「今、多分すごい合ってるなと思って」
いくつかの学びの場を経てたどりついたニジアカ。今年、中学2年生の2月にニジアカへ入学し、現在入学から約4ヶ月。
パケロンさんはそう感じています。
今は生徒会のメンバーとして意欲的に活動中。絵を描くことも大切にしています。
この記事では、パケロンさんの心の負担になっていたもの、そして「何もできていない」と思ってしまった気持ちが、ニジアカと出会って前向きな気持ちへと向かうまで——その過程をたどっていきます。
学校に行けなくなるまで
パケロンさんが学校へ通いづらさを感じはじめたのは、小学4年生の頃からだったそうです。当時のことを尋ねると、「人間関係とかの事だったと思います」と話してくれました。仲のよい友だちとはトラブルもなく過ごせていたといいます。ただ、元気いっぱいで活発な子たちとの関わり方が、どうしても分からなかったそうです。
「ヤンチャな人たちっていうか、接し方があんまりわかんないんですけど。ちょっとやっぱり合わなくて……」
接し方がわからなかったクラスメイトとの関係が、心の負担として4年生、5年生と積み重なっていきました。そして6年生の2学期。自律神経の不調により、体調にも変化があらわれます。お腹が痛くなったり、気分が悪くなったりすることが続きました。人間関係の負担に加えて体調の影響も重なって、学校へ行くことが難しくなっていきました。
ただ、好きな友だちとの関係は今でも続いているそうです。「友だちはいました。今も遊んだり話している子もいます」と教えてくれたパケロンさん。学校に行かなくなったあとも、友だちと遊ぶ時間は変わらず大切にしています。
学校以外の場所を探した日々
学校に行かなくなってからのパケロンさんは、中学1年生まで家で勉強する日々を送っていました。そういった生活の中で、初めの通信制の学校にも通いはじめました。そこではグループで活動を進める場面が多くあったといいます。グループでプロジェクトを進めていく中で、パケロンさんは、こう思ってしまいます。
「私が、何もできてないなと思って……ちょっと合ってないのかなって思って……」
ふと、パケロンさんに生まれた気持ち。中1の秋には、その場所からも足が遠のいていきました。その後、中2の秋から冬にかけては、また別の通信制の学校にも通うようになりました。「あんまり行けてなかった」とふり返る時期もある中で、自分に合う場所を探す歩みは続けていました。
ニジアカとの出会い
ニジアカとの出会いは、お母さんからの一言がきっかけでした。「これいいんじゃないか」と勧めてもらい、今年の1月にあったニジアカの体験会へ参加しました。パケロンさんにとって体験会で印象に残ったのは、ニジアカの先生たちの明るい雰囲気だったといいます。
「先生とかすごい明るいし、なんか面白そうだなって思って。真面目な感じとかじゃなく、ちょっと楽しい感じなのかなと思って」
その場の空気にひかれて、パケロンさんは入学を決めました。
「とりあえず入ってみようかなと思って。続くかわかんないけど」
そんな気持ちがパケロンさん自身に沸き起こったそうです。そして、今年の2月、ニジアカへの入学が決まりました。
安心して過ごせる環境があった
ニジアカに入る前、パケロンさんはオンラインに少しだけ不安を感じていたといいます。けれど、実際に始めてみると、その印象は大きく変わりました。
「今、多分すごい合ってるなと思って。やっぱオンラインの方が向いてたんだなっていうのが分かりました」
体調に不安を抱えていたパケロンさんにとって、画面越しのやりとりは思っていたよりも負担が少ない学び方でした。
「Slackとかで、その連絡とか、文章とか考える時間とか、話し合う、考える時間があるんで、それがありがたいなって感じです」
Slackでのやり取りは、自分の言葉を組み立てる時間があること。絵文字で気持ちを表現できること。授業の場面でも、チャットを使って参加できる仕組みがあります。それらは、今のパケロンさんに合った対話の形でした。
「学校のクラスとかよりは少ないから、やっぱり自分の意見とかが発言しやすくて。チャットもあるので、しゃべるのが苦手だったりしてもチャットで書いたら結構反応してくれたりする」
オンラインという環境は、自分のペースで言葉を伝えることができる。パケロンさんはニジアカでそんな実感をつかみました。入学当初、声も顔も出さずにオンラインに参加できたのも、そんな環境があったからこそでした。
現在の担任、あっきー先生との関わりもとても心地よいといいます。
「あっきー先生って話とか結構振ってくれるので、話しやすいというか、結構楽しめてると思います」
先生との関わりも、パケロンさんにとって大切な安心感のひとつになっています。

