明するだけ”ではなかったこと。
実際に、
- 歯の型
- 使用する素材
- 治療の流れ
などを、その場で見せながら紹介していきます。

「未来の技術みたい!」と思っていたものが、目の前でリアルにつながっていく時間でした。
プレゼンや絵本を通して興味を持ったあとだったからこそ、子どもたちも大人たちも、自然と前のめりになって見入っていました。
“難しい医療技術”を、
「わかる」「気になる」「やってみたい」に変えていく。
それもまた、今回の共創の面白さでした。
「でも、それだったら別にNIJINじゃなくてもよくないですか?」
そして最後のパートで始まったのが、たまごずしと伊原さんによる対談でした。
その中で、たまごずしは伊原さんにこんな質問を投げかけます。
「でも、それだったら別にNIJINアカデミーじゃなくてもよくないですか?」
かなり本質的な質問でした。
伊原さんは、「さすが鋭いですね(笑)」と返しつつ、amidexがNIJINアカデミーと共創した理由を語ってくれました。

理由の1つは、NIJINアカデミーの“発信力”。
歯科業界だけでは届かない層に、「歯を削らない治療」という考え方を届けられると思ったそうです。
でも、もっと印象的だったのは、2つ目の理由でした。
「子どもと一緒に作れること」
ただ説明するだけではなく、子ども自身が企画に関わることで、もっと深く伝わる。さらに、企業側にとっても、子どもの自由な発想が新しい気づきになる。
「最終顧客に近い視点をもらえる」
そんな話もされていました。
教育と歯科医療。一見遠そうな2つが、“共創”という形で自然につながっていた瞬間でした。
「普通の新入社員よりすごい」
対談の中で、伊原さんが何度も驚いていたことがあります。
それは、たまごずしの“企画の進め方”。
特に印象的だったのは、プレゼン資料の作り方でした。
普通は、いきなりスライドを作り始める人が多い中、たまごずしは、先に文章でストーリー全体を整理していたそうです。

伊原さんは、「普通の新入社員よりすごい」と話していました。
しかも、インタビュー内容も鋭く、スライド修正もほとんどなかったとのこと。
ただ、本人はそれをサラッと、「最近は、先に文章で考えるようにしています」と返していて、そこもまた、たまごずしらしさでした。
「教育と関係ない企業だからこそ」面白い
今回、私たちが特に嬉しかったのは、amidexさんのような、“教育とは一見関係なさそうな企業”と共創できたことです。
教育業界の中だけでは、出会えない価値観がある。
歯科医療、スタートアップ、研究、DX、地域企業――。
子どもたちは、“本物の社会”と出会った時、一番目を輝かせます。そして企業側もまた、子どもの自由な発想に驚かされる。
「そんな視点があるんだ」
「それ面白いかもしれない」
そんな対話が、今回何度も生まれていました。
「また一緒にやりたいです!」
対談の最後。
たまごずしが、「また一緒にやりたいです!」と話すと、伊原さんも「ぜひ!次はもっと面白いことをやりましょう!」と返していました。
そのやり取りが、今回の共創を象徴している気がしました。

企業が“子ども向けイベント”をするのではなく、子どもと一緒に本気で企画を作る。そこには、大人が想像していなかった発想や、新しい価値が生まれていました。
教育と歯科医療。遠そうに見える2つの世界が、子どもの「好き」や「なんで?」を真ん中に置いた時、こんなにも自然につながっていく。
EDIX東京2026で紹介されたこの共創は、きっと、まだ始まりです。