▲安心できる環境の中で、
一つひとつ積み重ねてきた活動。
パケロンさん自身がまとめた
ニジアカでのプレゼン歴

▲ニジアカで培った力が、
外の舞台へとつながった。
EDIX東京での保護動物プロジェクトのプレゼン

▲好きなものを自由に表現できるニジアカ。
Canvaで作成した「推しのパン」
勇気をくれた先生と仲間
パケロンさんに変化のきっかけをもたらしたのは、3月まで担任をしてくださっていた、らき先生からの言葉だったそうです。
「やってみたら、みたいな感じで。勇気が出て、声とか出して、そっから発表とかもやるようになった」
らき先生の後押しが、パケロンさんの「最初の一歩」につながりました。頑張ろうと思えた理由は、他にもありました。
「小学生の子たちとかも頑張ってるから、私も頑張らないと」
自分よりも年下のニジアカ生の仲間が前向きに取り組んでいる姿は、自然とパケロンさんの力になっていったようです。さらに、ニジアカ生の間には「失敗してもいい」という温かな空気が、広がっていることを感じたそうです。
「詰まったりヘマとかしても、多分そんな気にしないでいてくれてる」
この安心が、パケロンさん自身が声を出すこと、発表することへの一歩を後押ししました。
先生たちの存在と同じくらい、パケロンさんが大切にしているのが、友だちとのつながりです。友だちが欲しい気持ちはあるかと尋ねると、まっすぐな言葉が返ってきました。
「めっちゃありますね、やっぱり。友だちと遊んだりするのが好きなので」
パケロンさんにとって専任サポートのまりん先生は、励ましてくれたり、同じ趣味を持つ仲間を引き合わせてくれたりする存在だといいます。
「同じ趣味の人とか生徒さんとかがいたら、先生とかが紹介してくれたりするんで、そこがちょっとありがたいところかなと」
そうした先生たちや仲間たちとの関わりが、パケロンさんの気持ちを少しずつ前へと動かしていきました。
ニジアカに入る前と今では、心境にも大きな変化があったといいます。
「前向きになった気はしますね、前より。前は全然もう人と関わることとかができなかったんで。今、結構関われてるっていう点で、成長した感じがして、多分、気分が上がってるみたいな感じですかね」
自分のペースで着実に前へ進んでいる——その実感が、パケロンさんの言葉の中にありました。

▲入学当初と現在の気持ちの変化を
パケロンさん自身の言葉でまとめた「パケロン論」

▲専任サポートのまりん先生がつないでくれた
イラスト好きの生徒との交流。
テーマは「お互いなんで絵を描くのか?」

▲同じ趣味でつながった仲間。
スプラトゥーン好きの生徒とのコラボ対戦
生徒会に挑戦中
ニジアカで取り組んでいる活動について聞くと、まず話してくれたのが生徒会のことでした。
「生徒会としてのこととか、自分がやることとしては一番すごいかなぁと思います」
生徒会の役割をパケロンさんは、こう説明してくれました。
「ニジアカをもっと居心地を良くするというか、ニジアカ生のみんなの挑戦を支援する感じです」
もっと生徒会で挑戦していきたい——その意欲が、言葉の奥からまっすぐに伝わってきます。今は、リアルイベントを主催したい生徒と一緒になって取り組みを進めているそうです。
「こういうイベントやりたいけどあんまり自信がない、っていう人たちと、生徒会が一緒にイベントを主催するよ、みたいなことをやってます」
先日は、その活動を全校ホームルームで発表しました。挑戦したい仲間の隣で、一緒に歩いていく——パケロンさんは今、そんな役割を担っています。
これからやってみたいこと
これからやってみたいことを尋ねると、すぐに答えが返ってきました。
「第1はやっぱり生徒会としてのこととか、積極的にやっていきたい」
そのまっすぐな言葉に、意欲がにじんでいました。
そして、もうひとつ、パケロンさんが大切にしていることがあります。
「絵とか書くの好きなので」
絵を描くこと——それは仲間とつながるきっかけにもなる、パケロンさんの大切なものです。
さらに夢を尋ねると、「夢は今のところそんな決まったのはないですね」と率直に話してくれたパケロンさん。そんな中でも創作への思いは、はっきりしていました。
「やっぱ絵とか仕事にしたり、あと動画編集とか、創作系かなと思ってます」
自分の「好き」を将来につなげていきたい——そんな素直な気持ちを、パケロンさんは教えてくれました。

▲パケロンさんが描いたイラスト作品
おわりに
いくつかの環境を経て、パケロンさんは「自分に合っている」と感じられる場所にたどりつきました。ニジアカの先生たちの後押しと、仲間たちとの出会いに支えられて毎日を過ごしています。自分に合う場所も、自分を表現できる方法も、見つかるまで時間がかかっていい——パケロンさんの歩みは、そう感じさせてくれます。これからもパケロンさんが自分のペースで歩み、仲間と出会い、好きなことを広げていく姿を、私たちはずっと応援しています。
記事執筆:ボランティアスタッフみっちー

